( 180323 ) 2024/06/13 15:49:35 1 00 2024年の夏季賞与支給状況について、厚生労働省の統計によると、実質賃金は25カ月連続で減少し、物価上昇に賃上げが追いついていない状況が続いている。 |
( 180325 ) 2024/06/13 15:49:35 0 00 2024年夏季賞与の支給状況 (1人当たり平均、前年比)
大企業で満額回答が相次いだ2024年の春闘。賃金と物価の好循環が強まり、景気の本格的な回復が期待される。こうしたなか、厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査」によると、2024年4月の実質賃金は、過去最長の25カ月連続で減少する結果となり、依然として物価の上昇に賃上げが追いついていない状況が続いている。
名目賃金が上昇しているにも関わらず実質賃金の減少が続き、個人消費への下押し圧力が強まるなか、夏のボーナスが消費を上向かせることができるか注目が集まっている。
そこで帝国データバンクは、2024年夏季賞与についてアンケートを行った。
夏季賞与の支給状況 (1人当たり平均、前年比)
2024年の夏季賞与の支給状況について尋ねたところ、「賞与はあり、増加する」と回答した企業の割合は39.5%(前年比2.1ポイント増)となった。「賞与はあり、変わらない」は34.2%(同2.2ポイント減)、「賞与はあるが、減少する」は11.3%(同2.0ポイント増)で、合計すると、『賞与あり』の企業は85.0%となり、前年(83.1%)から1.9ポイント上昇した。
一方で、「賞与はない」企業は10.3%(同0.9ポイント減)だった。
「賞与はあり、増加する」とした企業からは、「賃上げムードもあるが、業績が好調なのが一番の要因」(鉄鋼・非鉄・鉱業)という声があるなど、業績の回復をあげた企業が多数みられた。
他方、「利益は減少したが、賃上げと賞与アップをしないと従業員の定着が困難になってくる」(情報サービス)のように、業績は改善していないものの、物価高騰に対する従業員の経済的負担の軽減や従業員のモチベーション維持を理由に賞与を増やす企業も少なくなかった。
一方で、「賞与はあり、減少する」企業からは、「円安にともなう仕入価格の高騰分を十分に価格転嫁できず、利益が大幅に減少してしまったため、前年比50%減の支給になった」(輸送用機械・器具製造)のように、原料費の高騰などによる収益悪化を理由にあげる企業が多かった。
夏季賞与が「増加」する企業の割合 ~規模別~
規模別に「賞与はあり、増加する」企業の割合をみると、「大企業」は前年比4.9ポイント増の47.2%となり、全体(39.5%)を7.7ポイント上回った。
他方、「中小企業」は同1.7ポイント増の38.2%、「小規模企業」は同1.9ポイント増の29.2%と、前年と比べて夏季賞与が増加すると回答した企業の割合が「大企業」よりも小幅な上昇にとどまった。
また、「小規模企業」では夏季賞与が「増加」すると回答した企業の割合が全体より約10ポイント低くなっており、依然として企業規模間に格差がみられる。
夏季賞与の増減率の平均
2024年の夏季賞与の従業員1人当たり平均支給額について、前年からの増減を尋ねたところ、夏季賞与の1人当たり支給額は前年から平均で+2.0%だった 。前年(+2.4%)を0.4ポイント下回った。
規模別にみると、「大企業」は+4.1%だった。他方、「中小企業」は+1.7%と「大企業」を2.4ポイント下回っており、規模間格差が目立つ結果となった。
中小企業からは「大企業は利益が大きいようだが、その恩恵は自社のようなサプライヤーには還元されず賞与を減らすこととなった」(鉄鋼・非鉄・鉱業)といった厳しい声が聞かれた。
本アンケートの結果、2024年夏は企業の85%がボーナスや一時金などを含め何らかの賞与を支給する予定であることが明らかになった。なかでも賞与が増加する企業は約4割となり、支給額は前年よりも平均で2.0%増加すると見込まれることが分かった。
賞与を増やす理由として、業績の回復のほか、従業員のモチベーション維持や物価高騰による従業員の経済的負担の軽減を理由にあげる企業も少なくなかった。他方、賞与を減らす企業の多くは、原料費の高騰などによる収益悪化を理由にあげていた。
賞与支給予定の企業は多いものの、今後はエネルギー価格の高騰に対する政府の補助金の終了などによる電気代の値上がりや、円安の進行などを背景とした食品の値上げなどにより、消費拡大への効果は限定的にとどまる可能性もある。
物価の高騰に負けない賞与を含む賃金の上昇、および「持続的な賃上げ」が実現できるかが注目されている。
有効回答企業:1,021社 アンケート期間:2024年6月7日~11日
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