( 206277 ) 2024/08/29 01:54:41 0 00 大阪府庁で記者団の取材に応じる吉村洋文知事=大阪市中央区
全国的なコメ不足が大阪府の子供支援事業などに影響している。府は子育て家庭にコメ購入用の電子クーポンを配布しているが、店頭の欠品で利用できない状況が続き、コメの現物支給も品切れが続出。食料品の支援団体では、依頼が増える一方で断らざるを得ないケースも出ている。吉村洋文知事は政府備蓄米の市場放出を緊急要望したが判断は見送られ、「なぜ倉庫に眠らせるのか」と疑問を呈している。
【写真】政府の備蓄米 放出判断は見送られた
府は物価高騰を受けた子育て支援策として、6月から府内の18歳以下の子供らを対象に、食料品や取り扱い店舗で5千円相当のコメを購入できる電子クーポンを配布。現物支給のコメは5品目を用意したが、7月ごろから品切れが相次いでいる。専用サイトでは8月28日現在、国産コシヒカリ10キロのみ申請を受け付けるが、家庭への配送は遅れているという。
クーポンの使用期限は10月31日までだが店頭にコメがなく、府民から「使用期限を延ばしてほしい」などの要望が連日寄せられ、府が小売店を抽出調査したところ8割の店舗で欠品。8月28日に使用期限を11月30日まで延長すると発表した。
新学期が順次始まる学校での給食については、給食事業者への物資供給などを行う公益財団法人「大阪府学校給食会」(大阪市中央区)が「年単位で産地からコメを買っており不足の影響はない」としている。
困窮家庭を支える活動にも影響が出ている。同市西成区で子供食堂の運営や食料支援を行うNPO法人「西成チャイルド・ケア・センター」ではコメ不足に物価高騰が重なり、8月は1週間で数十件と普段の1・5倍ほどの支援依頼があるが、子供食堂の運営に支障が出るため、区外からの依頼を断っているという。
センターの川辺康子代表理事によると、支援を求める家庭は行政などに食料品の提供を相談したが在庫がなかったり、支援が先になるといわれたりしたケースも多い。川辺氏は「行政にも、その日の食事に困る家庭への緊急支援に対応してほしい」と求める。
吉村氏は府議会からもコメ不足への対応を求める緊急要望を受け26日、国に政府備蓄米を放出するよう要望した。岸田文雄首相は27日、坂本哲志農林水産相にコメの流通円滑化を指示。備蓄米については子供食堂などへ提供する無償交付窓口を全国に拡充するものの、市場への放出については、坂本氏が同日の記者会見で「民間流通が基本になっているコメの需給や価格に影響を与える恐れがあるため、慎重に考えるべきだ」と述べた。
吉村氏は28日の記者会見で「コメの需給が逼迫(ひっぱく)しているから岸田首相が指示をしたはずなのに、なぜ備蓄米を倉庫に眠らせておくのか。価格は高騰しているから放出で抑えられても問題ない」と反論した。
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