( 191726 ) 2024/07/17 15:04:07 1 00 7月7日に行われた東京都知事選では、小池百合子知事が再選を果たす圧勝を収めた。 |
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7月7日投開票された東京都知事選は、3選を目指した小池百合子知事の圧勝で幕を閉じた。今回の選挙で注目を浴びたのは「勝者」よりも「2位」をめぐる戦いだ。その結果は「明」と「暗」をはっきり分ける形になった。選挙分析に定評がある経済アナリストの佐藤健太氏は「次の衆院選において再び『石丸VS蓮舫』が見られる可能性もある」と指摘する。選挙後もこの二人の一挙手一投足に注目が集まり続けている。そんな中、7月14日放送の「そこまで言って委員会NP」で石丸氏は人口減少対策の一例として「一夫多妻制」を挙げ、SNS上で立憲民主党・米山隆一衆院議員は「1対1の人口比で一夫多妻なんて導入したら、本気で若者の暴動が起こると思います」と批判した。佐藤氏が解説するーー。
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都知事選は現職の小池氏が約292万票を獲得し、2位の元広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(約166万票)に120万票以上の大差をつけて圧勝した。予想外の失速となったのは、元立憲民主党参院議員の蓮舫氏だ。序盤は「女傑対決」が注目され、小池氏を「激しく追い上げる」展開をマスメディアは予想していたが、開けてみれば蓮舫氏は3位の約128万票にとどまり、2位の石丸氏に40万票近い差をつけられて惨敗した。
得票率を見ると小池氏は42.8%、石丸氏は24.3%で、蓮舫氏(18.8%)は小池氏にダブルスコア以上の差を許す結果となった。蓮舫氏が大惨敗を喫した要因分析は他に譲るが、この「2位」と「3位」という差は結果として真逆とも言える評価を生むことになった点は興味深い。
10代・20代を中心とする若年層から高い支持を得た石丸氏は「新党結成」や「国政進出」の可能性がささやかれ、ほとんど無名状態だった都知事選前からメディアの注目度が一気に増幅した。一方の蓮舫氏には「やはり生理的に嫌いな人が多い」(7月8日のTBS系「ゴゴスマ~GOGO! Smile!~」で東国原英夫元宮崎県知事)などと辛辣なコメントが向けられ、野党共闘の「失敗例」として名を残すことになった。
NHKが7月5~7日に実施した世論調査によれば、立憲民主党の政党支持率は5.2%で前回に比べて一気に4.3ポイントも下落した。4月の衆院トリプル補選や5月の静岡県知事選などに勝利し、立憲民主党は勢いに乗ってきたものの都知事選を境に期待感が半減してしまった形だ。
立憲民主党の小沢一郎衆院議員は7月9日、記者団に「泉健太代表でやったら、また沈没だ」などと9月に任期満了となる泉代表の退陣を求めた。一部からは「また、いつもの仲間割れが始まった」との冷ややかな声が漏れ、次期総選挙を前に不協和音は隠せない。
野党担当のテレビ局記者は「都知事選の中盤から立憲民主党内では石丸氏に追い抜かれることはわかっていた。それよりもダメージとなったのは選挙後の蓮舫氏の振る舞いだろう」と語る。
投開票日の夜、20時ちょうどに小池氏の当選確実が一斉にメディアで伝えられると、蓮舫氏は集まった取材陣に「私の力不足、そこに尽きる」「(戦術面での間違いは)なかった。やれることはやった」と悔し涙を浮かべた。そこまでは良かったのだが、さらに記者から蓮舫氏への支援を意味する「R」というシールが選挙期間中に電柱や道路標識などに大量に貼られたことについて質問が飛ぶと、「ごめんなさい、質問の意図がわかりません」「まったく意味がわかりません」などと苛立つように一蹴した。
もちろん、選挙活動で忙しかった蓮舫氏は公共物に貼られている事実を知らなかったのかもしれない。選挙戦の疲れや敗北の絶望感があったのだろうが、小池氏の街頭演説中には「R」のロゴをつけた人々がヤジを飛ばしたり、プラカードを持って合唱したりと選挙妨害に近い行為を行っていた。それらを止める呼びかけをしたわけでもなく、「意味がわからない」などと一蹴するのは残念でしかない。
7月11日になって蓮舫事務所はXに「蓮舫陣営として、このシールの企画・作成・配布・貼付のいずれにもまったく関わっておらず、本件についてはSNSなどで知ったところです。貼りつけをおこなった方は、候補者への支援の思いからだったとしても、すぐに原状回復をされるようにお願い申し上げます」と投稿したが、「R」のロゴは蓮舫氏が着ていたTシャツにも見られており、蓮舫氏自身が「私には分からなかったことだけど、そういうシールを公共物に貼った人がいるのであれば剥がしてもらいたい」などと応じるべきではなかったのか。
