( 213231 )  2024/09/19 15:38:26  
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岸田文雄首相が2020年と2021年の自民党総裁選挙に立候補する際、5000万円ずつを自身の資金管理団体から派閥「宏池政策研究会」(旧岸田派)に寄付していたことが公表された。

この寄付金は総裁選の支援に使われた可能性があり、外部からの資金流れが不透明になっていた。

総裁選では収支公開を義務づける制度がないため、第三者が検証できない状況である。

岸田氏の事務所は、法令に従って処理していると回答しているが、具体的な使途については明言していない。

派閥は解散し、自民党は今回の総裁選で費用を制限する方針を取り入れている。

(要約)

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岸田文雄首相の資金管理団体「新政治経済研究会」の政治資金収支報告書。2021年9月の自民党総裁選直前に派閥「宏池政策研究会」へ5000万円を寄付した=2024年9月18日午前9時52分、藤田剛撮影 

 

 岸田文雄首相が自民党総裁選に立候補した2020年と21年、会長を務めていた派閥「宏池政策研究会」(旧岸田派)に対し、自身の資金管理団体から年間の寄付上限額に当たる5000万円をそれぞれ寄付していたことが、政治資金収支報告書の記載で判明した。派閥を迂回(うかい)して総裁選に使ったとみられるが、外部から資金の流れが見えにくくなっていた。公職選挙法に基づく選挙と異なり、総裁選は収支公開を義務づける制度がなく、第三者が検証できない状況だ。 

 

【図でわかる】21年総裁選前後の政治資金の流れ 

 

 旧岸田派は総裁選前後に「印刷費」などとして多額の支出をしており、総裁選の政策パンフレットの作製・発送などに使った可能性がある。自民党は派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、今回は「カネのかからない総裁選」を掲げて政策パンフレットの発送などを禁じている。 

 

 ◇岸田氏「法令に従い適正に処理」 

 

 岸田氏の事務所は毎日新聞の取材に対し、「政治資金については法令に従い適正に処理し、その収支を報告している。収支報告書の記載事項は政治活動の自由と国民の知る権利の権衡(バランス)から定められている」などと文書で回答。総裁選のために寄付したのか、派閥は何に使ったのかなどの質問には一切答えなかった。旧岸田派は2日付で解散した。 

 

 毎日新聞は、岸田氏が派閥会長に就いた12年から公表されているもののうち最新の22年分まで、岸田氏の資金管理団体「新政治経済研究会」などの収支報告書を調べた。 

 

 岸田氏は総裁選に出馬した20年と21年、資金管理団体から政治資金規正法で定められている年間の寄付上限額に当たる5000万円を旧岸田派に寄付した。20年は3~9月の3回に分け、21年は総裁選告示8日前の9月9日に一括して寄付した。 

 

 出馬前年の19年も3回に分けて計4300万円を寄付したが、首相就任後の22年は1000万円に減った。他の年はほとんどが1000万円台の寄付だった。 

 

 一方、旧岸田派の収支報告書によると、20年9月28日にホテル運営会社「ニューオータニ」(東京都千代田区)に484万円を「会合費」として支出。このホテルは同月14日に投開票された総裁選で、岸田氏が選挙対策本部を置いたとされる。また、PR会社などへの「資料等作成費」として計700万円を同月28日に支出していた。 

 

 ◇寄付翌日、「印刷費」に4663万円 

 

 2度目の出馬で総裁選に勝利した21年は、岸田氏が5000万円を一括寄付した翌日の9月10日に、旧岸田派が印刷会社に4663万円を「印刷費」として支出。21年10月4~18日には、日本郵便や選挙プランナーが代表を務める企業などに計4020万円を「通信発送費」として支払った。 

 

 この年の総裁選は9月29日に投開票されたが、日本郵便などには1カ月分の料金を翌月にまとめて払う仕組みもあり、利用期間と支払い月は必ずしも一致しないとみられる。 

 

 今回、自民党の総裁選挙管理委員会は「多額の費用をかける運動は許されないという認識を全党員が共有すべきだ」としてパンフレットの送付や自動電話(オートコール)など8項目を禁止しているが罰則はなく、使途公開を定めたルールもない。【田中裕之】 

 

 

 
 

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