( 195982 )  2024/07/29 16:06:41  
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6月の訪日客数が313万人と過去最高を記録し、インバウンド需要が活況を呈している中、「MEGAドン・キホーテ渋谷本店」(渋谷ドンキ)が免税売り上げを伸ばしている。

PPIHのインバウンドサポート部は外国語対応や受け入れ態勢の強化を進め、菓子類や化粧品が売れ筋であることを報告。

海外旅行客が夜に買い物をする傾向を考慮し、深夜まで営業しているのも成功の要因の1つとされている。

(要約)

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MEGAドン・キホーテ渋谷本店 

 

 日本政府観光局によると、6月の訪日客数は過去最高の313万人を記録した。4カ月連続で300万人を超え、インバウンド需要は活況を呈している。「MEGAドン・キホーテ渋谷本店」(以下、渋谷ドンキ)はこうした波に乗り、多額の“外貨”を稼ぎ出しているようだ。 

 

【画像】渋谷ドンキで「壁一面にビッシリ」陳列されている、インバウンド大人気のお菓子(6枚) 

 

 商業施設がひしめく渋谷駅周辺はライバルも多いはずだが、右肩上がりを続ける要因は何か。ドンキなどを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)のインバウンドサポート部、秦基記(はた・もとき)部長に聞いた。 

 

 PPIHのDS(ディスカウントストア)事業における、2019年6月期(2018年7月~2019年6月)の免税売り上げは約684億円だった。2024年6月期は、3Q終了時点(2023年7月~2024年3月)で既に約813億円に上っている。 

 

 コロナ前から同社はインバウンド専門部署を設けるなど、インバウンド対応に注力していたが、直近はさらに受け入れ態勢の強化を進めているようだ。渋谷ドンキで免税販売に対応する7階では、免税対応レジを10台以下だったところから25台に増やした。 

 

 外国語対応として、英語、中国語、韓国語を話せるスタッフを7階に配置。他のフロアでもスタッフに貸与しているスマホに翻訳ツールを入れ、簡単なコミュニケーションを取れるようにしている。 

 

 百貨店では円安を追い風に、高級ブランドなど高価格帯の商品が売れている。対してディスカウントストアであるドンキは、売れる商品の傾向も異なる。最も売れている商品ジャンルは菓子類、日焼け止めなどの化粧品関連だ。 

 

 一方で、かつて「爆買い」の対象だった家電関連商品は、コロナ前ほどの勢いはないという。「家電の売れ行きは2019年当時と比べると少し勢いが落ちている印象。例えばドライヤーなど高価格帯の理美容家電がかつての売れ筋だったが、当時と比べると販売額は減っている。買うものの傾向が確かに変わってきているなと感じる」(秦氏) 

 

 

 渋谷ドンキでは、入口前で写真を撮る人も多数いた。秦氏は、渋谷の観光名所であるハチ公像、スクランブル交差点のようにドンキも“観光地化”しているのではないかとした上で、そうなった理由として「海外出店」が影響しているのではないかと分析する。 

 

 「東南アジアを中心にドンキの海外業態『DON DON DONKI(ドンドンドンキ)』がオープンしたことも関係しているのではないか。DON DON DONKIは日本のドンキとは全く雰囲気が異なるのだが、SNSなどでそれを知り、『日本に行くなら日本のドンキにも行ってみようと思っていた』と答える人は多い。海外進出の副産物だと思う」 

 

 免税売り上げが右肩上がりに伸びている理由について、「深夜営業」も大きな要因ではないかと秦氏は話す。実際、渋谷ドンキでは午後9時以降から免税売り上げ額が上がり始め、午前1時ごろにピークを迎える。この時間帯の免税売り上げが、渋谷ドンキの一カ月の免税売り上げのうち約30%を占めるという。 

 

 「海外のお客さまは夜の時間を有効的に使いたいという方が多い。昼間に観光をして、夜に買い物に行くという流れは以前からあった。ドンキは『時間消費型』の店舗であり、ワクワクドキドキできる空間を目指している。そこに深夜も営業している利便性が合致したのではないか」 

 

 秦氏が考察するように、渋谷の大型商業施設「渋谷ヒカリエ」「渋谷スクランブルスクエア」「渋谷PARCO」はそれぞれ午後9時に営業終了する。もちろんこの時間以降も営業している商業施設はあるが、深夜帯にさしかかるにつれライバルは確実に減っているといっていいだろう。渋谷ドンキは深夜帯で“一人勝ち”しているのかもしれない。 

 

ITmedia ビジネスオンライン 

 

 

 
 

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