( 190636 )  2024/07/14 01:28:15  
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ウクライナは米国製戦闘機F-16を受け取る見通しであり、しかし実際に受け取る数は期待されていた300機には遠く及ばず、15機から24機程度とされている。

F-16の配備には滑走路や部品確保、言語の壁など様々な問題が生じており、ウクライナが十分な訓練を受けたパイロットを運用することが厳しい状況であると指摘されている。

欧州諸国もF-16の供給を行う予定であり、将来的には領土奪還を支援する目的で使用される可能性もある。

(要約)

( 190638 )  2024/07/14 01:28:15  
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(ブルームバーグ): 今年夏、ロシア軍撃退に必要だと主張し続けてきた米国製戦闘機「F16」をウクライナはようやく受け取る見通しだ。だが、ゼレンスキー大統領らが望んでいた機数には遠く及ばない。 

 

今週の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議でF16引き渡しは大々的に宣伝されたものの、遅れや予備部品を巡る問題、ウクライナ軍パイロットと外国人教官の言葉の壁など、数々の障害に悩まされてきたと、事情に詳しい関係者が明らかにした。ウクライナに十分な滑走路がなく、ロシアの攻撃にさらされやすいことも計画当局者は懸念している。 

 

関係者の1人によると、結果的にウクライナが展開できそうなF16は15機から24機程度で、同国首脳が求めていた300機を大きく下回る。別の関係者は、ウクライナが受け取るF16は夏に6機、年末までに最大20機だと述べた。 

 

F16供給を巡る問題は極めて深刻で、ウクライナに戦闘機を提供するのは賢明なのか、今やゼレンスキー氏への支持を示すだけの極めて高額なショーなのではないかという疑問も浮上している。ウクライナ軍パイロットが米国などで訓練を開始してからの数カ月で戦場の様子は変わった。双方とも安価なドローンに依存するようになり、ロシアは防空を強化した。 

 

対ロシアでF16が「奇跡を起こすと期待するべきではない」と、新アメリカ安全保障センター(CNAS)のシニアフェロー、ジム・タウンゼント氏はくぎを刺した。また、「空軍基地は大きな打撃が見込める絶好の標的だ。いくつかについてロシアは既に攻撃しており、新たにやって来るF16に実世界への歓迎を見舞おうとするだろう」と、その弱点を指摘した。 

 

NATO高官は計画当局者の頭に重くのしかかっている問題を3つ挙げた。まず、偵察や戦闘など役割に応じて機体の設定を修正する必要がある。第2に、ウクライナにはF16に必要な質が高く長い滑走路や、ロシアの攻撃から保護できる格納庫が多くない。 

 

 

3つ目の問題は、メンテナンスに必要な予備部品やエンジニアの確保などF16の後方支援が複雑なことだ。別のNATO当局者は、通常なら3-4年かかることをウクライナは数カ月で成し遂げようとしていると述べた。 

 

F16を製造するロッキード・マーチンの広報担当者は電子メールで、メンテナンスや部品をどのように調整するかにはコメントせず、「われわれはウクライナでの戦争について米政府の対応を引き続き支援する」と回答した。 

 

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は11日、戦闘機の引き渡しが進行中で、夏までにウクライナで稼働するようになるだろうと説明。デンマークとオランダが供給し、ベルギーとノルウェーも提供を約束している。 

 

サリバン氏によると、F16は短期的には前線の軍を守る目的で、「将来的には」領土奪還を支援する目的で使われることが見込まれる。同氏はこれ以上の詳細を明かさなかった。 

 

原題:Ukraine’s F-16 Ambitions Snarled by Language, Runways and Parts(抜粋) 

 

--取材協力:Milda Seputyte、Alberto Nardelli、Josh Wingrove、Donato Paolo Mancini、Natalia Drozdiak、Daryna Krasnolutska、Arne Delfs、Laura Dhillon Kane. 

 

(c)2024 Bloomberg L.P. 

 

Courtney McBride, Andrea Palasciano 

 

 

 
 

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