( 191606 )  2024/07/17 01:25:33  
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2014年上半期の日銀金融政策決定会合で、黒田東彦総裁は景気回復に自信を示したが、消費税率引き上げの影響が焦点となった。

会合では楽観論が支配的で、物価上昇や景況感の改善が見られたが、消費や物価の先行きに不安があった。

景気回復に対する自信は後に崩れ、10月には追加緩和が実施された。

(要約)

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記者会見で景気回復に自信を示した日銀の黒田東彦総裁=2014年4月30日、日銀本店 

 

 日銀は16日、2014年上半期(1~6月)に開いた金融政策決定会合の議事録を公表した。 

 

【ひと目でわかる】円相場と日経平均株価 

 

 2年程度で2%の物価上昇を目指した量的・質的金融緩和(異次元緩和)導入から1年が経過。4月に消費税率を5%から8%に引き上げた影響が焦点となったが、会合では「想定の範囲内」(黒田東彦総裁)との楽観論が支配的で、その後の経済・物価の変調を見抜けなかった。 

 

 期間中に計7回の会合を開催。国債を大量購入する異次元緩和の維持を毎回全員一致で決めた。緩和から1年で円安・株高が進み景況感も改善。当初マイナスだった全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)の前年同月比は4月に1.5%(消費税要因を除く、当時の日銀試算)に高まった。 

 

 4月30日の会合でまとめた経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、物価上昇率は当面1%台前半で推移し、「年度後半から再び上昇傾向をたどる」と予想。15年度は1.9%、16年度は2.1%との見通しを示した。岩田規久男副総裁は「(目標達成の)確実性はむしろ高まっている」と手応えを口にした。 

 

 6月13日の会合では、中曽宏副総裁が「駆け込み需要の反動が見られているが、今のところ想定の範囲内」と指摘。多くの委員は「想定したメインシナリオに沿って推移している」(岩田副総裁)などと、15年度ごろと見込んだ目標達成への自信を崩さず、黒田総裁は「消費税率引き上げ以降も物価の基調に変化はない」と総括した。 

 

 一方、実質所得減少が「消費の基調に影響するリスクがある」(白井さゆり審議委員)との意見があったほか、物価の先行きに慎重な見方もあった。4月30日の会合で、木内登英審議委員は「円安の効果が徐々に剥落していく可能性が高い」と指摘し、夏場以降に1%を割り込むと主張した。佐藤健裕審議委員も、15年度ごろの2%実現については「不確実性が大きい」と訴えていた。 

 

 実際、消費は駆け込み需要の反動から低迷。原油価格下落や円安効果一巡も重なり、物価は4月をピークに失速した。上昇率は8~9月に1%程度に縮小。日銀のシナリオは崩れ、10月に追加緩和実施に追い込まれた。  

 

 

 
 

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