( 198072 )  2024/08/04 00:54:30  
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財務省の神田前財務官が7月末に退任した際、日本テレビが単独でインタビューを実施。

神田氏は為替介入について、「市場に任せるべきだが、過度な変動がある場合は対応する」と語り、これまでの円安対応について明かしました。

また、常に仕事態勢を整えるために朝早く出勤し、出張時には多くの機器を持参していることも述べました。

為替介入の効果や今後の活動についても語っています。

(要約)

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神田前財務官を直撃「為替介入について」 

 

“歴史的円安”対応の陣頭指揮を執ってきた、財務省の神田財務官が7月末で退任しました。退任に先立ち日本テレビは、神田氏に単独でインタビュー。「常在戦場」「出張には端末5台」「介入は効いている」。明かされた円安対応への“本音”と介入の“裏側”とは…。単独インタビューの「全文」を公開。 

 

【動画】「歴史的円安」に対応指揮 神田前財務官 為替介入への“本音” 

 

日本テレビの単独インタビューを受ける財務省の神田眞人・前財務官(7月30日) 

 

◇為替の話。今まで円安が進んでいく中で、市場には政府・日銀は為替介入を「できないんじゃないか」「しないだろう」という考えもあったかと思う。ただ、実際は為替介入に踏み切った。どんな“思い”からだったか? 

 

ーーー思いというか、なんて言いますか、私の基本的な考えは、我々、変動為替相場制をとっているわけですから、為替相場はファンダメンタルズを反映して、安定的に推移していることが重要で、その限りでは市場に任せるべきだと思っています。 

 

ただ、投機の動きなどで、本当に行き過ぎた動き、過度な変動があった場合は、これ、何も悪いことをしていない家計や企業にすごい悪影響を与えます。それは対応できませんよね。急にバーンと、エネルギー価格とか、食べ物の値段が上がったら、それは容認できない。 

 

例えば2022年9月は、このような過度な変動が見られる中、もう、1998年以来の24年ぶりの円買い介入に踏み切らざるを得なかったわけです。その後も為替市場で、そういった過度な変動が見られたときには、適切な対応をとってきたと思っています。 

 

先ほど申し上げたとおり、為替は私の全体の仕事の1割未満なんですけれども、厄介なのは為替市場って24時間、世界中で取引可能なんですね。なので、いつ何どきでも相場が急変する可能性がある。為替ってのは森羅万象を反映しますので、いろんな地政学的なイベントから、経済指標から、要人の発言まで、もう何があるかわからない。 

 

私自身は、月の半分以上を様々な国際交渉で海外に行っているもんですから、非常にやりにくいところはあるんですが、それでも、いついかなる状況でも、そういった過度の変動があったら、直ちに適切な対応をとれるような態勢を、自分自身で整えて、いわゆる「常在戦場」ですかね、それをやってきたつもりであります。それはこれからも続けていこうと思っています。 

 

大きいのはやはり、20年以上、毎日「チャート」、いろんなチャートを見たり、経済指標を追いかけてきて、それからもう一つは、これは30年弱になりますか、各国の要人、それはマーケット、ヘッジファンドとかから、当局の人とかとの人間関係が続いてきた。この両者で、なんとはなしに“やっぱり今の動きはおかしいじゃないか”っていう、相場観がつかめていたっていうのはあるかもしれません。 

 

◇「常在戦場」というが、普段の出勤はいつだった? 

 

ーーー通常(の財務省の出勤時間)は9時30分ですね。私はだいたい7時台に来るようにしてきて、それは2000年代の初めぐらいに、為替市場課をやっていたのもありますけども、一つ、秘書課の企画官っていう人事(の役職)をやっていたときに、やっぱり昼になって、みんなが出勤してくると仕事しにくいので、朝早く来る習慣があって、当時から、だいたい8時前には登庁してるようになって、数十年続けてるっていう感じですね。 

 

今は、かなりそれが有効なのは朝、人が少ないから仕事しやすいっていうのと、それから政治家の方とか財界の方って、朝の8時からの会議が多くて、それに出やすいっていうのもあるし、さらに言うと(日米欧)「3極」でやる、いわゆる電話会議ですね、ビデオ会議とかっていうのは、どうしても、日本は夜の9時からか10時からになって、それがほぼ毎晩あったりするんですけれども、アメリカとやるときっていうのは、午前中が多いんですね。ちょうど日本の朝で向こうの夜みたいな。なので、朝早く来て、アメリカ大陸と電話で相談するっていうのは結構あるので、非常に有意義な時間の使い方だったとは思っています。 

 

◇携帯はいつも手放せなかった? 

