( 215298 ) 2024/09/25 16:16:42 0 00 小泉進次郎候補
9月30日に任期満了を迎える岸田文雄氏の後任を選ぶ自民党総裁選挙が9月12日に告示され、27日の投開票に向け、立候補者による訴えが連日にわたり続けられている。次期の内閣総理大臣の選出や、年内に行われると予測される衆議院の解散選挙に向けて、かつて豊田真由子元衆院議員の秘書を務めた人物が取材に応じ、自民党総裁選の見どころを語った。
【激戦必至】小泉進次郎候補に挑む有力候補者たちの横顔
立候補するためには、国会議員20人の推薦が必要という現制度が導入された1972年以来、過去最多の9名が名を連ねた自民党の総裁選挙だが、昨年末に明らかになった政治資金パーティーをめぐる裏金事件を受けての各派閥の解散などの影響により、「これまでよりも票読みがしにくい状況にある」と元秘書は指摘するが、まずは改めて、各候補者の出身派閥を整理しておこう。
【総裁選出馬リスト】(現在は麻生派以外の派閥は解散している) 小林鷹之 経済安全保障担当内閣府特命担当大臣 (二階派) 高市早苗 経済安全保障担当大臣(安倍派※→無派閥) (※)2011年(平成23年)に、総裁選で安倍晋三を支援する目的で清和政策研究会(当時の森喜朗派)を離脱し、無派閥となった。 林芳正 官房長官(岸田派) 小泉進次郎 元環境大臣(無派閥) 上川陽子 外務大臣 (岸田派) 加藤勝信 元官房長官(無派閥) 河野太郎 デジタル大臣(麻生派) 石破茂 元幹事長 (旧石破グループ) 茂木敏充 幹事長 (茂木派)
同氏は「これまでと同様に解体された派閥がまとまって一人の候補を推す動きが見られる一方で、個人の関係性によって投票先を決めている議員もいる。派閥ごとに候補者を1本化できていた従来よりも票の取りまとめが難しく、勝敗の行方が読みにくいことが今回の総裁選における特徴だと思います」と言及するが、唯一派閥としての活動を続けている麻生派(志公会)にも、変化の兆候は見られるという。
「麻生派以外の派閥は解散しましたが、派閥の領袖を務める麻生太郎氏も事実上の自由投票のスタンスを取っており、麻生派に属する全員が河野太郎氏に票を投じることはないと見られています。派閥に頼れない状況に置かれた候補者が票を伸ばすためには、これまでに築いてきた関係性や活動の成果がこれまで以上に問われることになりそうです」
自民党の総裁選挙は、満18歳以上の国民に与えられる国政選挙などとは異なり、368の国会議員票と同数ある全国の党員票を合わせた736票によって争われる。
連日の報道によると、競り合う小泉進次郎氏と石破茂氏を高市早苗氏が追う展開にあるというが、3者の支持層は大きく異なる。候補者が乱立する中で顕著な傾向が見られるのが、過去5度総裁選に出馬したものの、いずれも敗れている石破茂氏だ。
「石破氏は一般党員の票を上積みして高い位置につけていますが、国会議員票集めではこれまでと同様に苦戦を強いられることになるでしょう。彼が最も総裁の座に近づいた2012年の選挙でも1回目の投票では1位でしたが、議員の投票結果で決められる決戦では、2位の安倍晋三氏に逆転を許す形になりました。石破氏は政治的なスタンスが定まらず、“政治屋”としての側面もあり、党内での信頼の低さがこの結果を引き起こした要因だと思いますが……。今回も議員票の大幅な上積みは見込めなさそうなので、決選投票を勝ち上がることは難しいのではないかと思います」と分析する元秘書は、上位2名による決選投票の展望についてもこう続ける。
「小泉進次郎氏が優勢だと思われていますが、もし波乱が起こるとしたら高市早苗氏が2位以内に進み、小泉氏との決選投票に至ったケースです。勝つことを見越して票を投じるのか、もしくはこれまでの関係性を重視した行動を取るのか。別の候補を応援していた国会議員の票をどのように取り込むのかが、決選投票に進んだ2人の候補者は問われることになると思います」
元秘書は、逆風も伝えられる中でも、「小泉氏が勝利する可能性が高い」と語るが……。予想外の波乱が起こることはあるのだろうか。
一方、岸田総理や彼の出身派閥、旧岸田派の候補者の動向に目を向けてみよう。約3年に及んだ岸田政権は、外交や安全保障分野での業績が一定の評価を受ける一方で、派閥の政治資金規制法違反事件や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係性をめぐる対応、そして長引く円安の影響などで支持率は低迷し、苦しい政権運営を強いられた。
「今回の総裁選で、岸田氏自ら身を引く形になりましたが、67歳という年齢を鑑みると将来的な再登板の芽もあるのではないかと思いますし、窮地に陥った状況を見越して、あえて今回出馬を見送ったのではないかとさえ感じます」(男性秘書)
今回、旧岸田派からは参議院から衆議院に鞍替えした林芳正官房長官、上川陽子外務大臣が立候補し、かつての派閥が割れる形での総裁選となっているが……。
「今回の総裁選で旧岸田派は苦しい状況に立たされていると思います。改革が求められている状況であるにも関わらず、同じ派閥の人が選出されたら『岸田路線の継承』を印象付けることとなり、選挙戦での不安を残すことになるでしょう。参院のキャリアこそ長いものの、衆院では一回生となる林芳正氏などは、次回以降の総裁選での勝利のために、今回あえて出馬しているのではないかと思います。岸田派に限った話ではありませんが、2位以下の候補者の順位や、勝てる見込みが薄くてもあえてなぜ総裁選に出馬する理由から、それぞれの思惑が見えるのではないかと思います」
総裁選では衆議院の解散時期も争点の一つになっているが、大方の予想では、新たな代表が決まり次第、早々に解散し、総選挙に突入すると言われている。
「もし年内に選挙が行われたとしても、自民党が大きく議席を伸ばすことも、政権を奪われるほどの大敗もないでしょうから、選挙後には自民党総裁がそのまま内閣総理大臣に就任し、人気の高い人材が揃う内閣で再起を図る可能性が高いと思います。仮に小泉氏が首相となった場合、実力やキャリアの浅さを指摘する意見も聞かれますが、氏の周囲には優秀な人材が多く配置されていますし、地元の議員との関係性も深い。小泉氏の強みでもある多くの人材を味方にできる人間性を生かした国政運営を行うことになるでしょう」
と元秘書は一定の評価を示しながら、不安材料についても指摘する。
「高い支持率での船出を迎えることになると思いますが、それが長く続くかどうかはわかりません。特に同時期に行われている立憲民主党の代表に野田佳彦氏が就任した場合は、注意が必要かもしれません。他の代表候補は政権批判を繰り返しながら党首討論に挑んでくることが推測されますが、保守寄りの野田氏は小泉氏とスタンスも近く、経験も豊富。真っ向勝負になった時にキャリアの差が出てしまう状況は起こりうると思います。そのような状況をいかに回避していくのかが新体制でのスタートを切ろうとしている自民党の今後を占うのではないでしょうか?」
事実上の日本のリーダーを決めることとなる自由民主党の総裁選は27日に開票を迎える。暗い話題の多い日本の光となれるのか。投票によって選ばれる新たなリーダーの手腕にも期待したい。
ライター・白鳥純一
デイリー新潮編集部
新潮社
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