( 193561 )  2024/07/22 15:37:43  
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都知事選挙では、現職の小池百合子氏が3選を果たし、蓮舫元参院議員は大敗を喫した。

2位には石丸伸二氏が大健闘し、ネット上での知名度が高かった。

一方で、蓮舫氏の無党派層の支持が得られず、共産党の支援も打ち切られるなど苦戦した。

石丸氏は異端児としてネットで支持を集め、 37万票差で2位に入った。

彼は将来、国政進出や広島県知事選出馬の可能性もあると言われている。

(要約)

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石丸伸二氏 

 

 空前の乱戦となった都知事選は、現職の3選で幕を閉じた。小池百合子知事(71)に挑んだ蓮舫元参院議員(56)は、共産党の全面支援を受けたものの惨敗。大方の予想を覆して2位と大健闘したのは、ネットの“切り抜き動画”でのし上がった「広島の論破王」だった。【前後編の前編】 

 

【写真を見る】銀座の路上を埋め尽くした“異様な熱気”の支援者たち 

 

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 ネット社会が生み出したダークホースの石丸伸二・前広島県安芸高田市長(41)が躍進し、さらには学歴詐称問題もくすぶる中、前回の得票数から70万票以上減らしながらも小池知事は当選した。選挙戦は当初“女傑対決”の様相を呈していたのだが、 

 

「蓮舫氏は、周知のフレーズ“2位じゃダメなんですか”どころか、まさかの3位に甘んじてすっかり存在感を失いました。小池氏に及ばずとも肉薄して追い詰めたという“実績”をもって衆院選に鞍替え出馬する展開もあったのですが、それも黄信号がともってしまいました」(全国紙デスク) 

 

 共産党は今回、蓮舫候補を「最強・最良の候補」と持ち上げる力の入れようだったが、あえなく大敗。政治アナリストの伊藤惇夫氏が言う。 

 

「無党派層の投票行動は、投票日が近づくにつれて決まります。終盤で蓮舫さんの支持が広がらなかった理由について、立憲民主党の関係者は『スタートの段階で共産党がはしゃぎ過ぎた』と漏らしていました。大応援のビラや街頭演説などもあり、無党派層がなびかなかったのでしょう。蓮舫さんはタレント出身議員として、もはや“オワコン”なのかもしれません」 

 

 また、評論家の大宅映子氏は、 

 

「“いつも他人の文句を言っている”というイメージが、蓮舫さんにはどうしても染みついています。学歴問題など、小池さんにもウイークポイントがあったにもかかわらず惨敗してしまった。これは相手を声高に批判する蓮舫さんのスタンスに都民が興ざめしてしまったということで、“それならまだ石丸さんの方がいい”となったのでしょう」 

 

 立憲民主党の看板議員だった彼女を完膚なきまでにたたきつぶした石丸氏は、街頭演説を重ねて無党派層を取り込み、ふたを開けてみれば蓮舫氏と37万票差で堂々の2位。市長時代には議会やメディアと対峙する様子が、非公式の“切り抜き動画”によって喝采を博し、ネット上でファンを増殖させてきた人物である。 

 

 対立した市議とは訴訟に発展するなど、地元ではしこりを残しながらも「改革派」として都知事選に参戦。驚異的な健闘で、がぜん注目が集まったわけだが、 

 

「石丸さんを支持しているのは、ユーチューブでひろゆき氏やホリエモンの動画を視聴するのが好きな人たちだと思われます」 

 

 とは、コラムニストの辛酸なめ子氏である。 

 

「言い換えれば、頭の回転が速くて相手を言い負かしてくれそうな人を好む層。このような視聴者には、変わらない現状に対して頭脳明晰な異端児がズバッと物申すというストーリーが好まれます。同じようなスタイルの石丸さんならば政治を変えてくれるかも、と期待して投票したのでしょう」 

 

 

 各メディアによる年代別の投票先調査では、10~20代においては石丸氏が最多で、一部では30代も小池氏や蓮舫氏を抑えてトップという結果が出ている。が、 

 

「開票後の本人のインタビューでは、質問に対して否定から入り、相手を小馬鹿にして萎縮させるような話し方で、まるでパワハラ上司みたいな威圧感がありました。違和感を覚えた人も多く、ネットでは『石丸構文』なる造語まで登場しました。今後も目が離せないキャラです」(同) 

 

 信州大学特任教授の山口真由氏が言う。 

 

「石丸さんは“SNS選挙第一号”だといえます。これまでネットを中心とした選挙戦といえば山田太郎参院議員やガーシー元議員が挙げられますが、いずれも政治の“主流”に躍り出る気配は一切なかった。ところが今回は都心部(中央・港区)や世田谷区に住む男性で、石丸さんに投票した人が多い。つまりは経済を重視する人たちに支持されているわけです」 

 

 あるいは先々“主流”になる可能性も無きにしも非ず、というのだが、 

 

「2013年にネット選挙が解禁され、デメリットとしてポピュリズムに傾く恐れが指摘されてきましたが、石丸さんにもその匂いを感じます。私も彼の演説では“チキンの食べ方を上司に褒められた”というエピソードしか頭に残りませんでしたが、それが世間では受けているのでしょう」 

 

 後編「石丸伸二氏の国政進出、広島県知事選出馬の可能性は? 安芸高田市・“反石丸”の新市長は石丸氏に苦言」では、石丸氏の今後について専門家の見立てを紹介している。 

 

「週刊新潮」2024年7月18日号 掲載 

 

新潮社 

 

 

 
 

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