( 201735 )  2024/08/14 17:26:45  
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スポーツ庁の室伏広治長官が、帰国した日本選手団のメダリストたちを招いた会合で、ブレイキン女子の金メダリストである湯浅亜実選手に即興でダンスを披露するよう要求したが、選手がスーツでは踊れないと断る場面が話題になった。

室伏長官の発言が選手を軽視したものと受け取られ、批判が集まった。

その後、首相官邸の会合ではスポーツ庁長官の役割に疑問符が付けられ、アスリートへのリスペクトや配慮を欠いたとの声も上がった。

(要約)

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スポーツ庁・室伏広治長官 

 

 パリ五輪を終えて帰国した後日本選手団は大忙しだ。特に各競技のメダリストはメディア出演、関係各所への挨拶回りなどに奔走しているが、とある“会合”では選手を軽んじるかのような失礼発言も聞こえてーー。 

 

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 8月13日にメダリスト66人が足を運んだのは首相官邸。そう、五輪後の総理大臣の恒例行事である、いわゆる“表敬訪問”が行われ、記念品を贈呈した柔道男子66キロ級の金メダリスト・阿部一二三選手をはじめ、各選手が岸田文雄首相と面会、記念撮影や懇談に応じたのだった。 

 

 スポーツ庁・室伏広治長が“司会”役を務め、各メダリストの紹介と競技説明がなされていく中で、順番が回ってきたのは新競技「ブレイキン女子」で初代金メダリストになった「AMI」こと湯浅亜実選手。 

 

「AMI選手はあの~ブレイキング。だから…、初代女王になられたということですが、あれ、やっぱり見てて、えっと、即興で音楽に合わせてダンスをする。あの、えっと、やはり、素人が考えても想像を絶するような難しさがあるんじゃないかと思いますが、即興でダンスをやる、それに向けて普段からどんなことを意識して練習をしているのか。どんなトレーニングを積んでおられるのか、この辺りどうでしょうか?」 

 

 のっけから“ブレイキング”と言い間違えるなど、本当に競技を見たのか、理解しているのか、わからないようなグダグダな言い回しで質問をする岸田首相。それでもマイクを渡されると、 

 

「はい、ブレイキンのAMIです。えっと、ブレイキンはそうですね。当日は音楽も何がかかるかわからない中、プラス対人で、相手によってムーブとかも変えなきゃいけないとかあって、その時にならないと何が起こるかわからない中でみんな戦っているんですけど。 

 

 私自身は、ブレイキンは自己表現だと思っていて、勝ち負けだけが全てじゃなくて、自分の踊りをそのステージに置いてくる。自分をそのステージでプレゼンするというのが、多分、みんなすごく一番大事にし踊っていると思っているので。練習の時は、もちろん対人ではあるんですけど、自分に向き合う時間とか、自分の強みとか、自分が何を表現したいとかを考えながら、自分に向き合って練習することをしています」 

 

 ブレイキンへの思いを笑顔で伝えるAMI選手。拍手が沸き起こる中で、ここで室伏長官からある提案が。 

 

 

「あの、総理。AMI選手、即興が得意ということであれば、もし、ちょっと場を和ますというか、お時間もありますので(披露するのは)いかがでしょうか、AMI選手」 

 

 AMI選手に対して「もし、総理と」と、横に座る岸田首相にも促して2人での“即興”ダンスを踊らせようとしたのだが、 

 

「すみません。拍手いただいて恐縮なんですけど、ちょっとスーツじゃ踊れないので、また機会があればぜひ。すみません!お願いします。ありがとうございました」 

 

 苦笑いを浮かべつつもキッパリ断るAMI選手。断られるとは思わなかったのか、バツが悪そうに「失礼しました!」と謝る室伏長官だった。 

 

 このやり取りの一部始終を、Web版『日刊スポーツ』でも【室伏広治長官の“むちゃぶり”をやんわりスルー「スーツじゃ…」】と記事配信したのだが、Yahoo!ニュースのコメント欄には、 

 

《室伏さん、悪気はないんだろうけど、ちょっと軽く見てるのがバレちゃいましたね。例えば世界的な演奏家、歌手に「即興でなにか弾いて(歌って)ください」なんて絶対言わないですよね。》 

 

《軽々しく、踊れ踊れって、ブレイキンを軽く見ている証拠。見せ物じゃないんだから。自分がハンマー投げのフリすれば。》 

 

《なんか上司が新人に宴会で、それでは一つ一発芸を…みたいな感じなんだよね。それでやる義理なんてあるわきゃない。》 

 

《そんな政治家いたら嫌だなぁと危惧していたら実在、そしてまさかの室伏氏…   適した場所・服装で初めて安心してプレイできるというものだろう。それが揃わない条件でのプレイは選手生命を絶つ事にもなりかねない。スポーツを心底愛している人ならばわかりそうな事だが。》 

 

 室伏長官がさも「踊ってくれるだろう」と、ブレイキンを他の競技よりも「軽く見ている」との指摘や、また上司が一発芸を要求する「昭和の宴会」を連想させるとの声も。 

 

 自身も2004年のアテネ五輪・ハンマー投げで金メダルを獲得した元アスリートで、引退後は日本陸上競技連盟、日本オリンピック委員会の理事も務めるなど、日本スポーツ界の発展に尽力してきた室伏氏。 

 

 現在はスポーツ庁長官として、文部科学省の“役人”の立場であるがために“上司”である首相に花を持たせたかったのか、およそアスリートへのリスペクトと配慮を欠いた発言に捉えられたようだ。 

 

 ちなみにAMI選手の断り方に「上手だね。上手にやんわりと断った」と感心し、メガネを光らせた岸田首相だった。 

 

 

 
 

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