( 196327 )  2024/07/30 15:26:57  
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菅野志桜里氏は、立憲民主党の状況について、党内の時代感覚のズレを指摘している。

2009年以降15年が経ち、変化を実現できない人々に変化を託すことは難しいとしている。

立憲民主党は野党第一党であるが、野党共闘による中身のない戦いを繰り返しており、与党にはなれない負の側面があると述べている。

立憲民主党の代表選に期待し、変化や新たな考え方に期待している一方で、維新や国民民主党の存在にも注目しており、立憲民主党が変われない場合は他の野党に期待するべきだとしている。

(要約)

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かつて身を置いた旧民主党の現状を、菅野志桜里氏はどう見るか(写真:共同通信社) 

 

 “蓮舫ショック”は、まだ尾を引いているのか。野党第一党・立憲民主党に明るい話題がない。秋に代表選が控えるものの、自民党総裁選の陰に隠れ、立候補が取りざたされる名前にも新鮮味が感じられない状況だ。立憲民主党はこのまま沈んでいくのか。維新や国民民主など、他の野党勢力との連携はどうなるのか。衆院議員として立憲民主党や国民民主党に身を置いた弁護士の菅野志桜里氏に、野党のいまと展望を聞いた。 

 

【実際の投稿】「幹部たちが、立憲民主党の時代感覚を圧倒的にズレさせている」。党幹部を厳しく批判する菅野志桜里氏のSNS 

 

■ 「変化を託そうと思えない」 

 

 ――立憲と共産が推した蓮舫氏が3位に沈んだ都知事選を受け、Xに<「何が原因か分からない」幹部たちが、立憲民主党の時代感覚を圧倒的にズレさせている>と投稿されました。 

 

 菅野志桜里氏(以下、菅野氏):立憲民主党が左傾化を強める方向に危機感を持っています。 

 

 民主党が2009年に政権を取ってから、もう15年が経ちました。国民から「失敗」という評価をいただいたあと、立憲が本当の意味で変化を見せた瞬間があったでしょうか。 

 

 私は2009年当選組です。当選同期にあたるいまの中堅世代も、私と同じような危機感を持っています。 

 

 逆に言えば、党内に危機感がありながら変えられない状況が続いてしまっているということです。15年あって変えられなかった人たちに、変化を託そうとは思えません。 

 

 ◎菅野氏のXへの実際のポスト 

 

 「失敗の象徴」のような先輩議員が次から次へとマイクを握ったということを指摘しましたが、別に、そうした方々自体に何か批判的な視点があるわけじゃありません。自己の認識と社会の認識との間に相当なズレがあって、もうズレているっていうことすら受け止められていないんじゃないかなと感じているのです。 

 

 ――選挙となると共産党の票がどうしても欲しくなってしまう、そこに変化できない原因があるのでしょうか。 

 

■ 野党第一党の座と引き換えに失っているもの 

 

 菅野氏:次の選挙を失ってでもその先の勝負を取りに行くっていう姿を見せないと、もう立憲民主党に浮かぶ瀬はありません。 

 

 選挙が近づくたびに、野党共闘のために政策協定を結び、中身のない戦いをしてしまう。選挙が終わるとまたちょっと遠ざかる。その繰り返しです。 

 

 その結果いまも野党第一党の座にあるわけですが、同時に絶対に与党にはなれないという、大きな負の側面を伴っているととらえるべきでしょう。 

 

 間違いなく、党内には「もうちょっと中道で行こうよ」という考え方があります。私が立憲民主党の中にいたときにもありました。「体制はリベラル、外交安全保障は現実路線」「いまのままだとまずいから、変えていかなきゃね」と。 

 

 そういう意見を、エレベーターの中で言い合うわけですよ。いやいや、さっきの党内の会議で言ってよ、って感じていました。私はそれを「エレベーター政治」って呼んでいます。 

 

 変化を期待していますが、変化を予想していないというのが率直なところです。「エレベーター政治」では変わっていきません。いまの党内を知る立場にはありませんが、秋の代表選でまた先輩議員の名が挙がる状況を見ると、変わっていないのだろうなと感じます。 

 

 内心では思っていても、行動を伴えない。口と心が繋がっていないという感じでしょうか。 

 

 立憲にとって蓮舫さんは大きな存在でしたから、何が何でも意義があったと総括したいのでしょう。であるならば、もうこの代表選で書き換えてみせるしかないのですが。 

 

 ――都知事選を生かすのであれば、路線の見直しに思い切って踏み切っていかなければならないということですね。 

 

