( 216310 ) 2024/09/28 15:14:50 1 00 自民党総裁選挙後、石破茂氏が逆転勝利し、高市早苗経済安保相は21票差で敗れた。 |
( 216312 ) 2024/09/28 15:14:50 0 00 自民党総裁選後、取材に応じる高市早苗経済安保相
石破茂氏の逆転勝利で幕を閉じた自民党総裁選。1回目の投票では石破氏を上回る得票で1位だった高市早苗氏は、21票差で涙を飲んだ。敗因はなにか――。永田町で総裁選を見てきた政治評論家の有馬晴海氏が解説する。
【写真】大人げない?麻生太郎氏の総裁選当日のこの表情!
ーー高市氏は自民党へ入党後、2011年までは後の安倍派になる清和政策研究会に入っていましたが離脱し、それ以降は無派閥として活動していました。安倍晋三元首相からは「仲間を増やす努力を」と言われてきて、今回の総裁選でも当初は推薦人20人を集められるのか、との見方も出ていました。仲間を作らない高市氏が1回目の投票で1位になり、決選投票にまで残るのは意外ではありませんでしたか
私も決選投票は、石破さんと(小泉)進次郎さんの戦いになると思っていました。ところが、進次郎さんは選挙戦の終盤に、「発言に中身がない」などの批判を受け、失速してしまいました。高市さんは「票が集まらないのでは」という不安の声を打ち消し、12日の告示には20人の議員らが推薦人に名を連ねていました。ただ、その推薦人の中には裏金を受け取っていたと党本部が公表している議員が13人もいることが明らかになり、うち6人は党の役職停止などの処分を受けています。
“裏金応援団”とまで言われ、批判が相次ぎましたが、見方を変えれば裏金議員にとって高市さんは「最後の砦」みたいなものです。高市さんはこれまでの記者会見などで「(裏金問題をめぐっては)党が聞き取り調査をして、厳正な処分を下している。追加的な調査は考えていない」と明言しています。石破さんはそこまで言い切っていないため、裏金議員にとっては「これ以上、深掘りされたくない」との思いが強く、高市さんに票を入れたのではないでしょうか。
ーー1回目の投票では、党員票でも高市氏は109票と、石破氏の108票を上回っていました。
岸田政権が支持率を落としている一方で、「初の女性首相」といった期待などを受け、高市さんは着実に人気を集めてきました。また、批判は出ましたが、高市さんが9月上旬にリーフレットを配ったことも票を集めた要因の一つだと思います。選挙管理委員会はかねて「金のかからない総裁選」を掲げており、告示前でも政策パンフレットなどの郵送を禁止していましたが、高市さん側は「選管が通知した4日より前に送付作業を終えているため、ルール違反ではない」などと主張しています。選管は事態を重く受け止め、11日に高市氏陣営を口頭で注意しましたが、ペナルティーなどはありませんでした。このリーフレットの効果もあったのではないでしょうか。
■「高市さんへの懸念が…」
ーー結局、1回目の投票結果は、1位が181票で高市氏、2位が154票の石破氏で、決選投票前までは高市氏がかなり優勢だと見えました
1回目の投票で、高市さんは旧安倍派の党員票を多く獲得できました。石破さんが得た国会議員票は46票、高市さんは72票でした。安倍さんの“お気に入り”だったということもあり、今回の総裁選でも「故・安倍晋三首相の継承者」の立場を確立していました。ところが決選投票となり、石破さんか高市さんかの二択となったとき、林(芳正)さんや進次郎さん、上川(陽子)さんらに入れていた議員は、「右すぎる」高市さんへの懸念があり、石破さんに票が流れたと見られます。特に、進次郎さんに入っていた票が石破さんへ流れたのが大きかったのではないでしょうか。
また、高市さんは、夫婦別姓に慎重な考えを示しており、靖国神社参拝には賛成など、保守層からの支持を受けてきました。しかし、いまや多様性という言葉がキーワードとなり、新しい価値観を認めることが重要視されています。高市さんの考え方は、現在の世の中の流れに合わないと考えた議員が多くいたのではないでしょうか。
ーー岸田文雄首相が行った派閥解体の影響はあったのでしょうか
投開票日の朝、麻生(太郎)さんが河野(太郎)さんを切り、高市さんを支持する意向を固めたと報道されました。麻生派はいまだ自民党内で唯一残っている派閥ですが、麻生派からも多くの票が石破さんに流れたのではないでしょうか。「派閥の頭の指示に従う」という古い価値観に異を感じた人も少なくなかったはずです。それくらい高市さんの政策に危機感を感じたのではないでしょうか。また、これまで長年無派閥だった石破さんの「派閥は関係なく皆でやっていく」姿勢に共感した部分もあるのかもしれません。
ーー最後に今回の総裁選を振り返り、印象に残った点を教えてください
完全ではないものの、自民党の派閥がなくなり、初めての総裁選でした。派閥の枠に縛られることなく、お互いが自分の意見を表明できる環境が整い始めていると感じています。新しい政権には、これまでのしがらみをほどいてほしいと強く願っています。
(聞き手/AERA dot.編集部・板垣聡旨)
板垣聡旨
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