加えて、蓮舫氏は“敗戦の弁”で「私には政策があり、経験があり、現職が打ち出しているものに対する対案もある」などと強調し、公開討論会の開催が少なかったことを悔やんだ。実際には日本記者クラブや東京青年会議所が主催した候補者4人による公開討論会が開催されていたのだが、まだ自分にとっては少ないと感じたようだ。
蓮舫氏は5月27日に立候補を表明してから2週間も公約を発表せず、「私が早く出した公約と同じものを出されるのは辛いなと思うところもある」などと小池氏に“マネ”される可能性を理由に挙げていた。とはいえ、告示日直前の6月18日に発表した蓮舫氏の公約はパンチ力に欠け、2期8年の実績と具体性のある公約を掲げた小池氏のものとは見劣りした点は否めない。公約発表や記者会見のタイミングを小池氏にあえて重ねた点もマイナスに働いたように映る。
蓮舫氏は次期衆院選に立候補する考えや都知事選の結果が国政に与える影響について問われると、「今日は私の思いが届かった結果が出た日なので、それに対して私に何が足りなかったのか考える時間をください。国政に与える影響を私は答える立場にない」と答えた。だが、大敗した蓮舫氏が国政復帰を目指すだろうことは多くの国民が想像していることだ。
来年夏の参院選や次期衆院選に出馬するのならば都知事選前に議員辞職し、立憲民主党を離党したのは一体何だったのかと言いたくなる。単に「無所属の方が選挙でウケがいいから」というのであれば、もはや今後の言動は信頼性を欠くのではないか。ただ、それが「政治家・蓮舫」の選択であれば後は有権者が判断すれば良いことだろう。
まさかの大惨敗を喫した蓮舫氏は、駐日イスラエル大使が7月9日に小池氏との「ツーショット写真」をXに投稿したことについて、「敗者ですが言わせてください。当選直後にこの外交は私の考えではあり得ません。都民の1人としても、とても残念です」と批判した。しかし、この写真は2年前に撮影されたものと判明した。東京都の公式アカウントは7月10日のXに「駐日イスラエル大使は、2022年4月に着任挨拶のため東京都庁に来られました」と投稿しているが、蓮舫氏は「それならばこそ、きちんと抗議撤回を要請して欲しいです」とつづった。こうした蓮舫氏の姿勢には「結局批判しかできない方なんですね」「負けた後に腹いせのような投稿の連続なんてカッコ悪い」などの批判が渦巻く。
都知事選の敗北でイメージダウンが止まらない蓮舫氏とは対照的に、2位に入った石丸氏は「石丸旋風を起こした」ともてはやされ、メディアにも引っ張りだこの人気となった。蓮舫氏が「暗」とすれば、石丸氏には間違いなく「明」が訪れている。
もともと、安芸高田市長時代に議会と対決した際の模様や記者会見で地元記者とバトルする動画がバズり、SNS上では一定の人気を誇っていたのだが、約4年前から視野に入れていたという都知事選の出馬で一気に「全国区」になったのだ。
都知事選の敗戦直後に国政進出の可能性を問われた石丸氏は「選択肢としては当然考えます。たとえば衆院広島1区。岸田文雄首相の選挙区です」と語り、既成政党は戦々恐々としている。メディアからのオファーも殺到しており、7月11日のテレビ朝日系「グッド!モーニング」の単独インタビューに応じた際には泉房穂元明石市長らとの新党結成の可能性について「可能性はありますね。選択肢として」と回答。元大阪府知事の橋下徹氏の名も挙げ、「それぐらい大連立がいるんじゃないかって。既存政党、既存政治がオワコン化している中、新しいものを立ち上げるならそれぐらい何か熱量がいるんじゃないか」と語った。
ただ、都知事選開票の直後から石丸氏にも批判の矛先が向いている。開票日の夜にテレビ番組などのインタビューに応じた際の姿勢が「パワハラ臭がプンプンする」「高圧的な態度はイライラする」「逆質問してマウントをとりあがる人」「まるで子供のよう」などと批判されているのだ。ネット上には「石丸構文」なるものが拡散され、冷笑しながら論破しようとするスタイルを皮肉る投稿も目立つ。
批判が沸騰する発端になったのは、投開票日夜に日本テレビが配信した「【都知事選ライブ】東京都知事選デジタル特番」に出演した社会学者の古市憲寿氏とのバトルだ。古市氏は「石丸氏が批判する政治屋と石丸氏自身はどう違うんですか」と質問した。石丸氏は「なんか堂々巡りになっている気がするんですけど。同じ質問を今、繰り返されてます?さっき、答えたばかりなんですけど。もう1回言えってことですか?」と応じ、古市氏も「いや、まだ答えてもらっていないから聞いているんです」などと応酬を繰り広げた。
TBS系の中継ではJX通信社の米重克洋氏が「善戦したとの受け止めなのか、それとも、もっと上にいきたかったのか」と質問したところ、嘲笑しながら「なんという愚問ですか。選挙に出る以上、一番上を目指さなくてどうするんですか」と回答を拒んだ。
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