 菅野氏:もう変化を恐れる時代じゃないです。外部の刺激を受けて自ら変わって見せるというのは、ほめられこそすれ恥ずかしいことじゃないと、私は思います。むしろ「ずっと同じ、愚直に一直線です」という政治家を見ると、大丈夫かなって思っちゃう。 

 

 

■ 野党第一党が“代わる”しかない 

 

 ――9月の代表選、もし立憲が変わる可能性があるのだとすれば、具体的に思い浮かぶ顔はいますか。 

 

 菅野氏:はっきり言ってスターはいません。そして、代表選も「ニューヒーロー誕生」「ニューヒロイン誕生」という文脈からは卒業した方がいい気がします。 

 

 誰が神輿に担がれるのかということではなく、中身のある議論をする機会にしてほしいです。 

 

 ――実際、現代表は40代の泉さんです。 

 

 菅野氏:代表さえ変えれば世代交代を果たした、あるいは果たしたように見えるっていうことが、やはり失敗しているわけです。 

 

 共産党との関係について、覚悟を決めて一線を画そうと。現実的な中道路線に舵を切ろうと。そういう本質的な議論が求められているのだと思います。 

 

 ――実際、いまの立憲民主党は本気で政権を取りにいこうとしているのでしょうか。「自民党対社会党」という55年体制が続いているようにも見えます。 

 

菅野氏:政権交代の現実味がない点で55年体制と同じなのに、立憲は夢を見ているようですね。 もしかしたら、共産党と組んだら蓮舫さんが勝てるんじゃないかと本気で思ったり、この路線を進んでいけば本気で立憲中心の政権交代が果たせるんじゃないかと思ってみたり、自民党の失敗によって次にバトンが回ってくると思っていたり。そんな印象を受けます。 

 

 国民世論は、「令和の55年体制」でいいのかなと思っていますよ。15年前と同じ轍は踏みたくないけど、統治を託せる党があるなら担わせたいって思っているはずです。 

 

 仮にも、立憲がいま思い浮かべているようなタナボタ的な形で政権を取ったのだとしたら、日本にとってそれはすごく残念なことだなと思います。 

 

 野党第一党が変われないのであれば、野党第一党が“代わる”しかありません。 

 

 野党第二党として維新が存在しています。そして、国民民主党が中道路線にいます。維新と国民はマクロで見れば同じ中道路線ですので、ここが一つの枠組みとなって引っ張っていくしかないのではないでしょうか。 

 

 ――旧民主党系の立憲と国民ではなく、維新と国民という枠組みに期待しているということですか。 

 

 

■ 「ヤンキーさんも大人になっていく」 

 

 菅野氏:どこがリードしようが構わないですが、いまの立憲民主党に期待する要素がなかなか見つけられないのです。「蓮舫ショック」を受けてさえ、共産党との関係について腹をくくろうという姿勢が見られません。 

 

 維新と国民は安全保障観やエネルギー政策の観点で親和性があります。それぞれの政治家から見るともっと細かい政策や文化が違うということがあるのでしょうが、国民世論からみると同じに感じますよね。 

 

 そもそも考え方が近いのだから、まとまっていく現実味があるような気がするんです。そしてなにより、立憲に比べて変わることを恐れていません。 不安要素で言えば、維新、国民ともちょっとマッチョな感じ。不寛容な攻撃性がパラパラと散見されるところでしょうか。 

 

 ――維新は「マイルドヤンキー」と評されることもあります。 

 

 菅野氏:ヤンキーさんも大人になっていくにつれ、社会に対してより寛容な接点を持っていくようになるじゃないですか。15年間変われなかった立憲よりも、柔軟性のある維新や国民が変化していく方が現実的なのかなと、私は感じます。 

 

 とはいえ、維新と国民はまったく根っこが違う組織です。それぞれの党の歴史と矜持があり、新たな枠組みを一緒に作りましょうというのは、もちろんそう簡単なものではありません。 

 

 本当は、立憲にも、この代表選挙を新たな考え方へと舵を切る機会にしてほしいんですけどね。希望するけど、期待できない。ぜひそんな予感を裏切ってほしいです。 

 

 「何が原因か分からない」幹部たちが、立憲民主党の時代感覚を圧倒的にズレさせている。一度はここに籍を置いた者として、見ているのがつらい選挙だった。… 

 

― 菅野志桜里 (@ShioriYamao) July 8, 2024 

 

JBpress 

 

 

 
 

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