( 188298 ) 2024/07/07 00:51:57 0 00 写真:LIMO [リーモ]
岸田総理は2024年6月21日の記者会見において、年金(生活)世帯や低所得者世帯に追加の給付金を支給することを明言しました。
◆【一覧表】過去の「低所得者向け」給付金を振り返る。住民税非課税世帯の年代別内訳も!
実施は秋ごろを予定されていますが、実は現在「2024年度の住民税非課税世帯等」に対し、1世帯当たり10万円の給付金支給が進められている真っただ中です。
これまでもたびたび行われてきた、低所得者向けの給付金施策。
では、そもそもどのような人が住民税非課税世帯等に該当するのでしょうか。
本記事では、2024年度に新たに住民税非課税世帯になる方に向けた「現金10万円給付」の対象者や、給付金の動向についてまとめます。
※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
住民税とは、公共施設、上下水道、ごみ処理、学校教育といった行政サービスを受けるために必要となる税金です。
税率は自治体で異なりますが、例えば東京都の場合は都民税4%、区市町村民税6%の合計10%を納税します。
●住民税の例(東京都) 例えば、本人・専業主婦の配偶者・20歳と17歳の子どもという家族構成で給与収入が500万円という場合、2024年度の住民税は10万4200円です。
毎月の給与から天引きされる住民税は、なかなか負担が大きいものです。高所得者ほど負担が高まるしくみといえるでしょう。
収入がなければ住民税が非課税となりますが、収入が一定以下の場合も支払う必要がありません。
生計を一にする世帯全員が住民税非課税の場合、その世帯は「住民税非課税世帯」となり、昨今の給付金の対象となるのです。
●住民税非課税世帯の要件 住民税非課税世帯となる要件は、以下のとおりです(自治体により異なることもあります)。
1.生活保護法の規定による生活扶助を受けている方 2.障がい者、未成年者、寡婦またはひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合、年収204万3999円以下)である方 3.前年の合計所得金額が、自治体ごとの基準より少ない方 「前年の合計所得金額が、自治体ごとの基準より少ない方」について、次章にて詳しく確認しましょう。
一例として、「東京23区内」「大阪市」では収入いくらで「住民税非課税世帯」に該当するのか確認しましょう。
●東京都23区内の場合 ・同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下 ・同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合:45万円以下 ●大阪市の場合 ・同一生計配偶者または扶養親族がいる場合:35万円 × (本人 + 同一生計配偶者+扶養親族)の人数+ 21万円 + 10万円 ・同一生計配偶者および扶養親族がいない場合:35万円 + 10万円(給与所得者の場合、年収100万円以下である方が該当します。) 単身世帯の場合、年収換算ではおよそ100万円が目安になるでしょう。ただし年金受給者の場合は年収155万円が目安です。
こうした背景もあり、高齢者の方が住民税非課税世帯に該当しやすくなります。
次章では、住民税非課税世帯等を対象とした給付金の動向を確認しましょう。
2023年度には住民税非課税世帯等に対し、合計10万円の現金給付が行われました。同様に、2024年度の該当者にも10万円の支給が決定されています。
ここまで解説したのは「住民税非課税世帯」についてですが、2023年度の給付対象者は「低所得者」も含まれていました。
住民税は「均等割」と「所得割」で構成されていますが、均等割のみ課税されている世帯も対象としたのです。
2024年度の10万円給付も、引き続き「均等割のみ課税世帯(低所得世帯)」を対象とするとしています。
さらに、18歳未満の児童を育てる世帯には追加で5万円が上乗せされます。
対象となる子どもが2人いる場合には、合計で20万円が支給されるでしょう。
ただし、2023年度に同様の給付金を受け取った世帯(辞退したケースも含む)は対象外です。
支給のスケジュールは自治体によって異なるので、23区内のうち、情報がでているものについていくつか確認しましょう(2024年7月6日時点)
