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大型トラックにはスピードリミッターが装着されており、義務化されているが、一部の整備不良車では「リミッターカット」が行われており、高速道路を違反して爆走するケースがある。

トラックドライバーは厳しい運行ルールに従わなければならず、スピードリミッターを回避することは違法行為であり、整備不良車の扱いを受ける。

トラックが速度を出す能力があることもあるが、安全のためには適切な装置を守るべきだ。

(要約)

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トラックには出せる速度が90km/hに制限されたスピードリミッターの装着が義務付けられている。しかし、実際は「リミッターカット」をしているトラックも少なからず存在しており、高速道路をかっ飛んでいく姿が目撃されている。もちろんこれは整備不良車だ。 

 

 高速道路を走っているときに、「大型トラックってゆっくり走るなぁ」と思っているドライバーも多いようだが、これは速度が出ないようにする装置がついているからである。大型トラック(車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上の大型貨物自動車で、平成6年排出ガス規制適合車以降の車両)には、道路交通法や道路運送車両法・保安基準の規定から、スピードリミッター(速度抑制装置)の装着が義務付けられており、出せる速度が90km/hに制限されているのだ。この上限速度は、2024年問題対策に絡んだトラックドライバーの労働環境改善の必要性や大型トラックの安全装置が進化・普及したことなどが背景となって、2024年4月に80km/hから緩和されている。 

 

【写真】トラックには必須装備! 文字だけはよく見かける「デジタコ」の正体 

 

 スピードリミッターの取り付けが義務化されたのは2003年9月のことだ。もともと、大型車の最高速度は道路交通法で80km/h以下に制限されていた。しかし、増え続ける交通事故の対策を立てるべく国が事故分析を進めたところ、大型トラックの絡む重大事故が多発しているという結果が出た。しかも、その多くが速度超過状態であったため、物理的に速度を制限しようということになったのである。ちなみに、同じ大型自動車ながら事故はそれほど多くなかったバスは、スピードリミッターの装着義務化が行われなかった。 

 

 この装置で速度を抑制する仕組みは、速度が上限に近づいたことをスピードメーターからの信号で察知し、燃料噴射システムに作用して燃料の噴射タイミングまたは噴射量を調整し、速度が上がらないようにするというものである。これは、燃料噴射装置がコンピュータ制御されるようになったことで一般化したシステムだ。キャブレター方式の乗用車が、自主規制でスピードリミッターを働かせていた時代には、物理的に燃料の供給を停止する燃料カット方式であったため、装置が作動した際には相応の衝撃があったといわれている。 

 

 こういった規則・制限があるにもかかわらず、高速道路の追い越し車線を爆走して、乗用車をぶっちぎっていく大型トラックを見かけることがある。これらは「リミッターカット」を行なっている場合がほとんどだ。そもそも、大型トラックは高速道路でも制限速度は90km/h以下なのだから、それを超えれば道路交通法上の速度違反になる。さらに、スピードリミッターは道路運送車両法・保安基準で取り付け義務のある装置だから、作動していなければ整備不良車の扱いを受けて車検に通らない。いわば、二重の違反を犯していることになるのだ。 

 

 トラックドライバーは厳しい運行ルールに沿って走らなければならないから、つねに時間との戦いになる。渋滞もたびたび発生するので、空いているときは可能な限り速度を出したいという心理が働いても不思議ではない。トラックも荷物が少ない場合や、トレーラーを牽引していないトレーラーヘッドであれば、高出力エンジンにものをいわせて高速走行をする能力がある。すなわち、速く走るための条件・環境が乗用車以上に整っているのだ。 

 

 とはいえ、事故が起きれば重大な結果を招く。国も細かな調査・検証の結果として、現在のルールを定めているのだ。これを遵守するのは、プロドライバーが持つべき矜持といえるのではないだろうか。 

 

トラック魂編集部 

 

 

 
 

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