( 209591 )  2024/09/07 17:36:18  
00

2歳の誕生日を意識不明のまま迎えた男の子の家族の取材記事。

男の子は保育所の事故で意識不明になり、今では24時間看護を受けている。

家族は男の子の退院後も24時間看護を続け、日々の生活に慣れるのに大変さを感じている。

男の子の兄も誕生日の準備をするなど、家族全員で男の子をサポートしている。

現在は意思の疎通ができない状態だが、父親と母親は男の子の感情を理解する瞬間があるという。

将来に不安を感じながらも、男の子が過ごしやすい環境を作ろうと奮闘している。

(要約)

( 209593 )  2024/09/07 17:36:18  
00

意識不明のまま迎えた2歳の誕生日 

 

保育所で男の子が給食のリンゴをのどに詰まらせ意識不明となった事故。男の子は意識不明のまま、先月2歳を迎えました。24時間付きっ切りで看護を続ける家族の今を取材しました。 

 

【写真を見る】かわいらしい笑顔を見せる康至くん 現在は意識不明で鼻にはチューブ 

 

田村康至くん(家族撮影、生後7か月) 

 

母親が撮影するカメラを少し気にしながら、おいしそうに離乳食をほおばる男の子。生後7か月の田村康至(こうし)くんです。 

 

言葉はまだ話せなくても意思表示が分かりやすい子。母の早希(さき)さんが抱く息子の印象です。 

 

康至くんは、両親からたくさんの愛を受けながらすくすくと成長していました。 

 

誕生日プレゼントはリハビリにも使えるピアノのおもちゃ 

 

先月、8月31日は2歳の誕生日。康至くんは今、意思の疎通ができない意識不明の状態です。 

 

父親の敦(あつし)さんと早希さんは、息子のプレゼントに、リハビリにも使えるピアノのおもちゃを用意しました。 

 

父・敦さん 

「康至が生きてくれてるからこその家族であり、僕ら夫婦であるっていうのが一番にあって」 

 

家族の生活が大きく変わったのは、2023年の事故でした。 

 

事故後は40分以上心肺停止状態に 

 

保育園の会見(2023年5月) 

「安心、安全であるべき保育園において、このような事故が発生したこと、園児の安全を確保できなかったこと、大変申し訳なく思っております」 

 

2023年5月、入園して間もない愛媛県の新居浜上部のぞみ保育園で、康至くんは、給食で出たリンゴをのどに詰まらせます。保育士が食べさせたのは、長さ7ミリ、厚さ3ミリほどに刻んだ生のリンゴ。「リンゴを提供する場合は加熱する」とした国のガイドラインは、守られていませんでした。 

 

父・敦さん 

「本当に自分の人生が180度変わってしまったっていうところからスタート。そこからのスタートでした」 

 

康至くんは40分以上、心肺停止状態となり、心肺は蘇生したものの脳に深刻なダメージを受け、意識不明の重体となりました。 

 

夫婦で24時間付きっ切りで看護 

 

225日間の入院生活を経て、2023年12月に退院。 

 

訪問サービスなどを活用しながら在宅での看護に切り替え、家族は新たな生活をスタートさせました。 

 

父・敦さん 

「本人のためにもですけど、家族のためにも家でみるのが一番いいのかなっていうところです。慣れるまでの期間は、ひと月、ふた月は、生活リズムがガラッと変わったので、それに対応するのに大変だったかな」 

 

両親は、康至くんが脳死には至らないものの、それに近い状態だと受け止めています。 

 

医師からは、いつ容体が変わるか予想ができないと告げられているため、夫婦ともに仕事を辞め、康至くんの退院後は24時間付きっ切りで看護を続けています。 

 

 

体調の変化を見逃さないように 

 

1時間おきに体温や脈拍、それに血圧などをチェック。さらに2時間おきに体の向きを変え、たんの吸引をします。 

 

父・敦さん 

「常日頃から、なるべくデータ化してノートに書き出したりとかして、変化を少しでも見逃さないようにしながら」 

 

栄養剤を鼻から通した管で胃に 

 

食事は午前0時から数時間おきに1日5回。栄養剤を鼻から通した管で胃に送ります。 

 

そして病院での診療やリハビリがある日は、30分ほどかけて身の回りの準備をして外出。康至くんの兄と過ごす時間や自分たちの食事は、看護の合間に済ませます。 

 

夜は交代で添い寝 

 

夜は夫婦が1日交代で康至くんに添い寝し、1日が終わります。 

 

父・敦さん 

「結局寝ているっていうよりかは、時間がきたらケアをするので、本当に横でちょっとうたた寝しているぐらいの感覚ですね」 

 

体力的にも厳しいスケジュール。家族の絆がこの生活を支えます。 

 

父・敦さん 

「やっぱり我が子、自分の子どもっていうところと、かわいさもありますし、できる限りのことをしてあげたいっていう気持ちだけですね」 

 

母・早希さん 

「みんなでやろうっていうのが一番の原動力かなと思います」 

 

筋力の回復や血流の促進も 

 

この日は、週に3回のリハビリの日。 

 

父・敦さん 

「一度力が入っちゃうと全体に力が入っちゃうので、それを少しでも和らげるように」 

 

さまざまな器具を装着して行うトレーニングもあります。寝たきりにさせず、立った姿勢にして筋力の回復や血流を促します。 

 

父・敦さん 

「いろいろ調べたりしながら、周りに助けてくださる方もいたので、そういう方たちのおかげで、なんとかやってこられたのかなっていう感じ」 

 

康至くんのお兄ちゃんも誕生会の準備 

 

8月31日の誕生日。事故の後、初めて自宅で開く誕生会です。飾りを選んだのは3歳上のお兄ちゃん。康至くんを喜ばせようと、家族みんなで前日の夜から準備しました。 

 

母・早希さん 

「無事に2歳を迎えられて良かったかな。普通の2歳だったら遊べるであろうものとかが遊べないってなると、じゃあ何をプレゼントにしたらいいかなってちょっと悩んだところはあるんですけど、今はこの子がそういう子で、みんなで受け入れて過ごしている」 

 

 

人工呼吸器の波形でわかる感情 

 

今は感情を表現できない康至くんですが、両親には感情が分かる瞬間があるそうです。 

 

人工呼吸器の波形にところどころ見られる青い線。自発呼吸を示していて、このような安定した状態での自発呼吸は、嬉しいときの反応だと2人は話します。 

 

2歳の誕生会 

 

父・敦さん 

「刺激に対してしっかり反応してくれているので、なんかドキドキワクワクしてたのかなって」 

 

「なるべく過ごしやすい環境で」 

 

父・敦さん 

「あっという間だったのかなって感じですね。日々のすること、この子のこともなんですけど、上のお兄ちゃんのことであったり、本当に予定が目まぐるしく埋まっていくので、本当に早かったですね」 

 

事故が変えた息子の人生。康至くんの両親は、見通せない将来に不安を募らせています。 

 

母・早希さん 

「もっともっと、この先何十年っていうことを考えていくと、やっぱりまだ仕事に復帰、社会復帰できてない、夫婦ともにできてないっていうところでの不安。今後がとても不安ではあります」 

 

父・敦さん 

「今はやっぱり子どもがなるべく過ごしやすい環境を夫婦で作っていって、少しでも長く生きられるようにできたらいいかな」 

 

 

 
 

IMAGE