( 193141 )  2024/07/21 14:34:57  
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都知事選で3位に終わった後、蓮舫氏はSNS上で批判者との議論に明け暮れ、連合などにも攻撃を仕掛けるなど荒れている様子が伝えられている。

しかし、蓮舫氏は120万票を集めるなど、結果としては健闘した。

ただ、SNS上の言動によって支持を失う可能性があり、立憲民主党全体にも影響を及ぼしている。

 

 

蓮舫氏は記者との論争で議論が起こり、朝日新聞記者に厳重注意が下りる事態となった。

このような対応は言論の自由を制限する可能性があり、批判を受ける側が恫喝する姿勢が問題視されている。

蓮舫氏の言動は政治家としての行動として不適切との声もあり、立憲民主党内でも批判が広がっている。

 

 

蓮舫氏は最新の選挙結果に満足する姿がなく、SNS上での活動を中止し、地元の有権者との接触を増やすことが求められている。

彼女の行動や言動に対する批判は、立憲民主党や左派野党の支持者や関係者にも影響を与える可能性があり、選挙結果や支持率にも悪影響を及ぼす可能性があると指摘されている。

(要約)

( 193143 )  2024/07/21 14:34:58  
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Photo by gettyimages 

 

まさかの3位落選に終わった都知事選以降、蓮舫氏が荒れている。 

 

下馬評では現職の小池百合子氏に迫る勢いで2位につけていると予測されていたはずが、いざ蓋を開けてみれば小池氏には大差をつけられたどころか、2位の座を元安芸高田市長の石丸伸二氏に奪われる結果となった。問題は選挙後、蓮舫氏が四六時中SNSに張り付いてエゴサーチし批判者と「レスバ(※レスバトルの略。返信や引用の形で反論を書いて論戦に応じること)」に明け暮れていることだ。ついには立憲民主党の支持母体のひとつである連合にすら(もっとも今回は蓮舫氏が離党してつながりを失い、あるいは選挙協力を求めて共産党に接近し、支持を見送られたこともあってか)噛みつき、騒然となった。 

 

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現代ビジネスで掲載した前回の記事でも述べたことだが、とはいえ蓮舫氏の120万票という得票はけっして少ないわけではない。上振れも下振れもなく、岩盤支持層にはきっちりリーチして健闘したと言えるだろう。かつては国務大臣も務めた大物政治家なのだから、結果は結果として潔く受けとめるのがあるべき姿のはずだ。むしろ、蓮舫氏を破って当選したのが女性であることもすっかり忘れて「蓮舫さんは女性だから叩かれるのだ!」と見当違いの大騒ぎをしている支持者にも、自制を促すのが筋ではないだろうか。 

 

石丸氏というダークホースの出現は、蓮舫氏にとって「晴天の霹靂」ではあっただろうが、それでも得票数だけを純粋に見れば、衆院への鞍替えが見込める「成果」としては十分に胸を張れる結果だったといえる。にもかかわらず、いま蓮舫氏はSNSで全方位にレスバをしかけ、その得票の意義や価値をみずからの手で台なしにしてしまっている。 

 

選挙結果以上に、選挙後の氏の言動によって支持をやめてしまう有権者は少なくないだろうし、それどころか蓮舫氏個人にとどまらず立憲民主党にまで延焼し、求心力低下をもたらしてしまっている。実際、7月に行われた最新の世論調査によって出された政党支持率を見ると、わずかな期間で立憲民主党の支持率がほぼ半減してしまうという異常事態になっている。 

 

党内でもいよいよ危機感を持つ声があがりはじめていて、なかには「切り捨てたほうがよいのでは?」といった過激な意見まで聞こえてくる。これでは次の衆院選で再起を目指すという当初のシナリオも危ぶまれてしまうのではないか。 

 

 

蓮舫氏の言動のなかでもとくに問題だと思うのは、冒頭でも紹介した蓮舫氏が連合会長に噛みついたポストに対して、朝日新聞の政治部記者から引用で批判的な論評を受けたさいのリアクションである。 

 

朝日新聞の今野忍記者に「共産べったりなんて事実じゃん」という率直な感想をぶつけられたことに蓮舫氏側が激怒、さらに立憲民主党所属の衆議院議員・米山隆一氏が朝日新聞の知人に口頭で抗議した結果、今野記者には厳重注意が下り、SNS上で謝罪文をリリースする顛末となった。蓮舫氏は当初、今野記者の言動に対して法的措置を検討しており、朝日新聞への抗議文・質問状を送付する予定であるとも述べていた。 

 

これは端的にいって、かなりよろしくない。 

 

全国紙の政治記者らしからぬ砕けた(悪くいえば無礼な)口調だったとはいえ、だれがどう見ても一般的な論評の範囲内に収まる意見・感想の表明であり、ことさら違法性を見出すことは困難だ。かりに蓮舫氏や米山氏と同じことを野党でなく与党もしくは与党出身の政治家がやったなら、とんでもない大騒ぎになっていたはずだ。左派・リベラル派からの「言論弾圧だ!」「表現の自由の侵害だ!」といった反発は比較にならないほど大きくなっていただろうし、むろん蓮舫氏だってその論調に乗じながら、出版社や記者に「抗議文」を出すことをほのめかす恫喝的な動きに出た政治家を非難していただろう。 

 

そもそも朝日新聞はネットで言われているほど「左派」一枚岩の集団ではない。むしろ大手マスコミのなかではもっとも人材の思想信条に多様性というか“振れ幅”がある。わるくいえば烏合の衆だが、よくいえば懐が広い会社なのである。 

 

