( 193096 )  2024/07/21 01:45:39  
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2024年7月19日、航空自衛隊のF-2戦闘機がオーストラリアのダーウィンでエアショーフライトを行った。

これは多国間共同演習「ピッチ・ブラック2024」に参加するためで、演習には日本を含む17か国が参加し、航空機約100機と2500人の人員が参加している。

F-2はこれに6機参加し、浜松基地所属のE-767早期警戒管制機も1機参加した。

エアショーでは、F-2がビーチ上空を編隊飛行し、地元のラジオ局によるフランクなナレーションも行われた。

(要約)

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オーストラリアのダーウィン基地に展開した航空自衛隊のF-2戦闘機(画像:航空自衛隊)。 

 

 オーストラリア北部の都市ダーウィンにあるミンディルビーチにて2024年7月19日、航空自衛隊のF-2戦闘機がエアショーフライトを行いました。 

 

【ラジオDJとのやり取りも】ダーウィン・ビーチに現れた空自の飛行服集団(写真) 

 

 F-2戦闘機は日米共同開発の戦闘機で、三菱重工業が開発・生産し、現在は福岡県の築城基地と茨城県の百里基地、宮城県の松島基地、この3か所に配備されています(少数が岐阜と浜松にもあり)。 

 

 なぜ、航空自衛隊の戦闘機が遠く離れたオーストラリアの地でエアショーを行っているのでしょうか。 

 

 実は、これらF-2戦闘機は、2024年7月現在、オーストラリアで行われている多国間共同演習「ピッチ・ブラック2024」に参加している機体です。 

 

 この演習は、オーストラリアのノーザンテリトリー(北部準州)で7月12日から8月2日まで開催されます。参加国は日本を始め17か国にも及び、参加する航空機は約100機、人員は2500人にもなる大規模なものです。 

 

 航空自衛隊は、2年前に開催された前回の「ピッチ・ブラック2022」にも4機のF-2戦闘機を参加させましたが、今回はそれよりも規模が大きくなり、築城基地所属のF-2戦闘機6機のほかに、今回新たに浜松基地所属のE-767早期警戒管制機(AWACS)が1機加わっています。 

 

 演習期間中は、参加する航空機の多くがダーウィン市内にあるオーストラリア空軍のダーウィン基地を拠点にし、早朝から戦闘機の発着が繰り返し行われます。このため、軍事演習ではあるものの、その概要はオーストラリア空軍によって積極的に公開されており、今回のエアショーも一般向けのPRを兼ねたイベントとして実施されたものになります。 

 

ダーウィンのミンディルビーチで、夕日をバックに観衆の前で飛ぶF-2戦闘機(布留川 司撮影)。 

 

 現在のオーストラリアは観光シーズンで、エアショーが行われたミンディルビーチも100以上の屋台が並ぶサンセットマーケットが同時に開催されており、浜辺などには観光客や地元民など約1万人の人々が集まっていました。 

 

 そんな多くの人々を前にして、日本のF-2はどのように飛んだのでしょうか。飛行自体は2機編隊で会場のビーチ上空を旋回するだけのシンプルなものでしたが、会場に設営された地元ラジオ局の生放送ブースでは、軽快なナレーションでF-2の存在をアピールしていました。 

 

「空を見て、あれはF-15? F-16? これは日本のF-2だ!」。やや芝居がかったかけ声に続いて、ナレーターは生産する三菱の社名についても解説していきます。 

 

「トヨタ、ホンダ、スズキは好きですか? これ(戦闘機)は驚いたことに三菱なのです!」 

 

 非常にフランクなナレーションでしたが、海外でも知名度の高い日本車のメーカーに掛けて、F-2が三菱ブランドで作られていることに触れていました。 

 

 実は車メーカーである三菱自動車と、戦闘機などを作る三菱重工は同じ三菱グループでも別企業であり、このナレーションは厳密には事実と異なっています。しかし、オーストラリアには2008年3月まで三菱自動車の工場があり、そこで現地生産をしていました。そのため、オーストラリア人にとっては馴染み深い名称だったといえるでしょう。 

 

 なお、会場には地上から同僚の飛行を見学するために、航空自衛隊のパイロットやその隊員たちも来ていました。また、彼らが着る日の丸を付けた飛行服は目立ったのか、来場した一般人から記念撮影なども求められていました。 

 

 F-2の海外エアショー参加は、広報活動という意味では一定の成果を収めたようです。 

 

布留川 司(ルポライター・カメラマン) 

 

 

 
 

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