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7月13日、公明党の山口那津男代表がタイ・バンコクで記者団に対して、9月末の党大会で代表引退を示唆しました。

山口氏は2009年に代表に就任したが、現在72歳で公明党の定年制を超えているため、代表の地位を引退する意向を表明しました。

後継者問題や選挙戦略など、今後の公明党の展望についてさまざまな観測がなされています。

(要約)

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Photo by gettyimages 

 

公明党の山口那津男代表は7月13日、外遊先のタイ・バンコクで同行の記者団に対し、9月末の党大会で代表引退をほのめかした。 

 

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山口氏は2009年の衆院選で太田昭宏前代表が落選した時、参院議員でありながら同党の代表に就任。わかりやすい演説やスマートな外貌から、支持母体の創価学会から支持され、とりわけ婦人部(現在の女性部)からは「なっちゃん」と呼ばれて大人気を得た。 

 

当初は「ピンチヒッターのつもり」(山口氏談)だったものの、太田氏が衆議院に復帰した後も山口氏は代表の地位に留まったのは、それゆえだ。 

 

それから15年たち、山口氏は現在72歳。「在職中に68歳を越えない」とする公明党の定年制の基準のひとつにすでにひっかかっている。そういえば2023年8月にベトナムを訪問した際にも、山口氏は「後進に道を開くのが私の仕事」と、今年9月の党大会で退任する意向を滲ませたこともあった。「本人は3年前から辞めたがっていた」と公明党関係者は打ち明けた。 

 

しかし山口代表の希望は実現することは難しそうだ。まず後継者の問題がある。「次の代表」と目されているのは、幹事長を務める石井啓一衆院議員だが、党内的には不安視する声もある。というのも、石井氏は次期衆院選で新設された埼玉14区に出馬の予定だが、党の顔を新しくしたとたん代表が落選したら、公明党は深刻なダメージを負いかねないからだ。 

 

にもかかわらず、山口代表が辞意をほのめかしたのは、近く衆院選が行われることがないと踏んだからだろう。実際に同党関係者は「来年の夏には参議院選と都議選がある。衆院選が行われるのはおそらくその後だろう」と述べた。すなわち衆議院任期満了説だ。 

 

補選の結果を受けて会長辞任の意向を示した萩生田光一氏[Photo by gettyimages] 

 

別の見方もある。石井幹事長は昨年、10増10減で新設された衆院東京28区をめぐって茂木敏充幹事長と激しく怒鳴り合う大げんかを繰り広げた。5つの小選挙区が増える東京都内で、岡本三成衆院議員が出馬予定の東京29区の他にもうひとつ、小選挙区を獲りたいのが公明党の悲願。公明党勢力が強く、盟友関係にある小池百合子東京都知事の住所のある東京28区を狙っていた。 

 

にもかかわらず、当時の萩生田光一自民党都連会長は安藤高夫前衆院議員を同区に擁立することを決定した。安藤氏は萩生田氏の地元である八王子市内で3つの病院、5つのクリニック、3つの介護施設、2つの認知症グループホームなどを持つ医療法人社団永生会の理事長を務める有力者だ。 

 

もっとも衆院東京29区をめぐる自公の対立は、岸田文雄首相と山口代表のトップ会談で表面上は解消したが、禍根は残った。加えて2022年の参議院選で、萩生田氏が自民党の公認候補だった生稲晃子氏を地元である八王子市の統一教会の集会に同行したことが発覚し、創価学会を激怒させた。 

 

これについて「女性部は『もう萩生田氏には票を入れない』と言っている」と、前述の公明党関係者は断言した。実際に7月7日の都議補選では、八王子市選挙区で自民党が擁立した馬場貴大氏が獲得した票数は9万8836票で、14万4009票を獲得した元都議の滝田泰彦氏に4万5173票差という大差を付けられて落選。 

 

ちなみに2022年の参院選比例区では、八王子市内で自民党は7万5433票、公明党は3万7865票を獲得しており、かなりの公明票が馬場氏から逃げたと推定できる。 

 

また自民党の派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正についても、公明党は“自民党離れ”を見せた。自民党は当初、パーティー券の購入金額公開基準を20万円超から10万円超に下げることを公明党に打診し、公明党も受け入れる予定だったが、支持母体の創価学会がそれに猛烈に反対したため、公明党が「5万円超」を主張。最終的に自民党は飲み込まざるを得なくなった。 

 

ただしその他について、公明党は自民党と歩調を共にしている。選挙における協力関係を基礎にした25年間も続いた自公関係は、そう簡単に破棄できるはずがない。 

 

 

Photo by gettyimages 

 

だが岸田政権の支持率の低迷と政治とカネ問題をめぐる自民党への逆風に、巻き込まれたくないというのが本音だろう。岸田首相の任期満了に伴って自民党総裁選が9月20日に行われる予定だが、仮に岸田首相が再選されるならもちろんのこと、もし別人が新総裁に就任しても、自民党はすぐさま衆議院を解散できないと公明党は踏んでいるのだろう。 

 

現実に政治は流動的だ。7月7日の都知事選は、小池百合子知事の次に有力視された蓮舫氏が予想外に128万3262票しか獲れず、165万票8363票を獲得した石丸伸二氏の後塵を拝することになった。その勢いに乗じて「石丸新党」の噂が一部で流れており、実現する可能性は低いものの、一応注視しておかなくてはならなくなった。 

 

次の展開を見据えようとするならば、自公連立に頼る姿勢のままでは不可能になりつつある。公明党の次期党大会で山口代表が留任するにしろ、新たな代表が選任されるにしろ、新しい展開に繋がらなくてはならないが、公明党はどの道を選ぶのか。 

 

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安積 明子(政治ジャーナリスト) 

 

 

 
 

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