( 182853 )  2024/06/21 01:35:58  
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過去の「盛りすぎチャレンジ」は、ローソンが商品を値段のまま増量するキャンペーンで、過去2回の実施では集客効果が高かった。

このキャンペーンは消費者の興味を引くために47%増量などを大々的に宣伝している。

キャンペーンの準備には様々なコストがかかり、増量した商品の製造や包装に工夫が必要だが、集客数の増加やリピート客の確保などを通じて収益を確保している。

今回のキャンペーンでは、新しい施策も取り入れつつ、消費者の支持をどこまで得られるかが注目されている。

(要約)

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過去の「盛りすぎチャレンジ」にはどんな反響があったのか(出所:ゲッティイメージズ) 

 

 ローソンが現在開催している「盛りすぎチャレンジ」キャンペーン。対象商品の価格はそのままにして増量するという企画で、今回が3回目の実施となるが、集客に与える影響が“半端ない”という。キャンペーンの狙いや反響について、同社の梅田貴之氏(理事執行役員 商品本部長補佐)に話を聞いた。 

 

【画像】増えすぎじゃない!? 増量したプレミアムロールケーキ、カツカレー、おにぎり、ソーセージパン、からあげクン(全8枚) 

 

 盛りすぎチャレンジは「カレーパンの総重量がお値段そのまま47%増量」「サンドイッチのハムがお値段そのまま47%増量」といったように、「47%増量」を大きくアピールしているのが特徴だ。これまでには、2023年2月と2024年2月に実施している。 

 

 過去2回のキャンペーンは集客に大きな効果があったという。2023年2月におけるローソン事業の既存店客数は前年比108.4%、2024年2月は同103.2%という結果に。客数に影響する要因はキャンペーン以外にもあるが、梅田氏は「ダイエーコンビニエンスシステムズ(現ローソン)に入社してから、30年以上勤務しているがこれほど客数が伸びた施策はなかった」と驚きを隠さない。 

 

 コンビニの客数が一気に増えたイベントの事例として、梅田氏は2008年に「taspo(タスポ)」対応のたばこ自動販売機が導入されたことを挙げる。当時、タスポ発行の手間を嫌った多くの消費者がコンビニでたばこを購入するようになった。規模の大小はあれど、梅田氏がタスポを引き合いに出すほどのインパクトが過去の盛りすぎチャレンジにはあったということだ。 

 

 ローソンでは、過去にも期間限定の値引きや、値段そのままでおにぎりやサンドイッチの具材を増量するといったキャンペーンは実施してきた。しかし、対象商品の数や増量の規模などの点で、改良の余地があった。 

 

 なぜ、ローソンは今回のキャンペーンを企画したのか。梅田氏は「物価が上がり続けているのに、実質賃金がなかなか上がらない。消費マインドが弱まっていた」と背景を説明する。 

 

 生活防衛マインドが高まる中で消費を促そうと思ったら「値下げ」という選択肢もあるが、なぜ増量なのか。この点について梅田氏は「単なる『お得』ではなく、ワクワクするような楽しさも提供したい」(梅田氏)と説明する。例えば、ローソンの看板商品であるプレミアムロールケーキは、今回のキャンペーンで山のようにクリームを盛り付けている。ビジュアル的なインパクトも大きく、消費者のワクワク感を高める効果が期待できる。 

 

 梅田氏は「1回目のキャンペーンを検討するために、試作品を社内で共有したところ、増量した商品に対する社内のリアクションがとても良かった。この熱は必ず伝播すると確信した」と振り返る。これまでの盛りすぎチャレンジのインパクトは絶大で、商品の売り切れが相次いだだけでなく、SNSでも大きな話題になった。 

 

 

 キャンペーンの準備にはさまざまなコストがかかる。 

 

 例えば、増量することで商品の製造時間が通常の1.5~2倍になるケースもある。ボリュームが多いので特別な包材を用意しないといけない。増量した分、電子レンジで温める時間が長くなる場合は、より耐熱性のある容器を用意する必要がある。対象商品に注文が殺到することを想定し、加盟店の発注方法も工夫した。 

 

 このように、キャンペーンを実施するには、原材料以外にもコストがかかっているが、「客数が増える」「盛りすぎチャレンジに惹(ひ)かれて来店した人が、ついでに他の商品も買う」「キャンペーン終了後も、商品の魅力を知った利用客がリピートする」といった効果のおかげでトータルでは収益を確保できているという。 

 

 今回の盛りすぎチャレンジでは、いくつか新しい施策に取り組んでいる。例えば、グループの「ローソンストア100」でも、同様のデカ盛りチャレンジを開催している。また、同社の創業49周年を記念した「創業祭福袋」(1080円)を発売したところすぐに完売した。運営面では、過去の盛りすぎ対象商品の販売実績も考慮し、日々の発注数を予約制にするといった工夫もしている。 

 

 ローソンでは2024年度上期の商品戦略として、時間効率を意識したタイパ(=タイムパフォーマンス)や、費用対効果を意識したコスパ(=コストパフォーマンス)ニーズに対応した商品を強化するとしている。 

 

 タイパに関しては、容器を振ることでドレッシングや具材が混ざり、肉・野菜・パスタを手軽に食べられるパスタサラダを投入している。今回の盛りすぎチャレンジのキャンペーンは、コスパを意識した戦略だ。1~2回目の実施を踏まえ、運営方法をブラッシュアップして挑んだ今回の盛りすぎチャレンジはどこまで消費者の支持を得られるか。 

 

ITmedia ビジネスオンライン 

 

 

 
 

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