・杉並区:7月下旬の予定(新たな住民税非課税世帯等に対する物価高騰対策支援給付金) ・中央区:7月中旬の予定(中央区電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援給付金) ・足立区:7月2日(火曜日)より順次通知書が到着し、申請書が区に到着してから書類に不備がなければ2~3週間程度(あだち物価高騰支援臨時給付金) ・江戸川区:6月27日にお知らせ発送の世帯への支給は7月11日、7月8日にお知らせ発送の世帯への支給は7月24日※ファストパス申請の場合は7月3日に支給済(住民税非課税世帯等給付金) 手続き不要の世帯には「支給のお知らせ」が届きますが、一部「確認書」が届く世帯もあります。この場合は手続きが必要ですので、申請期限に注意が必要です。
必ずお住まいの自治体にて、最新情報をご確認ください。
「住民税非課税世帯」は、現役を退いた高齢世帯が多くを占めています。参考までに、年代別の割合を最後に確認しておきます。
昨日7月5日に公表された、厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」から見ていきましょう。
・30歳代:12.0% ・40歳代:10.0% ・50歳代:13.6% ・60歳代:21.7% ・70歳代:35.9% ・80歳代:52.5% ・65歳以上(再掲):38.1% ・75歳以上(再掲):49.1% 年代が上がるごとに住民税非課税世帯の割合が増えており、65歳以上世帯では38.1%が住民税非課税世帯に該当することがわかります。
高齢者の主な収入源は公的年金ですが、年金収入だけでは生活が厳しい世帯も多いとわかります。
ただし、冒頭で要件を確認したとおり、あくまでも前年の収入により判定されるため、資産額は考慮されません。多くの資産形成に成功した人も含まれているでしょう。
岸田総理は2024年6月21日の記者会見において、「年金(生活)世帯や低所得者、地方経済に焦点を絞って、思い切った検討をしてまいります。具体的には、物価高の中で食費の高騰などに苦しんでおられる年金(生活)世帯や低所得者世帯を対象として、追加の給付金で支援することを検討いたします。」と述べました。
秋ごろに追加の給付金が行われるとあって、この発言が注目を集めています。
物価高で苦しい生活を送っているのは住民税非課税世帯や年金世帯だけではないため、「羨ましい」という声があがることもあります。
ただし、時限的な給付金で生活が安定するとは考えにくいため、資産形成は個人で行うことが大切になるでしょう。
長期的な視野を持つと、老後資金を確保しながら今の生活を守ることが求められます。
物価高の今、どのように老後資金を確保すべきなのでしょうか。
低金利の日本において現預金だけに頼るのは現実的ではなく、新NISAやiDeCoなどを始めた方も多いですね。
複利の効果で「お金に働いてもらう」という視点になりますが、もし老後もゆるやかに運用を続けられれば、老後資金の目減りスピードをゆるやかにすることも期待できます。
ただし、運用にはリスクが伴うので慎重に選択する必要があります。
ここで重要になるのが情報収集ですが、投資だけでなく「公的年金」や「税制」についても正しく理解することで、過度な備えを防ぐことも大切ではないでしょうか。
流行りの金融商品に手を出すのではなく、「必要な分を・自分に合う方法で」継続することが最も重要なのです。
住民税に関しても、あらゆる控除で節税する術がないのか、検討する余地があるでしょう。
・東京都主税局「6 個人住民税の非課税」 ・横浜市「令和5年度 住民税非課税世帯への緊急支援給付金【7万円】の申請手続き 」 ・東京都主税局「個人住民税」 ・杉並区「令和6年度新たな住民税非課税世帯等に対する物価高騰対策支援給付金(10万円)の支給(6年6月4日更新)」 ・中央区「令和6年度中央区電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援給付金【10万円】のご案内」 ・足立区「あだち物価高騰支援臨時給付金のご案内」 ・厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」 ・大阪市「個人市・府民税・森林環境税が課税されない方」 ・江戸川区「令和6年度住民税非課税世帯等給付金(令和6年度新たに住民税非課税世帯等となる世帯への給付)」 ・首相官邸Instagram
太田 彩子
|
![]() |