( 196294 ) 2024/07/30 14:45:23 0 00 蓮舫氏
蓮舫氏への批判は、異常な“女性差別”──!? 日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」は7月20日、《メディア 異常 蓮舫氏たたき “女性差別”“民主主義後退”と批判 「私は黙らない」蓮舫氏き然》との記事を掲載した。共産党は蓮舫氏への批判が《政治分野におけるジェンダー平等に深刻な悪影響を与えかねない》と憂慮するのだが、まずは記事を見てみよう。
【写真】物議をかもした「共産党」による“蓮舫・抱きつき”戦略の証拠写真
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都知事選で蓮舫氏は約128万3000票を獲得したものの3位に終わった。この結果を「2位じゃだめなんでしょうか」の発言に引っかけて報じたメディアは少なくなかったが、赤旗=共産党は、これがお気に召さなかったらしい。
NHK、日本テレビ、時事通信の報道を紹介し、マルクス主義の関連図書の刊行で知られる出版社の関係者が識者として登場。《声を上げた女性の落選をあざ笑うかのような報道は、立場の弱い人の発言の機会を奪い、民主主義を後退させる》と強く批判した。
さらに東国原英夫・元宮崎県知事の「生理的に嫌いな人が多い」、タレント・上沼恵美子の「頭がいいっていうのを出しすぎ」などの発言も問題視。特に上沼に対しては、「発言」ではなく「放言」の単語を使い、悪意をにじませた。
記事の後段では全国フェミニスト議員連盟が取材に応じ、《「政治分野でジェンダー平等を目指す運動をなえさせるような攻撃」》、《「現状でも選挙戦に高い壁がある女性候補者に対して、落選すればどうなるかという『見せしめ』そのものです」》と異議を唱えた。
実は赤旗と類似した主張を行った記事は、すでにネット上で炎上している。弁護士JPニュースは7月23日、「なぜ蓮舫氏に『からかい』が集中するのか? “ものを言う女性”バッシングの背景にある『女性差別』の構造」との記事を配信した。
記事の詳しい紹介は割愛させていただくが、弁護士JPニュースは蓮舫氏に批判が殺到している理由として「ミソジニー(女性嫌悪)」が背景にあると指摘。《男性社会に逆らう女性に対する処罰感情》を問題視した。
記事には批判が殺到。例えばXを見ると《土井たか子さんも、ものを言う女性だったけど嫌われてなかった》、《蓮舫さんが叩かれるのは発言がおかしいから》、《都合よく女性差別を利用しないで》──といった投稿が次々に表示される。
元参議院議員で共産党の政策委員長を務め、2005年に離党した筆坂秀世氏は「都知事選が終わっても蓮舫さんに批判が集中していることは事実です。しかし、その背景に女性差別があるという主張には同意できません」と話す。
「私も蓮舫さんは2位だろうと予測していました。3位は大惨敗で、これほど得票が伸びなかったのは東京都の有権者を惹きつける魅力を提示できなかったことが根本的な原因です。彼女に対する批判で最も多いのは『批判ばかりでうんざり』であり、上沼恵美子さんを筆頭に多くの女性も苦言を呈していたことを考え合わせると、蓮舫さんへの批判に女性差別の要素があるとは思えません。さらに選挙に勝利したのは同じ女性の小池百合子さんです。赤旗の指摘を敷衍すると『都知事選で小池さんは女性差別の対象にならず、蓮舫さんだけに差別が向けられた』ことになります。これに違和感を覚える有権者は多いのではないでしょうか」
筆坂氏は1995年から2003年まで参議院議員を務めた。2004年から2024年まで務めた蓮舫氏の“先輩”にあたる。
「2018年に国会で蓮舫さんが『れんぽう』と呼び間違えられ、話題になったことを思い出しました。何回も間違えられたので、その都度、蓮舫さんは対処していました。その際、ストレートに『れんほうです』と間違いを指摘したことがあり、それを見ながら『これをキツいと感じる有権者は多いかもしれない』と感じたことは今も鮮明に記憶しています。あの場合は『申し訳ありません、れんほうなんです』と柔らかく受け止め、『次回は正しい名前を呼んでください』と低姿勢に出たほうが、政治家としての度量を有権者に示すことができるのです。これには男も女も関係ないはずでしょう」(同・筆坂氏)