 

ーーそれはそうですね。 

 

◇携帯を何台も持っている…みたいな話もあるが? 

 

ーーーちょっとそれは…。携帯っていうわけじゃなくて、皆さんと一緒で、iPadも持ってるし、それからうちのパソコンは、ポータブルなので、出張してるときはいつも持って行っていますし、だいたい出張のときは、いろんな端末、5台ぐらいは持っていますね。 

 

◇「携帯3台持っている」という話もあるが、実は違う? 

 

ーーーまあまあ、3台ぐらいは持ってますけれども、それはいろんなのがあって、詳しいことは言えませんけど、それだけじゃなくて。別に携帯じゃなくても、例えば、これは別に他の幹部も持っていますけど、衛星電話ですし、非常事態(が起きたときのため)ですね。 

 

◇いついかなるときでも対応できる? 

 

ーーーそれは大丈夫です。どこにいてもできるようになっていますので 

 

 

“為替介入を実施したのか?”連日記者に囲まれる 神田氏 

 

◇国民経済に影響がある、そういう危機感みたいなところもあった? 

 

ーーーもちろんそうですね。しかもそれが、なんていうか、人為的なものなんですよね、ある意味。不幸な災害、地震、天災…、天災の一部は気候変動で、人為的な部分もあるのかもしれませんけど、それは避けられない。 

 

けれども、マーケットの動きの少なからずというのは、「投機」という、それ自体は市場経済ですから、悪いというわけではありません。 

 

ただ、そういう一種のお金儲けの動きの中で、結果的に多くの、普通に生きている人たちの生活が脅かされる場合は、政府として、“市場の失敗”として、何らかの対応を取らざるを得ないことはよくあることだと思います。 

 

◇「介入」は効果が一時的という声もあるが? 

 

ーーーそれは全く間違っています、非常に。一時的っていうのは。まず効果っていうのが何かっていうと、我々は、この過度な変動を抑制したり、是正するためにやっているわけで、「1回限り」として、何かの水準を求めたことはありませんし、今後もそうです。変動為替相場制なんでですね。 

 

で、やればそれは当然、その投機に対してはかなり効き目があって、とりわけ、ファンダメンタルズと乖離している場合っていうのは、介入は効いているというのは、もうマーケットの評価ですね。 

 

別に私が、自分で自分のことを評価する立場にありませんけど、それはもうチャートを見たら明らかですから。 

 

まずは執務室内の片付けを急ぐ神田氏 

 

◇今後、どういうふうに政府と関わっていきたいと思われるか? 

 

ーーーいえ。今後はまだ何も考えていません。というかまだ1日ありますので(*注:7月30日に取材)、一生懸命、公務の要請に最大限、応えていくことに尽きると思っています。 

 

◇財務官の退任後については? 

 

ーーーまあ、これからですね。もちろん、ずっと仕事ばっかりだったんで、家族と一緒に、あるいは趣味もしたいですけれども。ただ、公務の要請があれば、そうも言っていられないので、何ていうか、先のことはわからないということです。 

 

◇大変だったなという、そんな3年間だったか? 

 

ーーーいや、そうでもないです。非常に恵まれた、本当に素晴らしい仲間、あるいはカウンターパートに恵まれてきましたので、そして何よりもやっぱり、鈴木(財務)大臣をはじめ、素晴らしい方々の指導を得ていたので、そんなにストレスはなかった。 

 

ただ、物理的な勤務時間、もうほとんど土日ずっとありませんでしたが、これは3.11、東日本大震災のとき以来ですね。 

 

あの当時は主計官で、やはり同じような感じで、ずっと泊まり込みに近いような。なんか久しぶりに、この歳になって、24時間態勢になったなあっていうので、感慨深いものがあります。 

 

次の体制もみんな立派な奴らですから。ぜひ応援してあげてください。非常にしっかりした人たちですよ。 

 

 

 
 

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