( 189201 )  2024/07/09 16:46:08  
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自動車免許を持つ人が自転車で交通違反を犯すと、免許停止など厳しい処分を受ける可能性がある。

自転車事故が増加し、2024年には自転車による交通違反に対する反則金制度が導入される予定。

自転車違反行為には、信号無視やながら運転などが含まれ、これらが免許に影響を与えることもある。

また、自転車の違反は自動車運転への影響もあるため、交通安全への意識が求められる。

さらに、自転車の酒酔い運転も厳しく取り締まられ、自動車と同等の罰則が適用されることから、自転車利用者は交通ルールを守り安全な運転を心がける必要がある。

(要約)

( 189203 )  2024/07/09 16:46:08  
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自転車(画像:写真AC) 

 

 自動車免許を持っている人のなかには、日常生活で自転車を利用する人も多いだろう。自転車は手軽で環境に優しい移動手段だが、ルールを守らないと深刻な結果を招くこともある。 

 

【画像】えっ…! これが自転車違反の「検挙数」です(計8枚) 

 

 実は、自転車による交通違反で 

 

「免許停止処分」 

 

を受ける可能性があるのを知っているだろうか。 

 

 実際に愛知県警で、自動車の運転免許を持つ人が自転車で飲酒運転を行った際、重大な事故を未然に防ぐために 

 

「自動車の運転免許の停止処分」 

 

を決定した事例がある。これは、飲酒運転が自転車であっても非常に危険であり、他者の安全を脅かす行為であるためだ。このような厳格な対応は、自転車の飲酒運転を抑制し、交通安全を向上させるために重要とされている。 

 

 では、具体的にどのような交通違反をすると自動車運転免許に影響を与えてしまうのか。最近導入された自転車による交通違反の罰則とともに、紹介していこう。 

 

運転免許証イメージ(画像:写真AC) 

 

 まず、自転車が交通事故の第1当事者となる場合、自動車運転免許の停止処分を受けることがある。これは、自転車も 

 

「交通ルールを守るべき車両」 

 

として扱われるためである。例えば、2018年に大阪府で発生した自転車と歩行者の接触事故では、加害者の自転車運転者が悪質な行為と判断され、免許停止処分が科された。 

 

 自転車事故の増加を受け、2024年3月に道路交通法の改正案が閣議決定された。この改正案の主要な内容は、自転車による交通違反に対する反則金制度(青切符)の導入だ。 

 

 この制度は、運転者が比較的軽度の交通違反を犯した場合、一定期間内に反則金を支払うことで刑事罰を免れ、違反が処理されるものである。現在、この制度は自動車やバイクの違反に対して適用されており、青切符で処理される。 

 

 この制度が対象とする自転車の違反行為は112種類あり、信号無視や一時不停止、通行区分違反(右側通行、歩道通行)など、自動車でも交通違反に該当する行為に加え、自転車の歩道徐行等義務違反といった自転車特有の行為も含まれる。ちなみに同制度は、 

 

「義務教育を終え、基本的な自転車の交通ルールについての最低限の知識を持っている」 

 

とされる、16歳以上の運転者に適用される。さらに、自転車を運転中に携帯電話などを使用した「ながら運転」、酒気帯び運転を行った場合の罰則も新たに設けられる。反則金は、例えば信号無視は6000円、一時不停止は5000円、ながら運転は1万2000円などとされる見込みだ。 

 

 これらの改正は、自転車利用者だけでなく、自動車運転者にも影響を及ぼす。自転車と自動車が共存する交通社会において、互いを思いやる気持ちが改めて求められる。 

 

 

自転車で転倒する人(画像:写真AC) 

 

 自転車の酒酔い運転も、自動運転免許取り消しの対象になり得る。 

 

 現に、自転車での酒酔い運転による事故は増加傾向にある。2023年の警視庁のデータによれば、自転車での酒酔い運転による事故件数は前年に比べて 

 

「約10%」 

 

増加している。さらに、自転車の飲酒運転による事故のうち、 

 

「約30%」 

 

が重傷以上の被害をともなっている。これは自動車事故に比べても高い割合であり、飲酒がいかに危険な行為であるかを示している。 

 

 これに対処するため、法律面のみならず、各地で自転車運転者への指導や取り締まりが強化されているのだ。法律では、酒酔い運転の罰則は 

 

「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」 

 

と規定されており、これは自動車の運転と同等の罰則となる。その理由は、自転車も 

 

「軽車両」 

 

として法的に扱われるためである。自転車であっても飲酒運転は決して許されない行為ということだ。 

 

 さらに、自転車の酒酔い運転は自分自身だけでなく、他の歩行者や車両の運転者にも大きな危険を及ぼす。自転車は自動車と比べて防護が少ないため、事故が発生した際には重傷を負いやすい。特に夜間や天候の悪い日に酒酔い運転を行うと、視界が悪くなるため事故のリスクが一層高まってしまうのだ。 

 

車道に飛び出す自転車(画像:写真AC) 

 

 自転車による交通違反に対する罰則が強化されている背景には、自転車利用者の増加とともに発生する事故や違反の増加があることも関わっている。 

 

 警視庁のデータによると、2022年10月末から2023年5月末までの間に、自転車の交通違反に対する取り締まりを強化した結果、 

 

「7013件」 

 

の取り締まりが行われ、そのうち約8割が 

 

・信号無視 

・一時不停止 

 

を占めた。これらの違反は自転車利用者の意識不足や交通ルールの順守が不十分であることを示している。 

 

 そのため各地ではさまざまな動きが見られる。例えば東京都では、2023年から自転車運転者向けの講習が義務付けられており、違反者は指定された講習を受けることで罰則が軽減される制度が導入されている。このような取り組みは、自転車運転者の交通ルール順守意識を高めることを目的としている。 

 

 このように、自転車の交通違反が自動車運転免許にまで影響を及ぼすことがあるという事実は、私たちが日常的に利用する自転車の運転への意識を改めるきっかけとなるだろう。交通ルールを守り、安全な運転を心がけたいものだ。 

 

木村義孝(フリーライター) 

 

 

 
 

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