( 189748 ) 2024/07/11 14:51:31 0 00 石丸伸二氏
失言から一気に“旋風”が消滅するのか、それとも強い“岩盤支持層”に支えられるのか──。7月7日に投開票された都知事選で約165万票を獲得し、2位に食い込んだ前広島県安芸高田市前市長の石丸伸二氏(41)に批判が殺到している。評価の転換点となったのが、1本の地上波特番、1本のYouTube番組、そして1本のラジオ番組だった。
【画像27枚】炎上の原因となった「決定的瞬間」 冷笑を浮かべているようにも見える“石丸氏の表情”
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放送開始順に見ていこう。日本テレビは公式YouTubeチャンネル「日テレNEWS」で午後7時50分から「【都知事選ライブ】東京都知事選デジタル特番」を配信した。担当記者が言う。
「この特番には社会学者の古市憲寿さん(39)が出演し、石丸さんとの質疑応答が注目を集めたのです。そもそも石丸さんは都知事選で『政治屋の一掃』を訴えており、その点について日本テレビの解説委員長である小栗泉さん(59)が質問しました。ところが石丸さんは明白な回答を避けたようなところがあり、古市さんが再び問いを投げかけました。しかし最後まで2人の会話は噛み合わず、時間切れで終わってしまったのです」
このやり取りに注目したのが「取材不足」氏。「石丸伸二ウォッチャー」を自称し、YouTubeやXで石丸氏に批判的な投稿を行っている。
取材不足氏が現代ビジネスに「都知事選に出馬表明した安芸高田市・石丸伸二市長は『恫喝裁判』『73万円踏み倒し裁判』で相次ぎ敗訴…! それでもSNSで大絶賛される若きエリートの『実像』」など複数の記事を寄稿した際は、石丸氏の支援者と思われる投稿者から批判が殺到し、炎上状態となった。
取材不足氏は古市氏と石丸氏のやり取りを採録し、《安芸高田市で繰り返されてきた典型的な石丸マジックが日テレnewsという全国版で炸裂した。素晴らしい》とのコメントと註釈を付けた上でXに発表した。冒頭の一部だけを引用させていただく。※の部分が取材不足氏の註釈だ。
《古市「石丸さんが批判する政治屋と石丸さん自身はどう違うんですか?」 石丸「なんか堂々巡りになってる気がするんですけど、先ほど定義についてお話しましたよね」 ※初めての質問なので堂々めぐりの要素はありません 古市「だから改めて定義を聞いてるんですけど、石丸さんの考える、批判する政治屋と、石丸さんが今自分が体現してる政治家っていうのはどう違うんですか? その定義を聞いてます」 石丸「同じ質問を今繰り返しされてます? さっき答えたばっかりですけど」 ※石丸氏は政治屋の定義しか答えていません》
このような押し問答が開票特番で放送されることは滅多にない。一般のネットユーザーも古市氏と石丸氏のやり取りをXなどに投稿し、あっという間に拡散した。これにお笑いタレントのふかわりょう(49)がXに「【心配】 石丸さん、サブウェイ注文できるかな」と投稿するとネット上で一気に火が付いた。
「サンドイッチのチェーン店であるサブウェイは店員さんにパンの種類やトッピングなど、細かく指示する必要があります。ふかわさんは『石丸さんのような高圧的な態度では、店員とコミュニケーションが取れるはずがない』と揶揄したわけですが、これにネット上は盛り上がって“石丸構文”という造語を作ってしまいました。古市さんとの会話を元に、石丸さんがサブウェイで注文しても噛み合わない様子がパロディ化されるなどし、石丸さんを批判する声は拡散を続けました。あまりにも反響が大きかったため、かつて『セクシー発言』などが批判された元環境相の小泉進次郎さん(43)も“小泉構文”という造語が作られ、石丸構文と小泉構文を比較する投稿も相次ぎました」(同・記者)
