( 188731 ) 2024/07/08 02:29:54 1 00 2024年6月21日の記者会見で、岸田首相が年金生活世帯や低所得世帯に追加給付金を検討していることを発表しました。 |
( 188733 ) 2024/07/08 02:29:54 0 00 写真:LIMO [リーモ]
2024年6月21日に開かれた記者会見で、岸田首相は年金生活世帯や低所得世帯を対象に追加給付金を検討していると発言しました。
◆【年金生活】70歳代の貯蓄《円グラフ》&厚生年金・国民年金の平均受給額《一覧表》
物価高による家計への影響がより大きいと考えられる世帯への支援策です。
世帯により事情は異なりますが、年金暮らしは悠々自適とはいかないでしょう。では、具体的に年金世帯はどのよう生活を送っているのか。
本記事では、その多くが年金暮らしを送っていると考えられる70歳代に焦点をあて、「貯蓄額・年金額・生活費」を覗いていきます。
現在のシニア世代の暮らしぶりを知ることは老後対策にも繋がります。参考にご覧ください。
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金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)は次のとおり。
なお、これから確認する金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。
●【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値 ・平均:1757万円 ・中央値:700万円 ●【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額一覧表】(金融資産を保有していない世帯を含む) ・金融資産非保有:19.2% ・100万円未満:5.6% ・100~200万円未満:5.1% ・200~300万円未満:4.3% ・300~400万円未満:4.7% ・400~500万円未満:2.5% ・500~700万円未満:6.2% ・700~1000万円未満:5.8% ・1000~1500万円未満:10.2% ・1500~2000万円未満:6.6% ・2000~3000万円未満:7.4% ・3000万円以上:19.7% 70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額は1757万円、より実態を反映していると考えられる中央値は700万円です。
貯蓄額ごとの世帯割合を見ると「貯蓄ゼロ」と「貯蓄3000万円以上」がそれぞれ2割を占めており、二極化している様子がうかがえます。
現行の年金制度では老齢年金の受給開始年齢は65歳からとなりますので、すでに貯蓄を取り崩している世帯もあるでしょう。十分な貯蓄を準備できないまま老後を迎えた世帯も少なくないと考えられます。
貯蓄がいくら必要か、そしていくらあれば安心かは年金収入や生活費などにより世帯ごとに異なるものです。
では、一般的な70歳代夫婦世帯の年金収入や生活費はどれくらいあるのでしょう。
まずは年金収入から。次章で確認していきます。
厚生労働省は年金額改定時に一般的な夫婦世帯(標準夫婦世帯)として、元会社員の夫(厚生年金)と専業主婦の妻(国民年金)を想定した年金額例を発表します。
現代は共働き世帯が増えてきているため「一般的な夫婦世帯」の概念は今後変わっていくと考えられますが、ここでは「厚生年金を受給する夫+国民年金のみの妻」の夫婦世帯が受給する年金収入を見ていきます。
まずは、厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、厚生年金・国民年金の平均受給額を確認しましょう。
●厚生年金 厚生年金の平均受給額(月額)
・〈全体〉平均受給額(月額):14万3973円 ・〈男性〉平均受給額(月額):16万3875円 ・〈女性〉平均受給額(月額):10万4878円 ※国民年金部分を含む
●国民年金 国民年金(老齢基礎年金)の平均受給額(月額)
・〈全体〉平均受給額(月額):5万6316円 ・〈男性〉平均受給額(月額):5万8798円 ・〈女性〉平均受給額(月額):5万4426円 厚生年金・国民年金の平均受給額をもとに、一般的な夫婦世帯が受給する夫婦2人分の年金収入を計算すると、平均で月額21万8301円となります。
夫「厚生年金(男性):16万3875円」+妻「国民年金(女性):5万4426円」=21万8301円
では約22万円の年金収入で老後の生活費を全てカバーすることはできるのでしょうか。
一般的な夫婦世帯の老後の生活費を確認していきます。
総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支は次のとおりです。
・実収入:24万4580円(うち社会保障給付:21万8441円) ・非消費支出:3万1538円 ・消費支出:25万959円 1ヶ月の家計収支:▲3万7916円
年金暮らしの夫婦世帯の平均的な家計収支は上記のとおり、月3万7916円の赤字となります。
実収入のうち年金収入は21万8441円ですので、前章で求めた夫婦2人分の年金収入とほとんど同じです。
こちらのデータでは私的年金や仕送りなどにより、やや収入が多くなっていますが、それでも毎月約4万円の赤字です。
年金生活世帯における一般的な夫婦世帯は、年金収入だけでやりくりすることができないことがわかりました。
こうした厳しい状況で、近年物価上昇が続いています。6月末には約38年ぶりに円が1ドル160円を超え、円安によるさらなる値上げが懸念されている状況です。
冒頭で申し上げたとおり、政府は年金世帯や低所得世帯を対象とした追加給付金を検討しているとのこと。
ただし一時的な支援策であり、家計のバランスを根本的に整えるものではありません。
現役世代の人たちはこうしたインフレリスクも考慮して、老後に向けた準備を進めていく必要があるでしょう。
本記事では、年金生活をおくる一般的な夫婦世帯の「貯蓄額・年金額・生活費」を確認しました。
物価高が家計に与えるダメージは、年金世帯や低所得世帯だけではありません。しかし、収入アップの手段が限られる年金世帯にとって、昨今の物価高は不安が大きいでしょう。
少子高齢化により年金給付額は現行より少なくなる可能性もあります。老後資金の確保はマストといえるでしょう。
・首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見(2024年6月21日)」 ・金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」 ・厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 ・総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
和田 直子
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