( 181608 )  2024/06/17 16:13:14  
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東京都知事選挙に50人以上の候補者が立候補する可能性があり、メディアや一部の候補者に批判されている。

立候補者はYouTubeなどのオンラインプラットフォームで広告収入を増やす「選挙ブースト」が期待されている。

NHK党の立花孝志代表が異常な立候補数を増やしており、政治家や立候補者の選挙活動による名声向上や節税スキームにも批判の声が上がっている。

(要約)

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 都知事選の報道が加熱している。それもそのはず、今回の都知事選の理候補者数が50人を上回る可能性があり、大きな議論を呼んでいる。読売新聞などはこの現状を批判するが、何か法律に違反しているというわけでもない。経済誌プレジデントの元編集長で作家の小倉健一氏が解説するーー。 

 

 7月7日に投開票が行われる東京都知事選の立候補者が、50人を上回る可能性があり、大きな議論を呼んでいる。NHKの取材によれば、6月11日時点での立候補予定者は、以下だ。 

 

相川絹二郎氏(37) 

 

安野貴博氏(33) 

 

石丸幸人氏(51) 

 

犬伏宏明氏(48) 

 

内野愛里氏(31) 

 

宇都宮小穂氏(31) 

 

内海聡氏(49) 

 

AIメイヤー氏(50) 

 

遠藤信一氏(59) 

 

尾関亜弓氏(43) 

 

小野寺紘毅氏(79) 

 

加藤英明氏(65) 

 

河合悠祐氏(43) 

 

木宮光喜氏(70) 

 

木村嘉孝氏(49) 

 

草尾敦氏(55) 

 

久保田学氏(46) 

 

黒川敦彦氏(45) 

 

桑島康文氏(62) 

 

後藤輝樹氏(41) 

 

小西達也氏(68) 

 

小林興起氏(80) 

 

小林弘氏(49) 

 

小松賢氏(36) 

 

桜井誠氏(52) 

 

佐々木信夫氏(85) 

 

上楽宗之氏(45) 

 

新藤伸夫氏(75) 

 

武内隆氏(61) 

 

竹本秀之氏(68) 

 

津村大作氏(49) 

 

ドクター・中松氏(95) 

 

中江友哉氏(32) 

 

中谷昌文氏(57) 

 

二宮大造氏(53) 

 

野間口翔氏(36) 

 

福原志瑠美氏(41) 

 

福本繁幸氏(57) 

 

舟橋夢人氏(58) 

 

古田真氏(77) 

 

へずまりゅう氏(33) 

 

穂刈仁氏(57) 

 

前田太一氏(38) 

 

松尾芳治氏(46) 

 

南俊輔氏(39) 

 

三輪陽一氏(42) 

 

山口節生氏(74) 

 

山田信一氏(53) 

 

大和行男氏(46) 

 

 ここに、小池百合子氏、蓮舫氏、石丸伸二氏、清水国明氏、田母神俊雄氏が加わる。都知事選挙立候補者は8年前で21人、4年前で22人だったことから、今回は倍以上に膨れ上がることになる。個人的には、SF作家でAIエンジニアの安野貴博氏に興味がある。、元台湾デジタル発展省大臣、オードリー・タン氏から「あなたの考えるデジタル民主主義のやり方が好きだ」と背中を押されている人物である。候補者乱立を嘆く声もあるのだろうが、こうした人に光が当たるのはよいことであろう。 

 

 

 さて、この異常な立候補増を仕掛けたのが、NHK党(政治団体「NHKから国民を守る党」)の立花孝志代表だ。「都知事選に30人の候補を擁立します」と4月11日の記者会見で表明した。この30人立候補の背景を、立花氏自身はこう説明している。 

 

「来年の参院選挙で国政政党へ返り咲くというゴールから逆算していくと、参議院東京選挙区というのは、東京都知事選挙と同じ選挙区、同じ有権者になりますから、ここ(東京都知事選挙)に対して、積極的に我々の政党の存在感をアピールしていく必要があるということです」(みんかぶマガジン、4月26日) 

 

 こうした動きに対して、大手メディアは「激おこぷんぷん丸」状態だ。 

 

 読売新聞(6月12日)は、見出しで[ゆがむ選挙]「民主主義への挑戦」と強い言葉で牽制しつつ、本文ではこう記述する。 

 

