( 213821 )  2024/09/21 01:22:32  
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修学旅行では、スマートフォンやメイク用品が禁止されることにがっかりする生徒たちもいる。

学生たちのなかには、人間関係や写真撮影のためにスマートフォンが必要だという声もあり、修学旅行に不満を感じる生徒もいる。

教師によると、メイク品が禁止される理由は競争を避けるためであり、スマートフォンが禁止される理由はトラブルを未然に防ぐためだという。

規則には学校側の事情があるが、モダンな生徒たちにとってはスマートフォンやメイクがない修学旅行は試練になるようだ。

(要約)

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修学旅行で「スマホNG」にがっかりする生徒たちも(イメージ) 

 

 小学校から高校まで、生徒たちにとっての一大イベントである修学旅行。学校生活の集大成ともいえるだけに、かけがえのない思い出となるのはもちろん、修学旅行でしか旅行に行かせられない家庭もあることから、その存在意義は大きいだろう。 

 

【写真】お土産片手に集まる修学旅行生 

 

 一方で、なかには「行きたくない」生徒たちもいる。修学旅行に乗り気でない学生の声を聞くと、現代っ子らしいさまざまな本音が浮かび上がってきた。 

 

 まず、行きたくない理由として多いのは「人間関係」だ。修学旅行では班ごとになって決められた場所を巡るという行動が定番だが、それを楽しめる子もいれば、楽しめない子もいる。チームになり、いろんな子と円滑な人間関係を築きながら目的を達成するという学びの場でもあるが、関西の公立高校に通うTさん(男子)は「行きたくない」と本音を漏らす。 

 

「せっかく旅行に行くなら友達と一緒に色々と楽しみたいのに、付け焼き刃の人間関係で無理やり一緒に回るとか、気を遣うだけで終わりそう。苦痛でしかないです」(Tさん) 

 

 また、女子からは、「メイク」を理由に「行きたくない」という声もあった。修学旅行ではメイク用品の持参を禁止、髪を整えるドライヤーやヘアアイロンも持ち込み禁止にしている学校も珍しくない。都内の私立高校生・Sさん(女子)は、「意味がわからない」と不満を口にする。 

 

「修学旅行先では私服を着るタイミングもあるんです。それなのにメイクができないのは意味がわかりません。派手な私服が駄目というのはまだわかるとしても、なぜメイクやアクセサリーまで一律駄目なのでしょうか。修学旅行といったって、行き先は私たちの場合はUSJですよ。別にそこで何を学ぶわけでもないのに……。私服ですっぴんは辛いです」(Sさん) 

 

 修学旅行という非日常的な空間では、いつも以上に写真撮影も重要なポイント。Sさんは、「写真を撮るときにかわいい自分を残したい。制服のときはギリ仕方ないとしても、私服のときはメイクもセットでファッションの一部なのに」とボヤく。 

 

 写真撮影の際、スマホが使えればまだいい。スマホそのものの携帯を校則で禁止する学校も多い。Rさん(女子)が通う関西の高校では、写真撮影をしたい向きには「デジカメ」なら使用OKとなっている。Rさんは「デジカメって何……?」と困惑気味だ。 

 

「修学旅行先はディズニーランドですが、スマホがNGってディズニーに行く意味ある?って感じです。チェキやインスタントカメラ、デジカメなら使ってもいいと言われたけど、そんなの家にないし、修学旅行のために買うのもばかばかしいです」(Rさん) 

 

 スマホに替わるカメラの調達にあたっては、親たちが奔走する羽目になるという。「『写ルンです』を持たせたが、現像代が高くてびっくりした」「デジカメはもう持っていなくて、友人たちにも呼びかけて探しまわった」「使い方を教えなくちゃいけない」など、親まで巻き込んだ一大事となるケースも多発しているようだ。 

 

 

 なぜ修学旅行においてメイク用品やスマホが禁止なのか、都内の高校に勤める現役教師・Oさん(30代男性)に聞いた。まずメイク関係について。 

 

「ドライヤーが禁止なのは、宿泊先のブレイカーが落ちたりしないよう配慮するためです。メイクについては意識の個人差が大きく、お金をかける子がいる一方でそうでない子もいます。いろんな考え方の学校があると思いますが、うちでは無駄な競争意識を生まないため、という理由で一律禁止にしています。 

 

 またコスメ系は小物が多く、人によっては何種類も持ち歩きます。その中の一つがなくなったりすると、私たちでは責任が持てません。それに数百名の生徒がいる中で、化粧品の忘れ物や落とし物が発生すると、持ち主を探す手間もかかってしまう。ギリギリのスケジュールで動かなくてはならない修学旅行において、そうした“余計”な手間が増えるリスクを減らそうとすると、どうしても一律NGになってしまう」 

 

 スマホ禁止の理由について水を向けると、Oさんは、「“修学旅行で男性生徒が入浴中の女性生徒を盗撮していた”というニュースがありましたが、正直あまり驚かなかった」と切り出す。 

 

「友だちとの集合ショットや風景をカメラで撮影するだけならいいのですが、撮影してはいけない場所や物を撮影するかもしれませんし、それがスマホならその場でSNSにあげてしまうというリスクもある。教室内と違い、教師が常時見ているわけではない環境では、リアルタイムで何が起きるかわからず、トラブルを未然に防ぎきれない。 

 

 個人個人を信じたい気持ちはもちろんありますが、集団を管理する学校側として、禁止にせざるを得ないのが実情です。教師としては、逆に、スマホがない時間をいかに楽しむかということを伝えられたらいいのですが……」 

 

 細かい規則を設けるのには学校側にも事情があるということ。とはいえ、思い出を美しく残すことにこだわる現代っ子たちにとって、スマホ、メイクという必須アイテムのない修学旅行は“試練”の数日間になるようだ。(了) 

 

 

 
 

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