( 176628 )  2024/06/02 01:32:24  
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現在は、老後の資金確保だけでなく、親の介護も重要な課題となっています。

高齢者の介護や老人ホームの費用は高額で、年金だけではカバーしきれないことが多いため、家族の支援が必要とされています。

老人ホーム費用の課題から、公的施設や特養への入居も検討されますが、待機状況があり、選択肢が限られる場合もあります。

適切な相談や支援を受けることが大切であり、家族全体での対応が求められています。

(要約)

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(※写真はイメージです/PIXTA) 

 

下流老人、老後破産…なんとも辛い言葉が多くなった昨今。自身の老後のために貯蓄したいところですが、現役世代には「親の介護」も重要な課題となっています。厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』等の結果と共に、老人ホームの費用についてみていきます。 

 

【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額 

 

中山さん(仮名)の80代の両親は、夫婦で年金を月16万円受給しています。家のローンも完済しており、比較的穏やかな生活を送っていました。しかし、高齢による体力の低下や病気のため、自宅での生活が次第に困難になってきました。 

 

厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によれば、厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額は14万4,982円で、これに国民年金を合わせると多くの高齢者が月額約16万円程度の年金収入で生活しています。この金額では、日常生活費はなんとか賄えるものの、介護費用や医療費がかかると厳しくなってきます。 

 

「両親は年金だけで生活してきましたが、医療費や介護サービスの利用で出費がかさむようになりました。さらに、自宅のメンテナンスや日常の買い物も難しくなり、私が手伝うことが増えてきました」と中山さんは語ります。 

 

両親の状況を考慮し、中山さんは老人ホームへの入居を検討し始めました。安心して暮らせる環境と、専門的な介護を受けられることが魅力でした。しかし、老人ホームの費用について調べていくうちに、その高額な費用に驚かされることになりました。 

 

総務省『家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)』によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は平均で23万6,696円。これに対して実収入は24万6,237円で、非消費支出(税金や社会保険料など)を差し引くと、実質的な生活費は非常にタイトです。 

 

「いくつかの老人ホームを見学し、見積もりを取ったところ、月々の費用が20万円から30万円というのが一般的でした。両親の年金では到底賄えない金額です。初期費用として数百万円が必要なところもあり、まさに撃沈しました」と中山さんは振り返ります。 

 

 

老人ホームの費用には、入居一時金、月額利用料、介護サービス費用などが含まれます。入居一時金は一度に支払う大金で、数百万円から場合によっては1,000万円を超えることもあります。月額利用料には、家賃、食費、管理費が含まれ、さらに介護サービス費用が加わります。 

 

「入居一時金を支払えば月額利用料が安くなるというプランもありましたが、両親がその金額を用意するのは難しい状況でした。月額利用料だけでも20万円を超えるとなると、年金だけではとてもカバーできません」と中山さんは説明します。 

 

中山さん自身も家庭を持ち、子供の教育費や住宅ローンの支払いなど、経済的な負担が大きい中で、両親の老人ホーム費用を捻出するのは非常に厳しい状況でした。「自分の家族の生活費もある中で、両親の老人ホーム費用をどうやって工面するか、本当に悩みました」と中山さんは語ります。 

 

費用の問題から、中山さんは費用が比較的安い公的施設や特別養護老人ホーム(特養)への入居も検討しました。しかし、特養は入居待ちの状態が続いており、すぐに入居することが難しいという現実もありました。 

 

「特養の入居待ちは長く、数年待たなければならないこともあります。両親がすぐにでも介護が必要な状態では、その選択肢は現実的ではありませんでした」。 

 

中山さんは、地域包括支援センターやケアマネージャーに相談し、両親の状況に合った施設やサービスを探すことにしました。また、親しい友人や同僚にもアドバイスを求めました。 

 

「多くの人が同じような悩みを抱えていることがわかり、少し安心しました。また、プロのアドバイスを受けることで、自分だけで悩まずにすむようになりました」と中山さんは話します。 

 

  

 

最終的に、中山さんは両親を民間の介護付き有料老人ホームに入居させることにしました。入居一時金が少ないプランを選び、月額費用を抑えることで、何とか両親の年金と自身の収入でカバーできる範囲に収めました。 

 

「決して安くはない費用ですが、両親が安全で快適に過ごせる場所を見つけることができて、少しほっとしています。経済的な負担は大きいですが、家族のためにできることをするしかないと思っています」と中山さんは言います。 

 

  

 

高齢者の介護は経済的な負担が大きく、家族にとって大きな悩みの種となるもの。老人ホームの費用が高額であるため、年金だけでは賄えず、家族の支援が不可欠となることが多いのです。少しでも負担を軽減できるよう、適切な相談や支援を受けられる環境が求められます。 

 

THE GOLD ONLINE編集部 

 

 

 
 

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