( 200452 )  2024/08/11 00:23:42  
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南海トラフ地震の注意報が発表されている中、日本を訪れている外国人観光客は状況に戸惑っている。

政府からの詳しい情報提供が必要とされており、外国人に対する避難情報や災害情報の提供が不十分であるとの指摘がある。

観光地では、外国人向けの防災アプリや多言語対応の情報提供が進んでおり、外国人観光客に対する支援が注目されている。

(要約)

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 南海トラフ地震の臨時情報(巨大地震注意)発表を受け、日本を旅行中の外国人に戸惑いが広がっている。状況を理解できていない訪日客も多いとみられ、専門家は政府による詳しい情報発信が必要だと指摘する。 

 

【図表】帰省や旅行先で気をつけること…ハザードマップ、避難経路確認など 

 

外国人観光客(右)に防災アプリの説明をする観光案内所の職員(10日、高知市で) 

 

 「情報が少なく、何に注意したらいいかわからない」。オーストラリアから来日し、東京・浅草を観光していた会社員アドリアナ・デュランさん(33)は困惑した表情を浮かべた。 

 

 8日の地震発生後、政府監修の外国人向け災害情報を取り入れたアプリをダウンロードしたが、巨大地震注意の情報は見当たらなかった。来日は2回目で田舎も訪れたかったが、外国人の対応に慣れた大都市だけにするつもりだ。「外国人向けにもっと情報を発信してほしい」と望む。 

 

 スペインから旅行で訪れた英語教師ナタリア・テヘラさん(33)が8日の地震後に頼りにしたのは、地元の友人がSNSで送ってくれる情報だった。神奈川県を震源とする地震が起きた9日夜は東京・新宿にいたが、「強い揺れと緊急地震速報のアラーム音に死を覚悟した」といい、「周囲の人に状況を尋ねても教えてもらえなかった」と残念がった。 

 

 日本政府観光局によると、今年6月に日本を訪れた外国人観光客は313万人に上り、単月では過去最多になった。だが、観光庁が訪日客向けに「災害時に役立つツール」として案内するアプリ「Safety tips」に巨大地震注意の発信は見られない。 

 

 一方、宮崎市は8日の地震後、21言語に対応する「災害時多言語コールセンター」を開設し、24時間受け付ける態勢を敷いたが、9日午後5時までにかかってきた電話はゼロだった。 

 

 各地の観光地では、外国人に直接情報を伝える取り組みが進む。「第71回よさこい祭り」は10日に本番を迎え、高知市の観光案内所では急きょ、最寄りの避難場所や経路を示した地図を作成した。8言語に対応した高知県の防災アプリも紹介している。 

 

外国人観光客も多く訪れる熱海駅前の商店街(10日、静岡県熱海市で) 

 

 タイから1人で訪れたスィリポーン・バンディットジラクルさん(47)は「地震があった時の情報の探し方がわからなかったが、防災アプリの説明を受けて安心した」と話した。 

 

 

 静岡県熱海市の観光案内所は多言語対応の翻訳機を備えており、外国人観光客には英語表記の津波ハザードマップで説明していく。観光で訪れたフランス国籍の留学生ユリス・フェルテさん(24)は「母国では地震は珍しいので強い地震は怖い。いざという時にどこに逃げるべきか確認しておきたい」と話した。 

 

 神戸学院大の前林清和教授(社会防災学)は、「訪日客は自分がどの自治体を旅行しているかわからないケースも多い。国は地方の情報も吸い上げて外国人向けに発信する必要がある。訪日客に人気の観光アプリに情報を共有する連携も大切だ」と話している。 

 

 

 
 

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