( 195330 )  2024/07/27 17:01:11  
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日本の自動車に関する税金は他国に比べて非常に高く、改善の必要性が指摘されている。

JAFは特に自動車重量税やガソリン税について問題意識を持ち、廃止や見直しを求めている。

自動車重量税は本来の目的が失われている上に、課税根拠が自動車税と似ており、不可解な課税形態として批判を集めている。

ガソリン税に関しても、税率の上乗せや消費税の問題が指摘されており、税金の筋を通すための見直しが求められている。

将来的にはEVの普及に伴い、走行税が導入される可能性もあるが、その導入には慎重な検討が必要とされている。

(要約)

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photo by iStock 

 

日本のクルマに関わる税金は諸外国に比べて突出して高い。 

 

前編記事『日本のクルマの税金はアメリカの「29倍」...!!《過去最高の税収》を4年連続で更新している日本政府が無視し続ける、「日本人の断末魔」』より続く。 

 

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日本の自動車税制の改善を訴え続けてきたJAFの担当者は、2年に1度の車検時に支払う自動車重量税に関しても懐疑的だ。 

 

「自動車重量税は1971年、道路整備に使われる道路特定財源としてスタートしています。その際、国の財政が厳しいという理由で本来より大幅に高い税率が上乗せされました。 

 

しかし、この税金は2009年に一般財源化され、当初の課税根拠をすでに失っています。それにも関わらず、いまだに存在し続け、さらには一時的な措置の側面が強かった税率の上乗せも維持されている。本来の税率は0.5tあたり年間2500円ですが、1.6倍の4100円が課されているのです」 

 

この税金には別の問題もある。自動車重量税は「車両重量」に応じて課されるのに対し、自動車税は「車両排気量」に応じて課される(軽自動車はいずれも一律定額)。つまり、課税の趣旨がいずれもほとんど同じで、似通った税金が2つ存在するのだ。 

 

自動車重量税を巡るこうした状況について、JAFは「他国では類を見ない不可解な課税形態」として、政府に廃止を求めている。 

 

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クルマといえば、動力に不可欠な燃料に課せられる税額も凄まじい。ドライバーが購入するガソリン価格には、本体価格のほか、ガソリン税(揮発油税+地方揮発油税)と消費税が含まれている。そしてこれらの税金も問題含みなのだ。 

 

まず、ガソリン税は税率の上乗せが適用されている。本来のガソリン税は1リットルあたり28.7円。しかしそこに25.1円がプラスされ、合計で53.8円を支払っている。前述した自動車重量税と同じく道路特定財源を確保するための上乗せだったはずが、現在も徴収され続けているのだ。 

 

「したがって、こちらも課税根拠はないに等しい。この上乗せ分の税金を廃止するだけでガソリン価格はもっと安くできます。しかし政府側にそれを検討するような動きは一切ありません」(JAF担当者) 

 

さらに、ガソリンにおいては、税金に税金をかける「タックスオンタックス」も問題だ。消費税は本体価格に課すのが通常の考え方だが、ガソリンの場合は本体価格とガソリン税の合計額に消費税がかかっている。 

 

これに関して国税庁は以下の見解を示している。 

 

〈消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額には、酒税、たばこ税、揮発油税、石油石炭税、石油ガス税が含まれます。これは、酒税やたばこ税などの個別消費税は、メーカーなどが納税義務者となって負担する税金であり、その販売価格の一部を構成しているので、課税標準に含まれているとされているものです〉(国税庁ホームページ上のタックスアンサー No.6313「たばこ税、酒税などの個別消費税の取扱い」より) 

 

ざっくり説明をすると、税金も企業のコストの一部になっているため、ガソリン税を含めた価格に消費税をかけることは問題ないと言っている。 

 

しかし、自動車ジャーナリストの渡辺陽一郎氏は次のように反論する。 

 

「ガソリン税は、その消費量に応じてユーザー側が税金を別途支払う趣旨で創設されました。しかし個別の納税は現実的に不可能。そこで便宜上、ガソリン価格と一緒に徴税する仕組みをとっています。つまり本来は、メーカーなどが納税義務者になって負担する税金ではなく、ユーザーが別途支払うべき税金なのです。 

 

そもそもガソリン税そのものが課税の法的根拠を失っています。道路特定財源としてスタートしながらすでに廃止され、一般財源になっているからです。そんな税金をいまだに存続させ、しかも消費税まで課税して二重に徴税している。明らかに間違っています。ドライバーの負担軽減のためにも、また税金の筋を通すためにも、早急に見直すべきです」 

 

 

ただ今後はEVの普及に伴い、ガソリン車は着実に減っていく。これまでガソリンから得られてきた税収がしぼむのは確実だ。 

 

そこで新たな税金として、政府は走行距離に応じて課税する「走行税」を検討しているとの見方が強い。実際、ニュージーランドやアメリカのオレゴン州では導入済みだ。ほかにもアメリカではカリフォルニア州なども実証実験を実施している。 

 

しかし渡辺氏は大きな懸念を抱いている。 

 

「もし日本で導入されれば、クルマ移動が必須の地方在住者を中心に税負担が増えるだけでなく、全国民にダメージが広がるでしょう。大きな負担増となる物流業界は配送料金を上げざるを得ず、それが商品価格に転嫁されていく。さらなる物価高が訪れます。所得が伸びづらい日本の庶民にとってはかなり苦しい状況になるでしょう」 

 

最後に、渡辺氏はこう嘆息した。 

 

「税金は、高くなることはあっても、安くなることはありません。なぜなら政府、というか財務省は何がなんでも税収を維持したいからです。ドライバーは一体いつまで高額な税金を払い続けなければいけないんでしょうか」 

 

高すぎる税金が、日本のクルマ離れをさらに加速させそうだ。 

 

週刊現代(講談社・月曜・金曜発売) 

 

 

 
 

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