( 206215 )  2024/08/29 00:48:02  
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台湾から日本列島近海に流れる黒潮は、台風の勢力を強める要因となっている。

台風10号は急速に発達し、最強クラスに近い勢力で九州に上陸する可能性があるという。

台風の急発達には海面水温、黒潮、偏西風の影響が関与しており、特に黒潮が台風にエネルギーを供給しているとみられている。

(要約)

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台湾から日本列島近海に流れ込んでいる黒潮は、台風の勢力を強める要因となっているという。色は流れの速さを示している=気象庁ウェブサイトから 

 

 台風10号は当初の予想以上の発達を見せ、29日以降に九州に上陸する恐れがある。気象庁は「最強クラスに近い勢力」と警戒感を強めている。予想を超える急発達には、複数の要因が絡んでいるとみられる。 

 

【写真】宮崎市内で横転した車=2024年8月28日午後2時45分、宮崎市佐土原町石崎2丁目、奥正光撮影 

 

 台風の強さは、最大風速や中心の気圧が指標となる。台風による特別警報が出る基準は最大風速50メートル以上、または中心気圧930ヘクトパスカル以下で、中心気圧は数字が低いほど勢力が強い。 

 

 25日時点の予想では、28日までに950ヘクトパスカル(hPa)にまで中心気圧が下がると見込まれていた。しかし、28日午前8時現在で935hPaに達し、戦後最悪の被害をもたらした1959年の伊勢湾台風(929hPa)に匹敵する値となっている。 

 

■台風の通り道にあったのは 

 

 台風10号はなぜ急発達しているのか。気象庁の杉本悟史・予報課長は「三つの要因がある」と見立てを話す。 

 

 一つ目は、台風のエネルギー源となる海面水温の高さだ。日本の南の海上では西側ほど海面水温が高く、進路が当初より西向きへ変化したことで、その影響を大きく受けて発達した。 

 

 二つ目は、海面水温の高いエリアに重なるように流れる黒潮の存在だ。一般的に台風が停滞すると、風によって海水がかき混ぜられて水温が下がると考えられている。しかし、台湾の東から九州の南へ流れる黒潮は、深い位置の水温も高く、台風が停滞しても海面水温が下がりづらく、台風にエネルギーを供給し続けたとみられる。 

 

 そして、偏西風の影響が少ないことが三つ目の要因だ。上空を流れる風は台風の形を崩して発達を阻害すると考えられているが、今回は偏西風の南への蛇行が予想よりも弱く、台風への影響が極めて少ないという。(大山稜) 

 

朝日新聞社 

 

 

 
 

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