蓮舫氏に批判が殺到した理由の一つに、彼女が連合(日本労働組合総連合会)の芳野友子会長の発言を問題視したことが挙げられる。
芳野会長が蓮舫氏の敗因として7月11日、「共産党が前面に出過ぎて票が逃げたのではないか」と指摘。これに蓮舫氏がXで《現職に挑戦した私の敗因を、現職を支持した貴女が評論ですか》と食ってかかった。
しかしXのユーザーは蓮舫氏の見解を支持しなかった。《公開負け惜しみ》、《見苦しい》、《また噛みついてる》、《謙虚に聞いた方がよいと思う》──など、蓮舫氏の投稿を疑問視する声が少なくなかったのだ(註)。
「蓮舫さんの敗因の一つとして、共産党があまりにはしゃぎすぎたことが挙げられます。5月29日、都知事選への立候補を表明した蓮舫さんは共産党都議の都庁控え室を訪問しました。都議団は笑顔で迎え、花束を贈呈しました。率直に言って私は『何をやっているんだ』と思いました。あの時、蓮舫さんは出馬を明らかにしただけです。花束は選挙に勝ってから渡すべきで、『共産党は何を浮かれているんだろう』と違和感を覚えた有権者は相当な数に達したはずです。選挙活動というものは、もっと地に足を付けて地道に行うべきものではないでしょうか」(同・筆坂氏)
赤旗は都知事選の期間中、毎日のように蓮舫氏の動向を1面で伝えていた。実際のところ、共産党がはしゃぐのも、のっぴきならない理由があったようだ。筆坂氏は「共産党は取り残されることが何よりも怖いのです」と指摘する。
「共産党は議員も党員も減り続けています。当初は小池さんと蓮舫さんの一騎打ちと報じられた都知事選に、自分たちが蚊帳の外に置かれることを最も恐れていました。しかし蓮舫さんは共産党との共闘を選択してくれたので、あれほど喜んだのです。共産党にとって蓮舫さんは知名度が高く、参院で連続当選3回の大物政治家です。選挙協力できることが嬉しくて仕方なかったのです。結果は敗北に終わりましたが、今でも共産党は蓮舫さんに感謝していると思います」(同・筆坂氏)
共産党は党員や支持者、赤旗の読者を増やすよう、党員に発破をかけている。70年代には主婦層を中心に支持者を伸ばした実績も持つ。だが、これほど世論とかけ離れた主張を展開して、党員が増えるのだろうか?
「そもそも赤旗を購読していない党員もいるほどです。共産党と一般的な世論のズレは、年を追うごとに激しくなってきました。赤旗はいまだに志位和夫議長の講演内容を1面トップで詳報し、マルクス主義、社会主義を称賛しています。こんなセンスで紙面を作っていれば、世論と乖離して当然でしょう」(同・筆坂氏)
改めて考えてみると、なぜ赤旗は「蓮舫批判は女性差別」という奇妙な主張を行ったのだろうか。蓮舫氏を擁護し、有権者を説教するような記事を掲載しても、共産党の追い風になるとは思えない。
「共産党は都知事選の結果を善戦と総括しました。しかしながら本当は大惨敗です。蓮舫さんの政治生命を不安視する声すらあるほどで、共産党も敗北の責任を問われても不思議ではありません。そのため赤旗の紙面を使い、『蓮舫さんへの批判はいわれなき女性差別なのだ』と予防線を張ったと指摘されても仕方ないと思います。しかし、赤旗の指摘を突き詰めていくと、蓮舫さんを批判している人は誰でも“差別的”と決めつけていることになります。これは非常に問題でしょう。そもそも蓮舫さんを女性差別という観点から擁護することが正しいのかも疑問です。そっとしておいたほうが、よほどいいのではないでしょうか」(同・筆坂氏)
註:蓮舫氏を激怒させた朝日新聞政治部記者の正体 「目を付けられまくって一ミリも出世しない俺」 汚い言葉遣いで会社側も謝罪(デイリー新潮:7月21日)
デイリー新潮編集部
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