( 207821 )  2024/09/02 16:25:44  
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須藤早貴被告が元妻の野﨑幸助さんを殺害した罪で起訴されている中、別の男性から留学費用などの名目でおよそ2980万円をだまし取った罪に問われて裁判が行われ、和歌山地方裁判所は懲役3年6か月の実刑判決を言い渡しました。

裁判長は立証の根拠や被害者の信用性を踏まえ、須藤被告に対する詐欺罪が成立すると判断しました。

須藤被告は裁判で動じず、判決を受け入れた表情でいました。

 

 

須藤被告は、現在28歳で、被害者から300万円の「美容学校の機器の弁償費用」や1507万円の「海外留学準備金」、1174万6560円の「カットモデルへの補償金」などをだまし取り、裁判では被害者が金を払う際に信じていたと述べました。

一方、検察側は詐欺が成立し、懲役4年6か月を求刑していました。

 

 

また、須藤被告は別の事件で殺人と覚醒剤取締法違反の罪でも起訴されており、裁判員裁判は9月に始まる予定です。

検察側は状況証拠を基に有罪を主張していますが、被告は関与を否認しています。

(要約)

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須藤被告 

 

「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家の野崎幸助さんを殺害した罪で起訴されている、元妻の須藤早貴被告(28)が、別の男性から留学費用などの名目でおよそ2980万円をだまし取った罪に問われた裁判で、和歌山地方裁判所(福島恵子裁判長)は、須藤被告に対し懲役3年6か月の実刑判決を言い渡しました。 

 

■【動画で見る】「紀州のドン・ファン」元妻 別の男性からおよそ2980万円だまし取った罪の裁判で懲役3年6か月 

 

一方で、判決が出るまでに勾留されていた期間(未決勾留日数)=860日をその刑から差し引くとしています。 

 

※須藤被告はこの詐欺事件の当時は19歳でしたが、社会的関心の高い殺人事件の被告人として、すでに実名報道されていることなどから、実名で報道します。 

 

黒のノースリーブのワンピースで出廷した須藤被告は、判決言い渡しの間、特に動じることはなく、証言台に座ってやや下を見ていて、ときどき足をぶらぶらさせるようなそぶりも見られました。 

 

須藤被告 

 

須藤被告は2015年から2016年にかけて札幌市に住む当時61歳の男性から、いずれもそんな事実はなかったのに 

①「美容学校の機器を壊し、その弁償費用」として300万円 

②「海外留学の準備金」として1507万円 

③「カットモデルの女性の髪や頭皮にやけどをさせた、その慰謝料と補償」として1174万6560円 

を振り込ませて、あわせておよそ2980万円をだまし取った罪に問われています。 

 

5月に開かれた初公判で須藤被告側は、「私が金を受け取ったことは事実」と述べたものの、「うそもつきましたが、それを分かった上で、彼は私の体をもてあそぶために払ったと思っています」と起訴内容を否認。 

 

弁護側も「男性はだまされたのではなく、須藤被告と性的な接触などを得たいがために、現金を振り込んだ」と主張し、『人をだまして財物を提供させる』という詐欺罪の成立を争っていました。 

 

須藤被告(2日の法廷内イラスト) 

 

2日の判決で和歌山地裁の福島恵子裁判長は、まず起訴内容すべてについて詐欺罪が成立すると判断しました。 

その理由については以下のように指摘しました。 

 

・学費などの援助を被害者から申し出たということを自ら進んで述べているなど、被害者がうその作り話をするとは考え難い。 

 

・被害者は「カットモデルに対する弁償金」として金を振り込んだあと、「きっちり終わらせなさい」と送金した金が、モデルとの紛争解決に使われることを前提としてメッセージを送っている。 

・「留学費用」として金を振り込んだ後も、留学が決まっていることを前提としたメールのやりとりがある。 

⇒これらのことから、被害者が被告のうそを信じていたという話は十分信用できる。 

 

・性的な接触に関しては言い分が食い違い、被害者がことさら過小に述べていることは否定できない。 

・しかし、被害者が被告との性的接触を得たいという意図を有していたとしても、被告のうそを信じていたことと両立するもので、「うそだとわかっていた」と推認する根拠にはならない。 

・これらのことから、被害者は被告のうそにだまされ、金を振り込んだと判断した。 

 

そのうえで、「被害者には、若い好みの女性の歓心を得たいという気持ちもあったと考えられるが、相手のそのような気持ちを利用して大金をだまし取る行為の違法性を特に軽くみることはできない。他方、被告は、犯行当時犯罪歴のない19歳の少年だった」などとして懲役4年6カ月の求刑に対し、懲役3年6カ月の実刑判決を言い渡しました。 

 

須藤被告は、裁判長が判決を読み上げた後、控訴の手続きについて説明する間、わずかにうなずくように頭を揺らしていました。 

 

 

和歌山地裁 

 