<近年の国政選や知事選を振り返れば、政見放送で候補者が個人的なトラブルの内容を相手の実名や勤務先を明かして語ったり、半裸になって卑わいな言葉を連呼したりする事例も相次ぐ。表現の自由を担保するため、公選法は、放送事業者が政見を「そのまま放送しなければならない」と定めており、カットされずに放送された。テレビやラジオを通じて有権者に政策を訴える場が、悪ふざけともとれる行為に使われている。/法の盲点を突くようなこれらの行為について、早稲田大の日野愛郎教授(選挙研究)は厳しく指摘する。「当選以外の目的で選挙活動を利用するのは、民主主義への挑戦とも言える行為。有権者の政治不信につながりかねず、野放しにしてはいけない」> 

 

 読売記者の激しい怒りが伝わってくる筆致だ。 

 

 6月12日時点の情報だと、立花氏は、立候補者は「NHK党から19人、立花氏がサポートする5人が立候補する。24人というところで確定しました」としており、また<1カ所1万円の寄付で、第三者に選挙ポスターを貼る権利を譲る〝都知事選ジャック〟をすでに明かしている立花氏は「メディアは我々がまるで選挙違反をしているように報じているが、民主主義に則ってやっている。ポスター掲示場を建てるのが早すぎる。もうちょっと考えて建てろよと思う」と述べた>(よろず~ニュース、6月12日)と反論をしている。 

 

立花氏でなくても、政治家や選挙候補者が選挙に出馬することによって、YouTubeなどのオンラインプラットフォームでの再生回数が増加し、それに伴って広告収入が増加する現象「選挙ブースト」に着目している人は多いのではないだろうか。 

 

 選挙期間中、候補者は多くのメディアに取り上げられ、かつ、自身の『政見放送』がNHK総合で流れることになる。政見放送は、候補者1人あたり5分30秒以内、候補者の経歴を紹介する経歴放送も30秒以内を1セットして、NHK総合では、各候補者の経歴放送と政見放送をセットで2回ずつ、経歴放送のみを1回流すことになっている。自分の知名度をアップさせたい人にはうってつけであろう。政見放送はNHKのほか、テレビは「TOKYO MX」が放送。ラジオはNHKラジオ第1のほか、選挙ごとに民放1局が持ち回りで流すことになっており、今回はTBSラジオが放送する。 

 

 

 また、新聞折込で配布する選挙公報にも自身の政策をアピールすることができるようになる。 

 

 こうした選挙を利用した売名行為には強い違和感を抱くものの、どうにもならないというのが読売新聞の立場なのだろうか。情報を入手するのにテレビや新聞しかなかった時代は過ぎ去ったのだから、すべて廃止して良いのではないだろうか。選挙ポスターの掲示板も投票所付近に限定し、ネット上や公道での選挙法の規制を緩和していくべきだ。この制度設計で有力な候補者が自身の政策の伝達に苦しむということもないだろう。 

 

 立花氏は、多数の立候補の擁立の他にもこんな試みを構想している。 

 

<我々の政治活動について、いろいろ批判を頂いていますが、私たちは選挙を使ってお金儲けをしますと断言しています。ここは言い切ります。これは、そういうことをはっきりさせないといけない時代が来ているからなんです> 

 

<国税庁と総務省の職員を呼んで、国政政党を使った「節税」について質問をぶつけてきたのです。国民の皆さんが誤解しているのは、政治家が節税の優遇を受けているという報道によって、法律を調べていないから、政治家だけが使えるスキームなのだと思い込まされてしまっていることです。/ここで参考になるのは、亡くなった安倍晋三元首相から、妻である安倍昭恵さんへと政治団体が引き継がれている事実です。大事な点は、「選挙にはでない」と安倍昭恵さんが明言しているにもかかわらず、政治団体の代表となり、相続税や贈与税の対象外となったことです。なぜ、こんなことができたかというと、政治資金規正法で、OKとしているからです>(みんかぶマガジン、5月3日) 

 

 つまり、立花氏は、国政政党の政治家が使っている相続税の節税スキームを国民にも使えるようにするということだ。これまたモラルハザードを生みそうなアイデアであるが、そもそも、国家議員にだけ特権があるほうがおかしいというのも事実だろう。 

 

 立花氏のやってることにまったく賛成できないが、批判をするのなら、どちらもおかしいというか、どちらも正しいというのが本来の立場であろう。 

 

 そんな話題を呼ぶ立花氏だが、5月4日配信したみんかぶマガジンの記事で、来る国政選挙にむけてNHK党からの出馬を打診している有名人を明かしていた。 

 

「今エガちゃん(江頭2:50)に声をかけているところです。明日花キララさんとかにも声をかけていこうとしている段階です」 

 

 一体どうなるのか……。 

 

小倉健一 

 

 

 
 

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