( 211868 ) 2024/09/15 01:40:30 0 00 若者の「音楽との接し方」に変化も(イメージ)
「趣味はなんですか?」という質問に対して、定番の回答の一つが「音楽鑑賞」だろう。しかし、ここ最近、自己紹介で「音楽鑑賞が趣味だと答える若者はほとんどいない」と語るのは、当のZ世代の若者たちだ。推し活ブームで世界的にアイドル人気が高まり、ライブやフェスに足を運ぶ人たちも多いなか、なぜそうした傾向が見られるのか? リアルな声を聞いた。
都内の大学に通う男性・Aさん(学生・19歳)は、「音楽を趣味にするのはコスパが悪い」という。
「大学生になってから音楽の話を友達とする機会はほとんどないです。音楽をきっかけに人間関係が広がることがない、というか……。だから、音楽マニアになって、洋楽やインディーズバンドとかに詳しくなったとしても、趣味としてコスパが悪いと思うんです。周囲の学生も、基本的にはApple MusicやSpotifyなどのサブスクでトップ100に入っているようなアーティストしか聴かない。
演習や英語のクラスなどで自己紹介をする機会があっても、『音楽鑑賞が趣味です』という人はいませんでした。代わりに『K-POPアイドルが好きです』とか『ミセス(※Mrs. GREEN APPLE)のファンです』『King Gnuが好きです』とか、そういう学生が多いですね。それ以外は、それぞれのアイドルとかVTuber、アニメアイドルとか、マニアックなものを個人的に聴いているんじゃないでしょうか」(Aさん)
文字通り金銭的な面から「音楽鑑賞はコスパが悪い」という人もいる。都内の居酒屋でアルバイトをしながら、下宿生活を送っている男性・Bさん(学生・20歳)が語る。
「音楽好きってお金がかかる印象です。サブスクに登録すると最低でも毎月1000円くらいかかりますよね。それなら僕はタバコ買います(笑)。気になる曲があれば、YouTubeを使って無料でMVを見られるし、正直な話TikTokとかのBGMで流れている曲やアーティストを知っていればトレンドには追いつけます。
親からの仕送りがないので、趣味もお金を使わないものを選ぶしかない。基本はずっとプロスピ(※スマホゲーム『プロ野球スピリッツA』)をして、野球の試合の動画を見ているくらいですね」(Bさん)
こうした若者たちの傾向を顕著に感じるようになった年長世代もいる。都内の大学で教鞭を執る男性・Cさん(准教授・40代)は、新入生たちの「音楽鑑賞」への関心が年々薄らいでいるように感じている。
「AさんやBさんのような大学生は増えていると感じますね。僕自身、音楽オタクで10代の頃から下北沢のライブハウスに入り浸る生活をしてきました。今でも時間があれば、若手バンドを発掘しに行ったり、フジロックに足を運んだりしているタイプの人間です。
10年前くらいまでは僕のような学生も一定数いて、年代を超えて音楽の話ができたのですが、最近は激減していますね。そもそもライブに行くのも、CDを買うのもお金がかかりますし、平成の頃のようにカラオケで盛り上がる文化もなくなっている。無料で楽しめる娯楽が増えているなかで、音楽を積極的にディグる(※深く掘り下げて調べる)ことの費用対効果が悪くなっているのかもしれません」(Cさん)
アルバイトに明け暮れる「バ畜」という言葉も広がる今、若者たちにとっては音楽を趣味にすることは“コスパが悪い”ことになっているのかもしれない。
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