( 176758 )  2024/06/02 16:13:40  
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「のぞみ」が東海道新幹線の主役であり、1時間に最大12本運行している。

一方、「こだま」はのぞみやひかりが停車しない駅をカバーする列車で、所要時間は長いが運賃はわずかに安い。

JR東海ツアーズが販売する「ぷらっとこだま」は、こだま号の指定席に限り利用できるおトクな商品で、金額が安い。

グリーン車の料金も割引され、「1ドリンク引換券」も付いてくる。

旅行スタイルによっては選択肢があるが、のぞみと比べてコスパや快適さで優れている点もある。

(要約)

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 東海道新幹線の主役は、何といっても「1時間最大12本運行」の「のぞみ」でしょう。 

 

【画像】「えっ…! コスパ最高!!」これが「ぷらっとこだま」で行くべき名所です(21枚) 

 

JR東海ツアーズが販売するEXサービス会員向けプラン「ぷらっとこだま」なら東海道新幹線を“おトク”な料金で乗ることができる 

 

 対して開業時の花形だった「ひかり」、各停タイプの「こだま」はそれぞれ1時間に2本(いずれも日中時間帯)と、運転本数の差は比べるまでもありません。 

 

 とくにこだまは「のぞみやひかりが止まらない駅をカバーする列車」であり、のぞみが約2時間30分で駆けぬける東京から新大阪を、約4時間かけて走ります。 

 

 運賃・特急料金の合計はのぞみよりわずかに安くなりますが、所要時間の差を考えると、こだま号で新大阪まで乗り通す人はまずいないでしょう。 

 

 ところが、そのこだま号を“あえて使う”ことで、おトクな旅を実現する旅行商品があります。 

 

 それはJR東海ツアーズが販売するEXサービス会員向けプラン「ぷらっとこだま」です。 

 

 これは事前予約したこだま号の指定席に限り利用できる商品で、乗車日や区間などの変更ができない、乗り遅れても他の列車が利用できないなどの制限があるものの、ふつうに購入するきっぷに比べ、格安になっています。 

 

 東京-新大阪間のきっぷでは、のぞみ号が1万4720円(指定席・通常期、以下同)、こだま号が1万4400円ですが、「ぷらっとこだま」は1万1210円と、のぞみ号より3610円、こだま号より3280円、旅行費用を“節約”できるのです。 

 

 そしてグリーン車の利用では、さらにおトク感が高まります。通常のきっぷでは普通席に比べ5000円近く高くなるグリーン車が、「ぷらっとこだま」ではわずか1260円高の1万2470円なのです。 

 

 こうした金額の差に加え、「ぷらっとこだま」では、ソフトドリンクや350ml以下の缶ビールと引き換えできる「1ドリンク引換券(電子チケット)」も付いてきます。 

 

 ただ、いかに旅行費用を抑えることができるとは言え、移動時間がかかり、かえって疲れてしまうようでは、本末転倒です。そこで実際に「ぷらっとこだま」で東京駅から新大阪駅まで移動し、“乗り味”を実感してみました。 

 

 まずは商品の購入です。 

 

「ぷらっとこだま」は、JR東海の「EXダイナミックパック」サイトの「片道・日帰りプラン(ぷらっとこだま等)」から、ツアータイプで「片道(ぷらっとこだま等)」を選択、日付や出発地、目的地などを指定して購入します。 

 

 乗車は「IC乗車(対応する交通系ICカードまたはEX予約専用ICカード)」もしくは「QR乗車(QRチケットの画面表示もしくは印刷)」でのチケットレス乗車となるため、注意が必要です。 

 

 

 さて旅行の当日、東京駅に向かいます。 

 

「ぷらっとこだま」では、東京都区内など「特定都区市内乗車券部分」は含まれないため、東京駅までの在来線は別途運賃を支払う必要があります。 

 

東海道新幹線のグリーン車。「のぞみ」に対して「こだま」は時間がかかるが、その分ゆったりとした旅ができると言い換えることもできる 

 

 購入した「ぷらっとこだま」はグリーン車指定席プランです。こだま号には車内販売がないため、駅売店でお弁当を購入、さらに「1ドリンク引換券」をお茶と引き換えて乗車します。 

 

 指定された号車に乗り込むと、車室内にはわずかに数名がいるだけで、とても静かです。 

 

 定刻に東京駅を発車したこだま号は、品川、新横浜と停車します。ここまではのぞみやひかりと同様の時間の経過です。 

 

 しかしつぎの小田原で、最初の「のぞみ号通過待ち」のため5分ほど停車、ここではじめて後続ののぞみの通過待ちをします。続いては熱海駅、ここは地形上の理由から通過線が設けられていないため、通過待ちはなく、1分ほどの停車です。 

 

 つぎの三島駅から浜松駅までが、長い長い静岡県です。各駅にはほぼ3分から5分程度停車し、ときには一度に2本ののぞみ号に抜かれます。のぞみ号では「時刻どおりに通過しました」のアナウンスの流れる三河安城駅に停車すると、つぎはようやく名古屋駅です。 

 

 名古屋駅までの所要時間は、東京駅から2時間半ほど。東京駅を3分後に発車したのぞみは、すでに新大阪駅に着いている時刻です。そしてここで、新横浜駅までに乗ってきた数名が下車。同じく「ぷらっとこだま」の利用者なのでしょう。 

 

 新大阪駅までは、のぞみの停車駅に岐阜羽島駅、米原駅が加わるのみ。それぞれ5~6分の停車ですが、止まる回数が少ないためか、それほど時間がかかったという印象はありません。東京駅を出て約4時間、定刻に新大阪駅に到着です。 

 

※ ※ ※ 

 

 乗ってみての感想は「やはり時間がかかるなぁ」というのが率直なところです。とくに静岡県内では、駅間が10分程度なのに停車時間が長く、体感的には「走っているより止まっている時間のほうが長い」印象です。 

 

 ただグリーン車を選んだことで、移動中の窮屈感はなく、またほかの乗客が少ないことで、リラックスもできました。 

 

 急がない旅で、かつじっくりと読書したい、または移動中に仕事を片付けたいといった考えがあるなら、「ぷらっとこだま」は“十分にあり”の選択でしょう。 

 

 また、とくに名古屋-新大阪については、のぞみに比べ所要時間の差も大きくないことから、コスパ、タイパは十分ではないでしょうか。 

 

 このようにおトクな「ぷらっとこだま」ですが、旅行のスタイルによっては、他の商品にアドバンテージがあることを、最後に案内しましょう。 

 

 たとえば東京-新大阪の日帰り往復では、のぞみ号も利用できる「ずらし旅 日帰り1day 大阪」が価格的にも近く、有力なライバルになります。また2名での旅行なら「EXこだまファミリー早特3」のほうが安くなります。 

 

「ぷらっとこだま」がもっともパフォーマンスを発揮するのは、たとえば片道を飛行機と組み合わせるなど、“移動そのもの”を楽しむ旅なのかもしれません。 

 

植村祐介 

 

 

 
 

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