( 184713 )  2024/06/26 17:07:29  
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2024年4月まで9ヶ月連続で国内販売トップだったホンダの軽自動車「N-BOX」が、5月にスズキの「スペーシア」にトップの座を明け渡した。

N-BOXは長期間圧倒的な人気を誇っていたが、スペーシアが勢いを増してきている。

新型N-BOXは技術面でも進化を遂げ、売れ行きを期待されたが、販売数は伸び悩んでおり、価格の上昇やライバル車のデザインにも劣勢が続いている。

(要約)

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ベストカーWeb 

 

 2024年4月の車名別新車販売台数で14,947台を記録し、9ヶ月連続国内販売台数トップとなっていたホンダの軽スーパーハイトワゴン「N-BOX」。しかしながら、5月の販売数ではスズキ「スペーシア」にその座を明け渡してしまった。スペーシアは前月比121%と勢いを増している状況で、「絶対王者」の安定感があったN-BOXに暗雲が立ちこめている。 

 

【画像ギャラリー】ホンダの爆売れ軽スーパーハイトワゴンホンダ「N-BOX」の歴代モデル(17枚) 

 

 文:立花義人、エムスリープロダクション/写真:HONDA、SUZUKI 

 

 日本でもっとも売れているクルマである、軽スーパーハイトワゴン。いまやセカンドカーではなくオンリーワンの一台として持つ人も多く、売れるジャンルであることから各メーカーとも気合いが入っており、その競争は熾烈を極めている。その中でも圧倒的な人気を長期間維持してきたのがホンダの「N-BOX」だ。 

 

 現行モデルは2023年10月に登場した3代目。パッケージングやデザインのイメージは先代から大きく変わっておらず、パワートレインやプラットフォームも2代目からのキャリーオーバーであり、フルモデルチェンジというよりも、大幅改良版、という印象ではある。 

 

 シンプルでクリーンなイメージを強めた内装や、ステアリング越しに見るメーターパネル、進化した衝突被害軽減ブレーキ、渋滞追従機能を追加したACC、ホンダ軽初となる近距離衝突被害軽減ブレーキの搭載など、全方面であらゆる進化を遂げている。もともと完成度の高いクルマが、微に入り細をうがつ高度な改良を見せた、という印象だ。 

 

 そんな新型N-BOXの月販目標販売台数は1万5000台。発表月の2023年10月は2万2943台を記録した。しかし販売3か月目である12月には、早くも2万台を割り込んでしまった。 

 

 翌月である2024年1月からはさらに雲行きが怪しくなる。この月の販売台数は1万7446台で、これは前年比で12%減。その後2月は1万6542台(16%減)、3月は2万360台(27%減)、4月は1万4947台(前年とほぼ同じ)という結果。 

 

 新型登場による販売数の底上げが期待される状況で、前年同月比でモデル末期の先代より売れていないという結果は、「思ったより売れていない」といわざるを得ない。 

 

 しかも2024年初頭は、不正問題で初売りを自粛したダイハツからユーザーを獲得できるチャンスでもあった。そのチャンスには、N-BOXと同時期にフルモデルチェンジしたスペーシアが順調に販売台数を伸ばし、冒頭で触れたように5月には1万5160台を販売し、トップの座を獲得。スペーシアの前年同月の販売台数は7901台であり、今回91%アップを達成したことになる。 

 

 

 N-BOXは、軽スーパーハイトワゴンならではの広い室内や使いやすいラゲッジスペース、シートアレンジの豊富さなどが魅力のモデル。これらは、新型でももちろん継承され、子供の乗り降りのしやすさなど細やかで配慮の行き届いた使いやすさが実感できる。 

 

 ただ、それだけに、大きく変えることは難しかったと思う。もちろん細かなブラッシュアップはなされているものの、いま評価されている魅力をそぐようなことはできず、デザインも、あまりにも大きく変化させるようなことはその後の人気を左右してしまうため、無難なデザインに落ち着いてしまう。N-BOXの公式ホームページでも、「新旧モデル比較」という別ページが設けられ、どこが変わったのか写真付きで解説されているぐらいだ。 

 

 一番のネックは価格だ。新型の価格は標準タイプが164万8900円~196万5000円、カスタムが184万9100円~236万2800円。先代は標準タイプが146万8500円~206万2500円(先代は標準にターボがあったため、価格が高め)、カスタムが182万4900円~228万8000円だったため、エントリーグレードだと18万円のアップと、随分価格が上がった印象をうけてしまう。 

 

 価格上昇は仕方のないところではあるのだが、その上昇に見合うほどの魅力が感じられず、思ったより乗り換え需要が満たせていないのが、販売数鈍化の一因になっているのだろう。 

 

 またカスタムのデザインが、新型はややおとなしくなったのも気になる。カスタムの場合、スポーティで押し出し感のある先代のほうが好みと感じる人は少なくないはずだ。 

 

 ライバルの新型スペーシアカスタムは、派手なメッキグリルや鋭く細めのヘッドライトを採用しており、ずっとスタイリッシュで、先代N-BOXカスタムのような意匠に近づいたように感じる。カスタムには、あのくらいのギラギラ感がほしいところであり、この新型スペーシアカスタムのデザインは、間違いなくスペーシアの売り上げ上昇に貢献しているだろう。 

 

 軽スーパーハイトワゴンをファーストカーとして選ぶ人が多くなっているためか、スズキの先代スペーシアギアやタントファンクロスといったSUV風カスタムにも注目が集まっている。N-BOXにも「N-BOXジョイ」というカスタムモデルの投入が予定(10月登場と予想されている)されており、アウトドアレジャーでの使い勝手を向上させた仕様として登場することが期待されている。N-BOX販売数向上の起爆剤となるか、注目したい。 

 

 

 
 

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