( 185178 )  2024/06/28 01:29:10  
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中小企業にとって新しい人材が即座に退職するのは痛手だが、採用面接で即戦力を見抜く方法を紹介。

(要約)

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社員数が少ない中小零細企業にとって、新しい人材を採用しても即座に退職されるというのは、かなりの痛手。すぐ辞めるかどうか、その傾向があるかは、質問の仕方である程度把握できる(写真はイメージです) Photo:PIXTA 

 

 大手と違い、小さな会社では採用にかけられる予算も限られています。10年後、20年後に会社の柱となるような人材に来てもらえるような採用活動をするには?キャリアカウンセラー・社労士の中谷充宏さんの『小さな会社の採用 お金をかけなくてもここまでできる!』(秀和システム刊)から、採用面接ですぐに辞めない「即戦力」の人材を見抜く方法を紹介します。 

 

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● 質問(1)本音を見抜く 「当社についてご存知のことを、すべて話してください」 

 

 面接テクを身につけた応募者の本当の姿を面接だけで見破るのは、実際のところかなり難しいです。筆者は面接を開始する前に、 

 

 「一緒に働くとなると、家族より長い時間を共有することになるので、ミスマッチがあるとお互いに不幸ですよね。それなので、できるだけ本音で話してください。もちろん、私も本音でお話しします」 

 

 と伝えていますが、それでも本音ではなく建前の話は混ざってきます。 

 

 といっても、ありきたりの質問ではなく、聞き方を変えることで、その糸口を見出すことができます。 

 

 たとえば「当社への志望度は?」と聞かれたら、応募者はほぼ「志望度は高いです」、「第1志望です」と回答するでしょう(そう言っていたのに、次の選考や内定を辞退された経験、ありますよね?) 

 

 それなので「当社を志望する理由を教えてください」とそのまま聞いても、効果的ではありません。同業他社でも当てはまる凡庸な回答しか返ってきません。 

 

 そもそも知名度のない中小零細企業ですし、「ここで働いてみたい」という意欲は、面接や説明会等で実際に働く社員から話を聞くなど、双方のコミュニケーションを通して熟成していくものですので、いきなり面接で聞くこと自体、無理があります。 

 

 【NG!】 

志望動機についての質問が、「当社を志望する理由を教えてください」のみ。 

 

 【OK!】 

「当社についてご存知のことを、すべて話してみてください」 

 

 湯水のように自社の情報が出てくるのか、だんまりか。事前に企業研究をきちんとする人なのかが見えますし、自社への想いの強弱も測ることができます。 

 

● 質問(2)「すぐ辞めないか」見抜く 「重視するポイントを3つ挙げてください」 

 

 社員数が少ない中小零細企業にとって、新しい人材を採用しても即座に退職されるというのは、かなりの痛手です。すぐ辞めるかどうかなんて、そもそも誰もわかりませんが、その傾向があるかは、質問の仕方である程度把握できます。 

 

 ストレートに聞いても、「もちろん、すぐ辞めたりしません」、「はい、御社で長く働きたいと思っています」といった建前の回答しか得られないでしょう。 

 

 【NG!】 

「すぐ辞めたりしませんよね?」 

「当社に入社したら、長く勤められますか?」 

 

 ここも聞き方を変えてみましょう。 

 

 

 【OK!】 

「今回の就職(転職)にあたって、重視するポイントを3つ挙げてください。たとえば、ワークライフバランスとか、高い給与といった処遇面とか」 

 

 ただ漠然と「3つ挙げてください」だと応募者も回答しづらいので、こちらから例示しておきます。たとえば残業が多い働き方の職場だとしたら、ワークライフバランス重視の人とは相いれない可能性が高いと言えます。 

 

 「やりがい」や「自己成長」といった、曖昧さが残る点を重視すると回答されたら、次のように聞いて、定義してもらってください。 

 

 【OK!】 

「あなたにとってのやりがい(自己成長)とは?」 

 

 たとえば、「やりたい仕事ができる」が定義なら、そのやりたい仕事を入社直後から提供できるかという点から、自社に合っているかの判断材料にします。 

 

● 質問(3)「コミュ力」を見抜く 「あなたにとって仕事とは?」 

 

 仕事を進めるに当たり、コミュニケーション力(以下「コミュ力」)は非常に重要です。面接で、ある程度は測れるはずです(ズレた回答を連発するなら要注意)。 

 

 【OK!】 

(1)「あなたにとって、仕事とは何ですか?」 

「○○についてどう思いますか?」 

 

 (2)「仕事をする上で、苦手なタイプはどんな人ですか?」 

「その苦手な人と、どのように付き合っていきますか?」 

 

 (3)「あなたは、周りからどのように言われることが多いですか?」 

 

 (4)「独りで黙々とする仕事と、仲間と一緒にする仕事、どちらがやりやすいですか?」 

 

 (5)「それはなぜですか?」 

 

 (1)漠然としていて、パッと答えにくい質問。事前に回答を用意できないため、即応性を見ることができます。 

 

 (2)苦手なタイプを聞いて終わりではなく、それにどう向き合うのかまで突っ込んで聞くことで、苦手から回避しないコミュ力を感じ取ることができます。 

 

 (3)周りとコミュニケーションがとれている人なら、周りからの自分の評価を把握できているはずです。 

 

 (4)周りとコミュニケーションを取ることに関して、ポジティブなのかネガティブなのかが見える質問です。 

 

 (5)コミュ力が高い人は、回答が論理的で一貫性があります。回答を深く追及することで、それをあぶり出すことができます。 

 

● 質問(4)「協調性」を見抜く 「職場の人と意見が対立したら、どうしますか?」 

 

 少数精鋭の中小零細企業に、協調性の乏しいわがままな社員が一人でもいたら、会社組織が崩壊しかねません。協調性を測るのに有効的な質問は、以下です。 

 

 【NG!】 

「協調性は、ある方ですか?」 

 

 【OK!】 

(1)「チームワークを発揮して成果を出した経験があれば、教えてください」 

(2)「職場の人と意見が対立したら、どうしますか?」 

(3)「余裕がない状態で、職場の仲間から支援を求められたら、どうしますか?」 

(4)「仕事をする上で、大切にすべきことは何ですか?」 

(5)「これまでにチームで成し遂げた経験と、その中でのあなたの役割について教えてください」 

 

 (1)(5)やはりこうした経験が乏しいと、会社組織に入ってもどうふるまえば良いかすらわからず、協調性に欠ける可能性があります。 

(2)対立を解消した経験があれば、それに基づいて回答するはず。その解消法から協調性の有無を判断できます。 

(3)「もちろん、支援します」と回答したら、「余裕がないのに?」と追及して、本当にそこまで対応する気持ちがあるのか、本音を引き出します。 

(4)あえて漠然とした質問をすることで、ここで「個人>組織」という旨を感じ取れたなら、協調性に乏しい可能性があると見ます。 

 

 こうしたストーリーを語ってもらえば、協調性の有無を測る材料を複数、収集することができます。 

 

中谷充宏 

 

 

 
 

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