( 177583 )  2024/06/05 01:08:41  
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東京都知事選が近づいている中、現職の小池百合子知事や立憲民主党の蓮舫参院議員など様々な候補者が話題になっている。

選挙は「学歴詐称疑惑」や「二重国籍」などの問題が浮上しており、有権者はどの基準でリーダーを選ぶべきか悩んでいる。

大物候補が現れる可能性もあるが、政治の現実では支持する候補に選択肢がない場合もある。

有権者の賢明な判断が求められる状況だ。

(要約)

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橋下徹(橋下綜合法律事務所弁護士) 

 

【ニュースの核心】 

 

東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)が近づいてきた。現職の小池百合子知事(71)が態度を明らかにしないなか、政権批判は天下一品とされる立憲民主党の蓮舫参院議員(56)は早速、出馬会見で小池氏にかみついた。有力候補にそれぞれ「疑惑」や「醜聞」が指摘されるが、1100万人を超える有権者は何を基準に首都のリーダーを選ぶべきなのか。第3の大物候補はいるのか。内閣支持率が「危険水域」に低迷する岸田文雄首相に与える影響とは。ジャーナリストの長谷川幸洋氏は「究極の選択」といえる選挙戦に迫った。 

 

【写真4枚】1993年3月16日の朝日新聞夕刊では「中国国籍」と発言した蓮舫氏 

 

東京の顔を選ぶ選挙は「消去法」の選択になるのだろうか。何ともゲンナリする話だが、そんな雰囲気が濃くなっている。そうだとすれば、有権者は「マイナスの少なさ」で選ぶしかない。それもまた、政治の現実である。 

 

東京都知事選は、小池知事が3選を目指して立候補する意向を固めたとされる。立憲民主党の蓮舫氏も一足先に出馬を表明し、元航空幕僚長の田母神俊雄氏も無所属での立候補を表明した。広島県安芸高田市の石丸伸二市長も出馬を表明している。 

 

いまのところ、20人以上が立候補の意向を表明しているが、軸となりそうなのは前出の4人で、日本維新の会も独自候補を擁立する意欲を示している。 

 

正直言って、私はどれもこれも積極的に支持する気持ちになれない。おそらく、多くの読者もそうではないか。 

 

小池氏には「学歴詐称疑惑」がつきまとっている。ただ、真相はどうあれ、少なくとも大学側に小池氏の卒業を否定する動機はなさそうだ。日本の政治家として都知事や閣僚など要職を歴任してきた彼女は、大学にとって有形無形の恩恵をもたらすからではないか。 

 

■このままでは〝締まりのない戦い〟に 

 

彼女が2016年の選挙で掲げた「7つのゼロ」公約も、「ペット殺処分ゼロ」を除いて、「待機児童ゼロ」や「都道電柱ゼロ」「残業ゼロ」など6つは未達成だ。 

 

それでも、彼女は最有力である。都民ファーストの会や自民党、公明党が支持する見通しで、それぞれ組織票をフル動員するだろう。 

 

 

対抗の本命は蓮舫氏だが、彼女も発言を二転三転させた「二重国籍」問題がくすぶっている。 

 

蓮舫氏は1985年に日本国籍を取得したが、台湾籍を除籍しておらず「二重国籍」状態となった。国籍法で22歳までに行う「国籍の選択」も行っていなかった。2016年8月に疑惑を指摘され、同年10月に「国籍の選択」を履行した。翌17年に台湾旅券と台湾籍の離脱証明書、国籍選択を記した日本の戸籍謄本の一部を公開した。長期間、違法状態を放置して、「二重国籍」のまま参院議員や閣僚を務めていたことになる。 

 

つまり、都知事選は現時点で、「学歴疑惑と公約未達の小池氏か」、それとも「二重国籍だった蓮舫氏か」という〝締まりのない戦い〟になっている。日本維新の会が、コメンテーターとして活躍している元代表で弁護士の橋下徹氏のような大物を擁立しなければ、この基本構図で選挙戦に突入する可能性が高い。 

 

有権者はどうすべきか。 

 

私は、他に有力な選択肢が出てこないならば、保守派の田母神氏に期待したい。 

 

14年の都知事選に立候補した同氏は、後に公職選挙法違反(運動員買収)で有罪が確定し、公民権停止5年の処分を受けている。裁判では「今後は政治に携わることはない」旨の発言もしている。だが、他候補に比べれば、彼が保守派なのは間違いない。 

 

彼のマイナス点を、小池氏や蓮舫氏のマイナス部分と比較して、どちらが「より東京にマイナスか」と考えるしかない、と思うからだ。 

 

田母神氏が当選するかどうかは別にして、彼が善戦すれば、小池氏を支援する自民党への打撃になって、ひいては岸田政権に最後のダメ出しを与える可能性もある。岸田首相は結局、衆院を解散できず、自民党総裁選にも出馬できず、自ら身を引く展開になるかもしれない。 

 

そうなれば、そこから「新しい政治」がスタートする。気勢が上がらない都知事選の惨状が、政治の停滞を招いた元凶である岸田政権に最後の審判を下すのだ。都民の賢明な判断に期待したい。 

 

■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア―本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。 

 

 

 
 

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