( 205462 ) 2024/08/26 16:31:11 0 00 写真:iStock
インバウンドが激増した昨今、去年1年間に日本を訪れた外国人旅行者は推計2506万6100人(日本政府観光局より)で、最近公表されたデータでは、外国人旅行者の国内での消費額は5兆円を超え、コロナ禍前を上回って過去最高となったようです。
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この影響により経済効果がもたらされた一方で、外国人観光客のによるモラルやマナーが問題視され、一部の観光地ではトラブルに発展。その地域に暮らす住民の生活環境が大きく変化したという報道もありました。
こういった状況はマンションにおいても同様です。近年、日本の不動産の“爆買い”で、外国人居住者が増えたことにより生活習慣やマナーの違いから色々な問題が発生し管理組合を悩ませています。
先日も35世帯が暮らす、東京下町の築年数40年マンション管理組合理事長の方(以下Aさん)が相談に訪れました。
その内容はここ最近の不動産ブームで年々外国人の居住者の数が増え、それに伴ったゴミ出しのルール違反や共用廊下での私物放置などが酷いというものでした。
Aさんの話では、外国人居住者向けにゴミ出し方法の張り紙を様々な場所に掲示しても、外国人居住者は何曜や時間帯、分別方法も理解していないため、何日も放置した生ゴミにカラス食い散らかしてマンションが荒れた状況になっている、最近はネズミも出るようになったといいます。
さらに、一つの住戸に大勢で住んでいる場合もあり、深夜、早朝の騒音問題の相談も多く、居住者同士が大声で争う姿が目撃されて苦情は入っているそうです。
彼らにいくら注意しても改善せず、最終手段として『マンションを売買する相手は日本人に限定する。賃貸で貸し出す場合も日本人に限定する』という管理規約に改訂してほしいという依頼でした。
Aさんのマンションは、外国人の区分所有者は3名のみでしたが、賃借人も含めると10名以上の外国人が暮らしているということでした。今のところ理事は全員日本人ですが、今後これ以上の外国人居住者が増えることを押し止めたいと理事会では考えているそうです。
Aさんの気持ちはよく理解できます。実際に管理規約は組合員総数の3/4と議決権の3/4の賛成があれば変更できますが、だからといって何でもかんでも変更できるとは限りません。
じつは、マンションの管理規約は条例や民法、区分所有法、その他の法律に反する内容の場合は変更することはできません。裁判の際は無効と判断されるからです。実際にこれまでもマンションのために良かれと思って改正した規約が裁判で無効になったという例は山ほどあります。
日本の法律では、外国人であっても日本人と同様にマンションの所有権を取得する事ができます。外国人向けの規制、または永住権や日本国籍の有無、ビザの種類による規制もなく、土地・建物共に外国人の不動産所有が認められているのです。
さらに大きな問題として滞納はより深刻です。特に所有者が海外に暮らしている場合は複雑な手続きをしなければならないからです。
その詳細は『外国人に「爆買いされたマンション」がたどる、理不尽な末路…ゴミ問題、騒音、滞納《とんずら》しても「打つ手なし」のワケ』でお伝えします。
松本 洋(マンション管理士)
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