( 190826 )  2024/07/14 17:15:15  
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日本時間11日夜と12日夜に、ドルに対する円相場が急上昇し、政府・日銀が為替介入した可能性が広がっている。

アメリカでの消費者物価指数が予想より低い結果となり、FRBが早くも利下げをする可能性があるとの観測が強まったことが円高を促した。

12日夜にも円相場が急騰し、政府・日銀が再び介入したとの見方が出ている。

これらの動きから、6月の円相場の急上昇は介入があった可能性が高いと見られている。

(要約)

( 190828 )  2024/07/14 17:15:15  
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FNNプライムオンライン 

 

外国為替市場で、連夜、円相場が急伸した。11日夜と12日夜、短時間のうちに対ドルの円相場が急上昇し、政府・日銀が為替介入に踏み切ったとする観測が広がっている。 

 

【画像】約40分で4円も円高進む…アメリカで6月の消費者物価指数が発表され157円台前半まで急騰した 

 

約40分で4円という急騰を見せたのは、日本時間11日夜のニューヨーク外国為替市場の円相場だ。 

 

午後9時半ごろに、アメリカで6月の消費者物価指数が発表され、伸び率は前年同月比3.0%と、市場予測の3.1%を下回って、インフレの鈍化を示す結果となった。 

 

「FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)が早ければ9月にも利下げに踏み切る」との観測が強まり、日米の金利差縮小が意識されるなか、発表前に1ドル=161円台半ばで推移していた円相場は、直後に160円台半ばに急上昇したあと上げ幅を広げ、約40分で4円程度円高が進み、157円台前半の水準まで駆け上がった。市場では、アメリカの消費者物価指数発表後のタイミングで政府・日銀による円買い介入が行われたとの見方が強まった。 

 

財務省の神田財務官は12日朝、記者団に対し、「投機による過度な変動が輸入価格を大きく押し上げて、国民生活に悪影響があれば、由々しいことだ」と強調する一方、「きのうどうしたかについて答えることはしない」と述べた。 

 

こうしたなか、日銀は12日夕、16日の当座預金残高の見通しを公表した。 

 

為替介入は、財務省の指示のもと、日銀が実行する。円買い介入が行われると、民間金融機関が日銀に預ける当座預金から円が吸収され、当座預金が減少する。決済は2営業日後になるため、11日の介入は連休明けの16日の残高に反映される。 

 

16日の見通しでは、為替介入を反映する「財政等要因」により、当座預金残高が3兆1700億円減少する見込みとなった。 

 

銀行間の資金のやりとりを仲介する短資会社が、為替介入がない前提で事前に予想していた数値は、2000億円~4000億円の増加だったため、差額の3兆円程度が、介入による要因だとして、3兆円規模で円買い介入が実施されたとの推測が広がった。 

 

そして、再び円急伸の動きがあったのは、12日夜だ。 

 

日本時間の午後10時過ぎ、それまで1ドル=158円台後半で取引されていた、ニューヨーク外国為替市場の円相場は、約10分間のうちに1円50銭程度円高に振れ、157円台前半の水準をつける場面があり、市場では、11日に続き12日も政府・日銀が為替介入に踏み切ったのではとの見方が出ている。 

 

神田財務官は13日未明、記者団の取材に応じ、「介入したかどうかは申し上げない」と述べる一方で、「一方的で投機的に変動があったことを無視して語れない状況だ」とも話した。 

 

 

介入観測が広がる今回の円急伸劇で想起されるのは、前回介入があったとされる5月2日の動きだ。タイミングや円相場の動き方に類似性が見て取れる。 

 

日本時間5月2日早朝の円相場では、1時間もしないうちに、1ドル=157円台から153円ちょうどの水準にまで跳ね上がる場面があった。この直前に、FRBのパウエル議長が会見で、「追加利上げの可能性は低い」と述べ、インフレが期待したペースで落ち着いていかない状況には、利上げではなく、利下げ見送りを続けることで対応し、引き続き利下げ時期を探っていく姿勢を見せていた。パウエル発言を受けて、円売りの勢いが鈍る状況が生まれていたところで、一気に円高が加速したというのがそのときの状況だ。 

 

今回は、アメリカ消費者物価指数の結果を受け、円相場が円高に動いたタイミングで、大量の円買い注文が入って、円が急騰した。介入が実施されたとすれば、いずれも円買い方向への傾きの強まりを見計らっての、円押し上げの追撃ともいえる手法だ。 

 

政府・日銀が4月26日からの1カ月の間に実施した円買い介入の総額は9.7兆円だ。 

この間、介入は、4月29日に円相場が一時1ドル=160円台と、34年ぶりの円安水準に下落したあと、一気に円が買い戻されたときと、3日後の5月2日早朝の円急伸の時に実施されたとみられ、9.7兆円はこの2日間の介入額を反映しているとされる。 

しかし、6月26日には、円相場は再び、160円台まで下落し、2カ月ほどで介入効果は消失した。 

 

歴史的な円安局面のなか、為替政策の司令塔として発信を強めてきた神田眞人財務官は、7月末で退任する。 

 

ゴールデンウィーク期間に行われたとされる前回介入時からは、FRBの9月利下げの確度が高まるなど、日米金利差を決めるアメリカのインフレ状況は大きく変わりつつある。 

 

「財務官交代のタイミングでの介入はない」との市場観測も一部にあるなかでの「令和のミスター円」の「置き土産」の可能性をめぐって、為替相場では神経質な値動きが続きそうだ。 

(執筆:フジテレビ解説副委員長 智田裕一) 

 

智田裕一 

 

 

 
 

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