これまでの裁判の経緯は以下のようなものです。 

 

裁判で行われた証人尋問で、被害者の男性は次のように話していました。 

・須藤被告とはキャバクラのホステスと客として知り合い、美容学校の学費のために働いていると聞いた。 

・須藤被告は「親が病院関係で、美容師になりたい夢に反対していて、学費を出してくれない」と話していた。 

・18歳と知って、未成年がキャバクラで働いていてはいけないと思い、「キャバクラを辞めなさい」と言った。 

・「学費を出してやる」と言って月15万円支払うようになった。 

・その後「美容学校で使う機器を壊したので、弁償に300万円かかる。親は出してくれない。頼れるのは〇〇ちゃん(被害者の呼び名)だけ」と言われて、振り込んだ。 

・さらに「美容関係のコンクールで知り合った美容室経営の社長から海外留学の話が出たので、留学したいがその費用の1500万円を親が出してくれない」と被告から言われた。 

・「最初は考えさせてくれ」と言った。その後、締め切りが迫っていると連絡があって、「夢を応援してあげるよ」と返信し、投資信託を解約して金を用意して振り込んだ。 

・2018年になって、刑事が来て、留学に行かなかったということなどを初めて知った。 

・嘘とわかっていたら払っていない。 

・性的な接触について検察側から質問され、キスを頬にしたこと、服の上から胸を触ったことがそれぞれ1回あったと話す。 

・「金を出すから性的なことをさせて欲しかったのか?」と聞かれ、「違います」と否定。 

 

被告人質問時の廷内イラスト(今年5月) 

 

一方、須藤被告は被告人質問で、被害者の男性から性的な行為を何度も受けたなどと語っていました。 

・キャバクラをやめろと言ってきたので、愛人のような感じになった。 

・月々手当として金を受け取り、カラオケに行って、性的な行為をする関係。 

・お小遣いとして、美容学校の学費用に15万円は定期的にもらい、1回会うごとに10万円ぐらいもらい、あわせて毎月50万円ぐらいになっていた。 

・こうした関係は13カ月ぐらい続き、650万円以上は受け取った。 

・会うたびに体を触られ、徐々に下半身や性器を触られるようになっていった。 

・こうした性的行為については、10万円もらっているので抵抗しなかった。エスカレートしてきたときに、抵抗したことはあった。 

・「15万円」と男性に伝え、もらっていた学費は、実際には5~6万円で、キャバクラのほかの客から「15万円もかかるわけがない」と言われていた。被害者の男性も金額について信じていなかったと思う。 

・美容学校の機械の弁償費用として受け取った300万円は、美容学校の機械を壊した話はした記憶はない。 

・私がついたうそは実際あったことを「盛った」ものだが、300万円を受け取ったのは春休みで、機械を壊しようがなく、私がつくタイプのうそではない。 

・留学費用については、1500万円という「金額が突っ込みどころ満載で、(うそと)分かるでしょ?分かっていて遊んで、話を合わせてくれているんだろう」と思っていた。金額は信じていなかったと思う。 

 

そのうえで、「これだけのお金を受け取ったのは事実で、嘘をついたことも反省しています。被害者の言い分では、私が一方的にお金をふっかけてだまし取ったようになっていますが、『オレオレ詐欺』みたいに善良な市民をだましたのとは違って、私が未成年と分かって体を求めてきた。私が詐欺師なら、被害者は性犯罪者だと思っています」と主張していました。 

 

一方、検察側は論告求刑で次のように指摘しました。 

・被害者は、いずれも指定されたどおりの金額を振り込んでいて、仮に被害者がうそとわかった上で、須藤被告の身体(性的行為)目当てに金を払うのであれば、10円単位まで指定通りに払う必要はない。 

・3つの起訴内容すべてで具体的な説明(うその)をしていて、だまそうとしたものとしか考えられない。 

※留学費用では、『7月中に振り込まなければ留学の話がなくなってしまう』などと説明。 

・被害金額が大きく、信じていた人に裏切られる男性の精神的負担も重大で様々なうそでだました巧妙な犯行。 

そのうえで、懲役4年6カ月を求刑していました。 

 

須藤被告と野﨑さん 

 

須藤被告は2018年5月に当時の夫で、「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家の野崎幸助さん(当時77歳)を、なんらかの方法で覚醒剤を飲ませて殺害した、殺人と覚醒剤取締法違反の罪でも起訴されています。 

 

この事件の裁判員裁判は、10日後の9月12日から始まります。 

 

検察側は、直接証拠がない中で、「野﨑さんが死亡する直前に自宅で2人きりだったことや、田辺市内で、須藤被告が密売人と接触したとみられること」など、状況証拠を積み重ね、有罪が立証できるとして起訴しました。 

 

須藤被告は逮捕段階で、殺害を否認して以降、関与を供述していないということで、初公判でどういった主張をするのか注目されます。 

 

関西テレビ 

 

 

 
 

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