大手新聞社のなかには、自社に勤務する記者の個人SNSアカウントの所持・運用一切を認めていないところもある。そんななか朝日新聞は記者や編集者のSNS運用を認めており、またそれぞれの思想信条にもとづく自由な発言を認めてもいる。記者個人がSNS上で物議をかもして「また朝日新聞か」「マスゴミ」などと辛辣な罵倒を受けることもしばしばだが、それでも社内ポリシーを変えてこなかった。 

 

個人的に、朝日新聞が社員のSNSアカウント運用や思想信条と発言の自由を保証していることについては、言論に携わる事業者としての矜持をしっかり持っていると評価していたのだが、ゆえにこそ今回のように、蓮舫氏と米山氏に詰められたくらいで記者を厳重注意するべきではなかった。今後はSNS上で政治家の不興を買ったら毎回記者を叱って謝罪させるつもりなのか、という話になってしまうからだ。言論の萎縮効果をもたらすに十分な愚挙だ。 

 

 

政治家が自らに向けられた一般市民からの批判や風刺に対して、それを言論の自由の範囲内の行為であると看過したり甘受したりせず、いちいち恫喝的な法的措置をちらつかせる姿は、先般大きな騒動にもなった「脱糞民主党事件」をほうふつとさせる。むろん蓮舫氏は立憲民主党を離党して国会議員も辞職した「元」政治家であるという留保はつくものの、自身の「被害者性」を強く信じて疑わない権力者ほど恐ろしいものはない。自分たちが他者を追及したり糾弾したりするときの威勢はすさまじいが、ひとたび劣勢・守勢に回ると「誹謗中傷・名誉棄損はゆるさない」などと近ごろの世の中で共感されている風潮に便乗する形で、一般市民の自由な意見論評を封殺しようとするのである。 

 

もっとも、蓮舫氏はいま自分がやっていることが、実質的には市民社会における言論の自由への抑圧行為に相当していることには気づいていないのだろう。 

 

今回の都知事選では、SNS上で蓮舫氏支持を表明する人びとを中心に「蓮舫さんは女性だから叩かれる」「外国人や女性などのマイノリティーを差別する風潮のあらわれだ」といった意見が共感を集めていた。蓮舫氏はこうした「聞き心地のよい物語」にすっかり溺れてしまい、自分が「被害者」であるという確信に1ミリも疑いを持たなくなってしまっているのではないか。そしてそのために、自身の敗因を直視できなくなっているのではないか。 

 

永田町・霞が関の関係者から聞くかぎり、往年の蓮舫氏はそのような政治家ではなかったはずなのだ。批判を受けたからといって安直に「女だから」「マイノリティーだから」という反論を振りかざすことはむしろしない側の人だという定評があった。 

 

近年の左派・リベラル派がSNSの内外でつくりだしている「自身に向けられた建設的な批判や論評にさえ、『差別やハラスメントの発露である』とラベリングして無効化するエコーチェンバー」は、いまや蓮舫氏ほどの気骨ある人物でさえ容易に呑み込んでその内心や価値観を変容させてしまうほど先鋭化し、いわば「カルト化」しつつあると見るべきかもしれない。 

 

 

いずれにしても、立憲民主党は蓮舫氏を今後も「女性政治家の旗頭」として中枢におくつもりがあるなら、いますぐSNSから離れるよう説得して、たとえば地元の有権者と楽しく懇親会・交流会を開くような機会を持たせるべきだろう。 

 

これは蓮舫氏にかぎったことではないのだが、定年や退職などによっていきなり政治的・社会的立場を失ってしまった人が、手持ち無沙汰な時間の傍らにスマホだけが与えられているような環境で過ごすのは、本当に碌なことにならないのだ。無職を心穏やかに過ごせる人はある種の才能に恵まれている。 

 

都知事選で三つ巴の戦いとなった小池・石丸・蓮舫は、じつは三者とも思想信条的には中道ノンポリで、悪くいえば政治家としては「空っぽ」であるところが共通している。小池氏・石丸氏・蓮舫氏のそれぞれの政治的スタンスや基本的政策の方向性について、かれらの熱烈な支持者すら自信をもって「これだ」と言える答えを必ずしも持っていないのである。おそらく週刊現代や現代ビジネスの政治系記事を読まれる熱心な読者の皆さんだって、かれら三名それぞれの政治的内実は具体的になにかと問われれば明確な答えに窮するはずだ。 

 

言ってしまえば今回の選挙は「現役ノンポリ政治家の頂上決戦」というべき裏テーマがあり、そのうち党派性が比較的薄く、なおかつ知名度やホットな話題性のある小池・石丸により多くの票が流れただけだったと評することもできる。蓮舫氏は自身のポリシーとは必ずしも一致しない支持層を抱えながら、手堅く票を獲得したとポジティブに振り返ることもできたのだ。それを本人がいま、SNS上のふるまいで台無しにしてしまっている。 

 

このまま蓮舫氏が「最も自由に黙らない」時間を謳歌してしまうと、日本の女性政治家のトップランナーが衆院選に鞍替えすることもできずに退場する、という残念な結末がいよいよ現実味を帯びてくる。蓮舫氏に「黙ってほしい」と願っている人の多くは敵対する陣営ではなく、その株がどんどん下がっていくことに頭を抱える立憲民主党と左派野党の関係者や支持者なのである。 

 

蓮舫氏ほどの政治家をここで失うのは立憲民主党にとっても得策ではないように思うのだが、どうだろうか。 

 

……・・ 

 

【さらに詳しく】『40代以上はなぜ「石丸伸二」を「理解できない、大嫌い」なのか?若者不在の「オールドメディア」と化した「ネットとX」の限界』 

 

御田寺 圭 

 

 

 
 

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