TBSラジオは午後7時58分から「開票LIVE2024~カオス! 東京で何が起きていたのか」を放送。メディア評論家の荻上チキ氏(42)が「どんな点、手応えを感じた選挙だったのでしょうか?」と質問すると、いきなり石丸氏は「うん? どのくだりをされてらっしゃいます?」と逆質問した。
その後も荻上氏と石丸氏の質疑応答は噛み合わず、荻上氏が「どんな点に手応えを感じたんでしょうか?」と再質問しても、石丸氏は冷笑を浮かべながら「手応えって言うんですかね。それ」と質問自体に対する違和感を表明し続けた。
さらにライターの武田砂鉄氏(41)が石丸氏の著書『覚悟の論理』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)に《相手の問題は「どうなっても私は知りませんよ」と割り切れる》との記述を問題視し、政治家として適切な姿勢ではないとの主旨で質問を行った。
ところが石丸氏は同じように「どこに違和感を覚えられました?」と逆質問。武田氏が説明を行っても納得しなかったのか「失礼ですが、本当に熟読されました?」と逆質問を繰り返した。
これに武田氏は「熟読しましたね」と即答し、荻上氏も「めっちゃ付箋貼ってますね」とフォロー。石丸氏は納得したのか、武田氏の質問について「そういう風な思いでは言っていません」と否定した。
フジテレビ系列では「Mrサンデー“七夕決戦”都知事選SP」を午後9時から放送。出演した元乃木坂46の山崎怜奈(27)が石丸氏に質問したところ、「前提のくだりが全く正しくない」、「ゼロ公約と私が今回掲げた政策、どこに共通点が?」などと厳しい口調で難詰。山崎は出演後、SNSに「あー怖かった」などと投稿した。
「日テレでは小栗さんと古市さん、TBSラジオでは荻上さんと武田さん、そしてフジでは山崎さんが石丸さんのインタビューを行いましたが、石丸さんは常に冷笑を浮かべたり、相手の質問に逆質問で返したり、質問の内容にこだわり、イライラする様子を隠そうともしないなど、普通の政治家ならあり得ないような態度が目立ちました。ネットユーザーからは『石丸氏はパワハラ気質』、『パワハラが常態化していた以前の上司を思い出して息苦しい』など、高圧的な態度を問題視する投稿で炎上状態となりました」(同・記者)
ちなみにTBSもYouTubeの公式チャンネルで午後7時30分から「【LIVE】小池百合子氏が当選確実 東京都知事選2024 開票速報&“最速”データ分析・結果【選挙DIG】」の配信を開始したのだが、出演したJX通信社の米重克洋氏(35)の質問に石丸氏は「なんという愚問」と回答を拒否。自身が掲げた政策「東京一極集中の是正」についても「TBSがあんまりそう報じなかったから響かなかったのかもしれないですね」と嫌味を言うなど、一貫して敵対的な姿勢に終始した。
こうした石丸氏の言動を問題視する投稿は拡散を続け、投開票日翌日の8日ごろから一般のネットユーザーだけでなく、著名人もXで石丸氏の言動を批判する投稿が相次いだ。
まずは“当事者”である武田砂鉄氏の投稿が話題になった。全文をご紹介しよう。(註:改行など一部の表記を改めた。以下同)。
《昨晩のTBSラジオ開票特番での石丸氏。これまで、相手が動揺したり絶句したりする場面を意図的に作り出し、優位に立っていると思わせる構図を作り続けてきたのだろうが、受け止めるほうが動揺したり絶句したりしなければ、一瞬で彼自身の不安定さが明らかになる》
取材不足氏の投稿を引用し、古市氏を擁護するポストをXに投稿したのはタレントのラサール石井(68)だ。
《典型的な石丸論法。これだけ見てもどんな人間かわかるじゃん。はじめて古市を応援した。いや、なんでみんな票入れた? 》
元乃木坂46の山崎怜奈を労ったのは、元明石市長の泉房穂氏(60)だ。また泉氏はフジテレビの特番で、石丸氏が橋下徹氏(55)には丁寧に説明したことについても驚きを示した。2本の投稿をご紹介する。
