( 185338 ) 2024/06/28 16:18:31 1 00 特急列車では最近、全席指定席が主流となっており、乗客数の増加と自由席の混雑から、全ての乗客に座席を提供するために導入されている。 |
( 185340 ) 2024/06/28 16:18:31 0 00 電車(画像:写真AC)
最近、特急列車は「全席指定席」がはやっている。JR東日本やJR西日本の主要都市間を結ぶ列車や新幹線に連絡する列車では、全席指定席となっていることが多い。これは、乗客数が多い上に、自由席が混雑することが多く、すべての乗客に座席を確保してサービスを提供したいという理由による。
【画像】えっ…! これが40年前の足立区「竹ノ塚」です(計13枚)
例えば、JR東日本の特急列車「あずさ」「かいじ」では、以前は自由席が連結されていた。しかし、これらの自由席は混雑することが多かった。そのため、全席指定席とし、座席を確保できない人のために座席未指定券を販売している。
近年、首都圏・関西圏を中心に、全席指定の特急列車が人気を集め、着席サービスの販売を売りにしている。
この傾向は全国に広がっている。最近では、JR北海道が運行する「北斗」「おおぞら」などの主要特急列車が全車指定席となったことが鉄道業界で話題となっている。これは、着席サービスの確保を目的としたものである。また、札幌~旭川間の「ライラック」「カムイ」も指定席車両を増やしている。
全席指定の列車は、「えきねっと」で購入すると割引になる。しかし、この動きには、多くの反対意見が寄せられている。
JR北海道が全席指定席にした特急のなかで「すずらん」(札幌~室蘭間)は、最も強い反発を受けた。これまでは、多くの乗客が自由席の格安きっぷを利用していたが、全席指定席化や「えきねっと」での割引により、利用客が減少している。これに対し、JR北海道は危機感を抱いている。また、JR北海道は、全席指定席ではない特急列車「大雪」(旭川~網走間)の利用低迷も問題視している。
ここで、このふたつの列車の性格を考えてみたい。特急「すずらん」は、もともとは自由席主体の列車で、停車駅も多い列車だった。ところが「北斗」の本数が多いことから、本数は少なめだ。
午前中に室蘭エリアから札幌に行き、夕方に札幌から室蘭エリアに帰るという人がよく利用している列車である。安い割引きっぷで利用する人が多かった。しかし、この5月は、平年よりも利用者が2割減となっている。
特急「大雪」は、札幌~網走間の特急「オホーツク」を区間短縮させたものである。全車普通車で指定席は2両、自由席は1両の3両編成である。石北本線の特急は区間短縮や本数減により、利用者は高速バスに流れる状態が続いている。利用客低迷で快速にするという議論がJR北海道内で行われている。
これらの列車の特徴を示してみる。まずは比較的停車駅の多い列車である。「すずらん」は「北斗」が停車しない駅にもこまめに停車し、駅間の走行時間が10分少々であることも多い。こういった列車では、自由席券を購入し、短区間だけ利用するという乗車パターンもある。普通列車が少ない区間ならなおさらである。こういったケースに備えて、座席未指定券が導入された。「大雪」は駅間の距離こそ長いものの、そもそも駅自体が少ない区間を走っていることもあり、有人駅ならほぼすべて停車しているとさえ考える。
次に、地域輸送を主体とした列車だということだ。走行距離こそ長いものの、普通列車などが頻発している区間ではない(特に「大雪」)ため、その列車に乗車しなければならない人も多い。地方の特急には、こういった列車は多くある。ちなみに、「すずらん」は6往復、「大雪」は2往復(ただし1往復は運行日限定)である。
国鉄時代の終わり頃まで、各地に「急行」が走っていた。JRになってからもしばらくは残っていた。これらの列車は、車両を新しくして「特急」にするか、車両はそのままで「快速」にするか、ということになった。その後、定期運転の「急行」はなくなった。「快速」にした場合、指定席がないことも多く、いつの間にか普通列車になってしまったものもある。
「特急」に格上げされたものは、現在もなお運行を続けている。しかし、短編成化が進み、3両編成や2両編成の列車などもよくある。
短編成の特急が目立つのは、JR東海やJR西日本、JR四国である。JR東海では特急「ふじかわ」「伊那路」が3両編成、「南紀」が2両編成になっている。JR西日本では、「スーパーいなば」「スーパーおき」「スーパーまつかぜ」(一部を除く)が2両編成である。JR四国では「宇和海」「あしずり」「うずしお」「剣山」「むろと」で2両編成が見られ、指定席が半室という列車もある。なおJR九州にも2両編成特急はある。「指定席」と「進行方向向き座席」があるという理由で、「特急」になっているという列車もあると考えていい。
着席に料金を課す、というのはわかる。しかし、高規格の道路網が地方のかなりの場所までできている現状(しかも、地方だと高規格道路は無料であることも多い)で、さほどの速達性がない特急に料金を課すというのは、鉄道離れの原因ともなっているのではないだろうか。
JR北海道の「すずらん」は、気軽に安く利用できる特急として支持されてきた。「大雪」は、札幌直通ができないまでも、地域内での短距離移動にも役立つ特急として大切にされている。利用客は少なくても、ないと困るという性質の列車なのだ。しかし、高い特急料金を払うには……という状況だ。
また多くのJRで運行されている短編成の、自由席主体の特急列車は、速達性で高規格の道路に負けているところがある。国鉄時代の終わり頃に「快速」に格下げされた列車は車両の陳腐化に問題があったが、特急列車の車両を使用した快速列車ならば、乗り得列車としてかえって乗客を集められるのではないか。「特急」にするほどでない列車は、指定席つきの「快速」でいいのではないか。そのぶん、人に乗ってもらえば問題はない。
小林拓矢(フリーライター)
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