( 185925 ) 2024/06/30 02:17:10 0 00 父親にも、産前産後のパートナーを支えながら仕事をすること、仕事への影響、職場の理解を得ることなど多くの不安があります(写真:metamorworks/PIXTA)
今や大手企業では男性の育休(産後パパ育休)も当たり前になってきました。しかし、父親になる世代はどうしても仕事の責任やキャリアアップが気になるタイミングと重なりがち。 そんなパパたちが知っておきたい、令和のパパの子育てのホンネと、仕事と両立するための知恵、子どもと二人っきりの時の遊びかたなどを新著『パパの子育て応援BOOK』では紹介しています。
産後にメンタルヘルスの不調のリスクありと判定された父母の割合をグラフで見ると?父と母に違いは?
本稿では同書から一部を抜粋しお届けします。
■出産のない父親の「産後うつ」
子育てをしていると、楽しいときや大変なとき、時には大笑いしたり、悲しくなったり、怒りたくなるときだってあります。そして、辛いことも。
特に0歳児の子育ては大変です。一日に何枚もオムツを替えて、泣くたびに抱っこして、授乳もあり、夜泣きもあり、寝不足で心も体も本当に疲れてしまいます。今、母親の10人に1人が子育てを頑張りすぎたり、疲れ切ってしまったり、頼れる人がいなかったり、話し相手がいなかったり等、様々な原因で「産後うつ」になってしまうケースがあります。そして、実は父親も産後うつになってしまうことがわかってきました。
国立成育医療研究センターが2020年に発表した調査〈図〉によると、産後1年間で精神的な不調(=産後うつ)と判定された父親は11.0%で母親とほぼ同じ水準であることが報告されています。
妊娠・出産は母親のこと、というイメージの中で、父親の不調が見過ごされた可能性があります。父親にも、子どもが産まれる前の不安や、産前産後のパートナーを支えながら仕事をすること、仕事への影響、職場の理解を得ることなど多くの不安があります。
夫婦で子育てすることが当たり前になった「令和の子育て」。育児休業取得率が伸び、家事・育児時間が増加し、父親が子育てに積極的になる中、仕事も家事・育児も一生懸命にやりすぎてしまい、心に不調をきたしてしまうケースがあるということです。特に母親と同じように、子育てで頼れる人がいなかったり、相談相手がいなかったり、子どもを通じた地域のつながりがなかったりすることが父親を孤立させます。
では、こうした父親に対して、どうすれば産後うつの予防ができるのでしょうか? 2021年2月に成育基本法の規定に基づいた「成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針」が政府により閣議決定されました。
そこには、父親も子育て支援の対象であることが明記されました。
■父親も「子育て支援」を受けよう
子育て支援といえば、母親だけということではなく、父親も子育ての支援を受けても良いのです。地域の子育て支援施設の利用はもちろんのこと、行政の窓口の利活用や保健師への相談など、地域には支援を受けることができる場所や窓口が多くあります。他にも、子どもの通う園で先生へ相談することもできますし、子育て中の父親同士の育児情報の交換もできます。子育てを通し、たくさんのつながりを得ることで子育てがもっとやりやすくなるはずです。
ファザーリング・ジャパンでも会員同士、子育ての話で情報交換する場や子育てのコミュニティを持っています。ぜひ、地域でそんなコミュニティを探してみてください。
働く、子育てする、ということだけでも大変なのに、働きながら子育てすることは更に難しく感じることもあるかもしれません。また、子育て世帯と一口にいっても、夫婦それぞれの就労状況や勤務形態、祖父母や親族によるサポートの有無、夫婦それぞれの仕事と子育てに対する価値観などによって、「家族のカタチ」はそれぞれ違います。
ほかの家庭と比べたり、「現状は変えられない」と考えず、夫婦それぞれの仕事の繁忙状況、夫婦の健康状態、子どもの心身の状態等をその時々で考慮し、夫婦とも柔軟に「変え続ける」覚悟をもつことです。夫婦で、仕事や子育ての状況を共有したり、価値観について対話をしながら、我が家ならではの「家族のカタチ」を作り上げ、変え続けていくことが大切です。
■子育ては期間限定
子どもはあっという間に大きくなっていきます。子育てをしていると、自分自身の子どもの頃の大切な思い出と結びついて温かい気持ちになったり、子どもがいなければ決して経験できなかったような経験ができたり、出会うこともなかったであろう人と出会うことができます。そういった機会は人生をより豊かにしてくれると言っても過言ではないのではないでしょうか。また何より、かけがえのない子どもの成長を見逃してしまうのはとてももったいないことです。
ファザーリング・ジャパンでは『子育ては期間限定のプロジェクトX』というメッセージを発信しています。人生100年時代、子どもと一緒に過ごせる期間には限りがあり、後回しにすることはできません。子育てを楽しむことができる今の時間と、純粋に子育てを楽しもうという想いを大切にしてみませんか。
1年間に生まれる子どもの数は、令和に入り、急激に減少しています。子育て経験のある人が社会から減っていることにより、親子に向けられる目が、10年前と比較しても、より厳しいものとなっているように感じることがあります。
子育て期間は、年齢的に、仕事上での昇進や昇格のタイミングと重なることが多いです。「しっかりやらないといけない」と思うあまり、つい仕事も子育ても頑張りすぎてしまうことがあります。頑張りすぎてしまうと、疲れて心の余裕が少なくなり、子どものことでついイライラし、いつもは気にならないことが気になり、子どもやパートナーにつらく当たってしまうようなことが起きるかもしれません。
子育てしながら働くことは大変で、多少なりとも無理をしたり、踏ん張ることは避けられないでしょう。ただ、そんな時、もっと肩の力を抜き、心の余白を持つことを心がけてみることが大切です。「しっかりしている父親」よりも、心の余白を持つ「笑っている父親」を目指してほしいのです。
ファザーリング・ジャパン :NPO法人
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