( 189226 )  2024/07/09 16:59:36  
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漫画『ワンピース』の作者である尾田栄一郎氏は、プロデューサーとしても活躍しており、例えば2022年公開の劇場版アニメでは総合プロデューサーとして参画し、200億円を超える興行収入を記録した。

尾田氏は漫画家としてだけでなく、IPの創出にも積極的に関わり、多方面のアイデアを提案している。

尾田氏は活動的で、酒を飲まずにエンタメ関係者とも交流し、常人の何倍もの活動を続けるために睡眠時間を削っているとされる。

(要約)

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『ワンピース』劇場版にも総合プロデューサーとして参画(画像:『ONE PIECE』公式サイトから転載) 

 

世界的ブームが続く日本のアニメ・エンタメ。3兆円経済圏の頂点に君臨するのが、漫画原作を供給し、IP(知的財産)の創出源となる大手総合出版社だ。 

『週刊東洋経済』7月13日号の特集は「集英社、講談社、小学館の野望」。彼らは今、何を考えているのか。非上場会社ゆえに謎の多いそのビジネスの奥の院を解剖する。 

 

 『週刊少年ジャンプ』に連載中の海洋冒険漫画『ワンピース』。同誌の看板を背負うその漫画の作者、尾田栄一郎氏は、驚異的な活動力でエンタメ業界に数多くの逸話を残してきた。 

 

 「鳥山明(『ドラゴンボール』作者)はイラストレーター、井上雄彦(『スラムダンク』作者)は画家、尾田栄一郎(『ワンピース』作者)はプロデューサー」 

 

 あるエンタメ関係者はジャンプを代表する漫画家3氏をこのように評する。 

 

 尾田氏が“プロデューサー”たるゆえんは、メディアミックス作品に、漫画家としての立場を超えた幅広いアイデアを提案するためだ。 

 

■「開発側もついていくのが大変」 

 

 「ゲーム化作品では、尾田先生が主人公ルフィの新しい能力をゲームに盛り込むアップデートと、コミックスの最新刊発売のタイミングを合わせて話題性を高める、ゲーム用の新キャラを出す、といった提案をする。開発側もついていくのが大変だ」(ゲーム業界関係者) 

 

 2022年公開の劇場版アニメ『ONE PIECE FILM RED』では、尾田氏が総合プロデューサーとして企画段階から参画。映画のテーマを「歌」に据え、人気歌手Adoを前面に打ち出すキャスティングなど、豊富なアイデアを披露。200億円を超える興行収入を記録した。 

 

 活発な社交ぶりも知られる。3月に死去した鳥山明氏とは家族ぐるみの付き合いがあった。鳥山氏の生前に開催したホテルでの朝食会は、鳥山氏の家族に尾田氏の家族、それに田中真弓氏ら『ワンピース』の主演級声優も加わり、20人近くが一堂に会したという。 

 

 

 尾田氏自身は酒を飲まないが、自宅にバーのスペースがあり、エンタメ界のセレブを招く。音楽が好きで、GLAYのボーカルTERU氏やMr.Childrenのボーカル桜井和寿氏とも親交がある。 

 

 それでも偉ぶるところがない。「尾田先生を『先生』と言わないように」。ジャンプの新任の担当編集は、前任者からそう引き継ぎを受けるという。 

 

■編集者の指摘どおりに描き直し 

 

 こんな逸話もある。『ワンピース』の担当となったばかりの20代の編集者が、尾田氏から初めて原稿を見せられたときのこと。「なんでもいいから思ったこと言って」と言われた。それに対し、編集者は率直に「ルフィの顔が怖いです」と返した。その後1日、編集者は尾田氏と音信不通になり、肝を冷やしたというが、最終的には尾田氏は編集者の指摘どおりに描き直したという。 

 

 週刊連載にプロデューサー業、著名人との交流。常人の何倍もの活動を続けるため、削られるのが睡眠時間だ。 

 

 あるエンタメ関係者は「(尾田氏の睡眠時間は)1週間で10時間くらいではないか」と話す。それでいて睡眠不足が顔に表れないのだという。「睡眠をしすぎるとバカになりますから」。尾田氏自身、眠らないことについて周囲にそう語っている。 

 

西澤 佑介 :東洋経済 記者 

 

 

 
 

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