( 197812 )  2024/08/03 01:56:53  
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今年の猛暑はまだ続く可能性があり、暑さのメカニズムや予測が解説されています。

7月には熱波で全国で40度以上になる地域もあり、気象庁の予報によると9月まで暑さが続く見込みです。

また、ラニーニャ現象やW高気圧の影響で暑さが続くことが予想されています。

熱中症に注意しつつ、水分補給や熱中症対策を徹底して暑さに備えることが重要です。

(要約)

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今年の猛暑はいつまで続くのか。気象予報士が解説します(写真:スムース/PIXTA) 

 

 昨年の夏は、統計史上最も気温が高くなりましたが、今年は、それを上回る暑さになるおそれがあります。 

 

【図で見る1か月予報】気象庁は8月のこれからの気温はどうみている? 

 

 この暑さ、いつまで続くのでしょうか。気温が高くなるメカニズムとともに解説します。 

 

■日本最高記録に迫る暑さ 

 

 7月29日、佐野(栃木県)で最高気温41.0℃を観測しました。 

 

 日本の歴代最も高い気温は、2018年に熊谷(埼玉県)、2020年に浜松(静岡県)で観測された41.1℃です。あと0.1℃高ければ、歴代1位タイでした。 

 

 この日は、館林(群馬県)と天竜(静岡県)で40.2℃、伊勢崎(群馬県)40.1℃、熊谷(埼玉県)と古河(茨城県)では40.0℃まで上がっています。全国6地点で40度以上になったのです。 

 

 東京は37.3℃で、今年最も高い気温でした。 

 

 7月29日は、日本の南にある太平洋高気圧の勢力が強く、上空に暖気が流れ込み、各地で気温が高くなりました。 

 

 特に関東で気温が上がったのには、もう1つ理由があります。それは、フェーン現象です。風は等圧線(図の白線)に沿って吹くので、この日は北西風でした。関東は、北西風のときにフェーン現象が発生します。 

 

 フェーン現象とは、山を越えた暑い風が吹き下ろし、風下側で気温が上がることです。山との位置関係によって、どの風向きでフェーン現象になるかは異なります。 

 

 例えば、今年7月7日は静岡で最高気温40.0℃になりましたが、静岡は西風のときに暑くなります。 

 

■今年の暑さは長く続く?  

 

 今年は7月上旬から猛烈な暑さに見舞われ、日本は1898年の統計開始以来、7月としては最も気温が高くなりました。記録的な暑さとなった昨年7月は平年より1.91℃高かったですが、今年7月は平年より2.16℃高く、昨年を超えたのです。 

 

 そして、この先も暑さが続きそうなので、フェーン現象が重なれば、最高気温40度以上が観測されてもおかしくありません。 

 

 気象庁の1か月予報では、9月2日にかけて全国的に平年より気温が高い予想です。 

 

■9月、10月の気温の予報は?  

 

 特に、8月16日頃までは、平年よりかなり高くなるおそれがあります。 

さらに、残暑も厳しくなりそうです。 

 

 9月の気温は北海道から沖縄まで赤色、全国的に平年より高いでしょう。 

 

 10月になると、北海道は平年並みか高い見込みですが、東北から沖縄では高いと予想されています。 

 

 

 秋にかけてラニーニャ現象が発生する可能性が高いです。 

 

■「W高気圧」で猛烈な暑さが続く 

 

 ラニーニャ現象は、貿易風が強まることによって、南米・ペルー沖の海面水温がいつもより低くなることをいいます。一方、インドネシア近海の海面水温は高いため、雲が多く発生します。その影響で、太平洋高気圧の張り出しが強まるのです。 

 

 さらに、インド洋の東部も海面水温が高く、雲が多く発生するため、チベット高気圧が平年より北に偏ります。 

 

 太平洋高気圧とチベット高気圧、2つの高気圧によって、日本は暑い空気に覆われやすくなります。 

 

 そして、上空の偏西風が日本付近では平年より北を流れることで、日本に暑い空気が流れ込みやすいです。複数の要因が重なり、この先も暑くなるでしょう。 

 

 厳しい暑さや長引く暑さによって体調を崩さないためにも、環境省と気象庁が出している「熱中症警戒アラート」を1つの目安にしてください。 

 

 暑さというと気温に注目しがちですが、気温だけでなく、湿度が高いと熱中症の危険度が上がります。熱中症警戒アラートが発表されているときは、湿度も高いので、いつも以上に熱中症対策を万全にしましょう。 

 

 喉が渇く前に水分補給をするようにして、適度に塩分もとるようにしましょう。風通しがよく、汗をよく吸って乾かす、涼しい服を着ることも大切です。 

 

 家の中でも油断できないので、エアコンを使うようにしてくださいね。 

 

 夜間に熱中症になる人も多いため、寝る前にコップ1杯の水を飲んだり、目を覚ましたときにすぐ水分補給ができるよう、枕元に水を置いておいたりしておくとよいでしょう。また、寝ている間もエアコンをつけっぱなしにしておくことが大事です。 

 

 夏休みの旅行や帰省で普段と違う場所で過ごしたり、屋外で過ごす時間が長くなったりするときは、いつも以上に熱中症に気をつけてください。 

 

■夏休みの後半は「暑熱順化」を!  

 

 また、夏休みをずっと涼しい屋内で過ごすと、体が暑さや汗のかき方を忘れてしまい、休み明けに熱中症になってしまうこともあります。日常生活に戻る前に、もう一度「暑熱順化(入浴などで体を暑さに慣らすこと)」をするのがオススメです。 

 

久保井 朝美 :キャスター、気象予報士、防災士 

 

 

 
 

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