( 214308 ) 2024/09/22 15:39:01 0 00 Photo by gettyimages
泣いても笑っても、間もなくこの顔ぶれの中から総理が決まる。総裁選の主軸となった小泉・石破・高市の政策は、この国をどこへ導くのか。今、知っておかなければ危ない。
【画像】進次郎も石破もヤバかった...自民党総裁選・各候補者の政策の要点まとめ
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9月中旬の某日、小泉進次郎陣営の選対スタッフたちは焦っていた。
「出馬会見で触れた『解雇規制の見直し』の大炎上が収まらず、党員の支持率が急落している。このままでは致命傷になりかねない」(陣営関係者)
じつは進次郎陣営では、出馬会見の直前、進次郎の長年の「ブレーン」にこの政策について相談していたという。
竹中平蔵。ご存じ、父・純一郎の政権で屋台骨となった経済学者であり、人材派遣業大手の「パソナ」元会長である。
進次郎陣営は竹中サイドに「記者から『20年前の小泉改革で格差が拡大し、非正規雇用者が増えた。その過ちを繰り返すのか』と聞かれたら、どう答えればいいですか」と尋ねた。竹中サイドは、こう応じるべしと伝えた。
「小泉政権で格差が拡大したというのは間違いです。人材派遣の規制緩和はそれ以前から進んでいたし、格差の大きさを示すジニ係数は小泉政権では上がっていません」
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しかし「炎上」の後、進次郎は指南された理屈を口にしていない。火がついた国民のトラウマと怒りに、油を注ぐと考えたのだろう。
〈進次郎は竹中の操り人形〉〈二度と騙されてたまるか〉〈一億総貧困化へまっしぐらだ〉――。
こうした警告が、SNSでは数万の「いいね」を集めている。東京大学先端科学技術研究センター教授(政治学)の牧原出氏も、解雇規制の見直し論に「センスがよくない」と苦言を呈する。
「進次郎氏は、菅義偉前総理や竹中氏などの支援者から宛てがわれた政策が、世の中にどんな影響を与え、国民の耳にどう聞こえるかを正しく理解できていないのではないでしょうか。
仮に解雇規制が見直されれば、まず企業は生産性が低下した50代社員のリストラを進めるでしょう。でも50代には、まだ住宅ローンや子供の学費を抱える家庭が多く、何より小泉改革で割を食った就職氷河期経験者も少なからずいます。猛反発を食らうのは目に見えていたはずです」
総裁選の戦いが大詰めを迎えている。だが、日本の舵取りを任せるに足る政治家は誰なのか、ますます混迷は深まるばかりだ。
そこで本誌は今回、政治・経済の専門家への取材にもとづき、「次の総理」たる候補者たちの政策を詳しく検討した。
『週刊現代』より
まずは最重要の経済政策だ。
下の図は、縦軸を「金融緩和か緊縮財政か」、横軸を「解雇規制の見直しに積極的か慎重か」とし、各候補者を配置した「政策マップ」である。これらの争点を選んだのは、各候補の対立軸を最も反映するからだ。
決選投票進出の可能性が高いとされる進次郎、石破茂、そして高市早苗の3候補では、進次郎と石破が緊縮、つまり「反アベノミクス」で、逆に高市は「アベノミクスの継承」を旨とする。法政大学教授(政治学)の白鳥浩氏が指摘する。
「小泉氏、石破氏、河野太郎氏のいわゆる『小石河連合』は、金融緩和を進めた安倍政権下でも非主流派で、増税や財政健全化寄りの政治家と言えます。特に『金融所得課税の強化』に前向きな石破氏は、国民の投資意欲に歯止めをかけようとしている点で、新NISAの拡充を進めた岸田政権とも対極と言えるでしょう」
いっぽう、進次郎が口火を切った「解雇規制の見直し」については、石破と高市は様子見の構えで、賛同の意を口にしたのは、ほかの候補者では河野だけだ。
だが、政治学だけでなく経済学の専門家からも、進次郎の雇用政策については疑問と危惧の声が次々と上がり始めた。後編記事【進次郎の「クビ切り政策」も、石破の「カネ持ち増税」も最悪…!大混乱の総裁選で「意外とまとも」な経済政策を掲げた候補者の名前】でその詳細を報じる。
「週刊現代」2024年9月28日号より
週刊現代(講談社・月曜・金曜発売)
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