《何も間違ったことを言っていないのに、「正しくない」と断定され、さぞ驚かれたと思う。それでも臆せずに「教えていただけますか」とか、「すみません不勉強で」といった受け答え、立派で誠実な対応だったと私は思う。それにしても、石丸伸二氏の対応が不思議でならない……》
《山崎怜奈さんに対する対応と、橋下徹氏に対する対応とが、大きく違っていることにも驚いた。自分を評価してくれる人と、素朴に質問をしてくる人とで対応を変えるというのはどうなんだろう。私への対応は予想外にフレンドリーだったが、ホンネはどうなんだろう……》
『世界のニュースを日本人は何も知らない』(ワニブックス|Plus|新書)などの著作がある谷本真由美氏がXに《石丸氏、これじゃ人がついて来ないよ。とにかく失礼 残業拒否したり自己中な世間知らずの若い子には受けるんだろうけどねぇ…》と投稿。
この投稿を「高須クリニック」の院長、高須克弥氏(79)が引用し、《失礼な方だと思います。これが民主主義です。失礼な人たちが支持するなら失礼な人たちの代表です。仕方ないです。》と応じた。
毎日新聞(電子版)は7月7日、「低知名度の石丸伸二氏躍進 『国政当然考える。例えば衆院広島1区』」との記事を配信した。記者会見で今後の政治活動について質問されると、「まだ決めていない。(国政進出については)選択肢としては当然考える。例えば、衆院広島1区。岸田文雄首相の選挙区」と答えたことを伝えた。
この毎日新聞の記事をXで引用して石丸氏を強く批判したのは、大王製紙前会長でカジノに106億8000万円をつぎ込んだ背任事件で知られる井川意高氏(58)。
《信念など欠片もない政治屋 田舎の市長職を放り投げて都知事選に落ちたら衆議院選に? クソクズだな》
石丸氏が「政治屋一掃」を掲げたことを当てこすったわけだが、怒りが収まらないのか、続けて2本の投稿を行った。
《田舎の公立から一浪して京大の経済か メガバンクに入行するもすぐに子会社にトバされて実務から外れた仕事をさせられた なんて経歴だとムダに歪んだプライドと屁理屈だけ亢進するわな ほんとうの自信がないから己の弱点や非を指摘されると素直に認めたり謝ったり出来ずムキになる あ いや 一般論ね 最近 選挙出た候補のことではないよ》
《一浪京大経済が質問者を小馬鹿にして圧かけようとするならオレがインタビュアーになってやろうかな》
ちなみに井川氏は筑波大学附属駒場中学校・高等学校を経て東京大学法学部を卒業している。
石丸氏の名前を明記しなかったものの、多くの読者が「石丸氏のことを言及しているのだろう」と判断したポストも拡散を続けた。まず哲学者の内田樹氏(73)の投稿をご紹介しよう。
《質問に対して質問で返すのはマウンティングの常套手段です。質問者は回答者に対して使える構文、語彙、情報を限定することができますし、自動的に「相手の回答の出来不出来を採点する」立場に立てるからです。ですから「相手より優位に立つ」ことを最優先する人間は必ず質問に対して質問で返します》
石丸氏が逆質問を繰り返したのは先に見たとおりだ。内田氏は別のポストで《この種の「マウンティング原理主義者」から質問の答えを引き出すことは絶望的に困難なのであります。そういう人を公人にしてはなりません》とも指摘している。
芥川賞作家の平野啓一郎氏(49)のポストにも石丸伸二氏の名前はどこにも書かれていないが、読めば石丸氏を批判していることが分かる投稿内容になっている。
《本当に賢い人って、1を聞いただけで、或いは相手が0.3位しか上手く言えなくても、10まで理解してサクサク答えるような人ではないか。コミュニケーションのコストが無駄に高い人(冷笑的、恫喝的、言葉のマイ定義に拘る、話を聞かない、嘘つき、論点ずらし、etc...)は困る。特に政治家は》
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