( 184378 )  2024/06/25 16:40:25  
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40代の男性声優が隣の席の女性に席を移られたことが問題となり、トナラ―と呼ばれる人が話題になっています。

トナラ―は公共交通機関で空席があるのにわざわざ隣に座る人のことで、日本だけでなく海外でも問題になっています。

海外のSNSでは同様の話題が取り上げられ、多くの人がトナラ―行為を嫌がっています。

外国でもトナラ―について議論があり、人々の間には様々な見解があるようです。

(要約)

( 184380 )  2024/06/25 16:40:25  
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電車の席(画像:写真AC) 

 

 電車やバスで席ががら空きなのにも関わらず、わざわざ隣に座ってくる人がいる。いわゆる「トナラ―」と呼ばれる人である。 

 

【画像】えっ…! これが40年前の足立区「竹ノ塚」です(計16枚) 

 

 先日は、40代の有名男性声優がトナラ―行為により隣の席の女性に席を移られたことを 

 

「不快」 

「なんかしらのハラスメント」 

 

だと感じたという投稿が物議を醸した。その後投稿は削除され、世間に不快な思いをさせたという旨のおわびの文が掲載された。 

 

 女性にとって男性のトナラ―は痴漢の可能性も考えられるので、不気味な存在である。一般に、トナラ―に来られて席を変える理由について、SNSではときにストレートすぎる表現ではあるが、このように書かれている。 

 

「キモいから」 

「臭いから」 

「不潔だから」 

「体温が高くて熱いから」 

「大柄な人に来られると狭くなるから」 

「荷物が多いから」 

 

「キモイ」というのは、トナラ―個人の問題である場合もあれば、隣に座ってくる行為・感覚に対しての場合もある。つまり 

 

「男女どちらでもトナラ―は嫌われる」 

 

ことを知っておきたい。そもそも、「空いているのになぜわざわざ隣に来るのかわからない」、「とにかく来るな」といった声であふれている。 

 

これらが日本特有の感覚とは思えないが、実際に海外でトナラ―は問題視されているのだろうか。 

 

バスの席(画像:写真AC) 

 

 海外のSNSである「Quora(クオーラ)」や「reddit(レディット)」では、 

 

「公共交通機関では空席があるのに、なぜ隣に座ってくる人がいるのでしょうか」 

「空席があるのに隣に座ってくる人を阻止する方法はありますか」 

 

といった掲示板が過去にいくつも立てられている。「空席がたくさんあるのなら、隣に座らないのはマナー」だという書き込みが多く、もしもそうしたら、 

 

「相手から厳しい視線を浴びることになる。バスで空席だらけなのに、自分以外にひとりしかいない人の隣に座る、そんな人にはならないで。特に、自分が男性で女性の場合はなおさら」 

 

というのは、日本とまったく変わらない。 

 

 コメントへの返信では、日本と同じで、隣に駐車してくる車のことにも言及されている。 

 

「ヨットに乗っていて静かな停泊地を見つけたのに、すぐに隣にもう一艘(そう)やってきて静かで穏やかな時間が一瞬で終了した」 

 

という“船バージョン”もあった。 

 

「群れをなしたいという本能なのではないか?自分のように真逆の感覚の人もいるけれど」 

 

というトナラ―の心理を分析した投稿が同意を集めている。電車やバスで隣の人が話しかけてくることは日本よりも珍しくないので、 

 

「きっと話しかけられたいと思われているのでは」 

 

というものも複数あった。隣に座らせないための対策に、 

 

・席に荷物を置く 

・近づかないでほしいというオーラを放つ 

・卵など臭いがするもの、そしゃく音が出る食べ物を食べる 

 

といったことをする人もいるが、隣に来られたら席を移動するという人が少なくないようだ。 

 

 

電車の席(画像:写真AC) 

 

 米国版の『ニューズウィーク』は、前述のレディットで話題になった投稿を取り上げている(2022年9月20日)。 

 

 「公共交通機関で『他に空席がたくさんあるのに、すぐ隣に座るのはおかしい』といった私は、最低な人間なのか」 

 

というタイトルの投稿は、10時間で約9000件の賛成票と1200件のコメントを集めた。 

 

「あれは本質的に超変な行為」 

「公共交通の通常の慣習を破っている」 

「がらがらなのにすぐ隣の小便器を使われるような雰囲気」 

 

 多くのオンラインプラットホームで同様の反応が出ていることもあり、記事では、 

 

「空席がたくさんある場合は他の人と離れて座るのが暗黙のルール」 

 

であり、各国共通と結論づけている。 

 

バスの席(画像:写真AC) 

 

 できることならずっと隣が空いていてほしいと多くの人が願っているが、一方で、自分の隣だけが空席のままであり続けると、人は不安になる。 

 

 2010年の『ニューヨークタイムズ』に、寄稿したのは、4年間週2回電車で移動していた黒人の著名な大学教授である。教育水準が高く豊かな地域を通る路線で、乗客は白人ばかり。混雑しているのに、隣に座ってくる人がいなかったという。 

 

 自己分析するに、自身も中流階級の外見を持ち、いかつい顔つきでもなく、過度の体臭・口臭があるわけでもない、 

 

「ヒップホップの服装でもないし」 

 

宗教的でもない。そうすると、理由は肌の色だと結論づけられる、というものだった。2日後、それに対する何人かの読者の投稿が掲載された。 

 

 その教授とは逆に、白人の教師で、ロサンゼルスの乗客が主に黒人とヒスパニック系の電車に12年間乗っていたけれど、隣に人が座って来なかったという共感を伝える人。 

 

 年老いた白人女性で、隣に座られないのは、自身への年齢差別なのか、もしくは肥満という「犯罪」が原因なのかと自己分析する人。 

 

 また、 

 

「昔、バスで人々がどこに座るかという研究を読んだことがあり、記憶によると、皆自身と近い人の隣を好む。最も重要なのが性別、年齢、そして最後に職業や収入などが近そうな人。だから必ずしも悪い意味ではない」 

 

とフォローする人もあった。 

 

 多くの人がトナラ―は嫌だし、まったく座られないのも不安、だと思うが、どうだろうか。 

 

鳴海汐(国際比較ライター) 

 

 

 
 

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