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筆者は9年間の浪人を経て早稲田大学に合格した経験をもつ。

彼は大人にタメ口を使う高校生について注意喚起し、それが受験にどのような影響を与えるかを解説している。

タメ口を使う受験生は受験に失敗する危険性があり、大人に対する失礼な態度はデメリットしかないと指摘している。

先生や事務員、他の大人への敬意や配慮が受験にも影響し、最終的な成功は人間力にかかっていると述べている。

(要約)

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写真はイメージです。被写体と本文の記述は一切関係ありません Photo:Bogdan Malizkiy/gettyimages 

 

 計9年間の浪人を経て早稲田大学に合格した経験を持つ筆者・濱井正吾(通称:9浪はまい)が、「大人にタメ口をきく高校生」について解説します。タメ口と大学受験、一体どう関係するのでしょうか?(教育ジャーナリスト 濱井正吾) 

 

● 「失礼な受験生」の合否は? 

 

 私はかつて、家族の事情などで集中して勉強するのが難しい環境にいました。そこから仮面浪人を経験したり、社会人生活と並行して受験勉強を重ねたりする中で、難関大学合格への熱意が高まりました。そして9浪を経て、念願叶って早稲田大学に合格しました。 

 

 浪人を重ねる過程で、私はさまざまな勉強法や予備校を経験し、さまざまな受験生に会ってきました。事務や応対の仕事をしながら、受験生や受験生の親御さんとコミュニケーションをとっていた時期もあります。 

 

 その中で、私が気になっていたのが、大人にタメ口を使う受験生の存在です。学校教師、塾・予備校講師、職員さん……支えてくださる大人に対して失礼な態度を取る人に、私は憤りを感じたものです。 

 

 そこで今回は、大人にタメ口を使う受験生が大学受験で成功するのかどうかを、知人の体験談を踏まえながら解説していきたいと思います。 

 

 結論から申しますと、タメ口を使う受験生は受験に失敗する確率が高くなると感じています。大人に嫌われることはデメリットしかありません。 

 

 予備校講師に反発し、塾のノウハウを無視して自己流で勉強した「性格が悪い」受験生が失敗をしていることは過去記事でも言及しましたが、それは学校の教師や、塾・予備校の事務員さんであってもさまざまな不利益を被ります。 

 

 そうした事例を紹介していきましょう。 

 

● 教師も人間、嫌いな生徒には… 

 

 まず、学校教師です。学生によっては、受験を突破するためには塾や予備校の授業の方が効果的であると思い、学校の授業を軽視して、授業中に堂々と寝たり、先生を呼び捨てにして小馬鹿にした態度を取ったりする人もいます。 

 

 しかし、もし少しでも、先生の評価が影響する入試を受けることを検討しているのであれば、そうした態度はやめておいた方が無難です。なぜなら、内申点制度や推薦入試などの評価などで、「嫌いな生徒の評価を低くしてやろう」と思う心理が働いても不思議ではないからです。 

 

 先生も、聖職者である前に一人の人間です。成績が優秀でも人を見下した態度をとる人間と、成績が劣るものの素直で誠実な人間であれば、人間の情としては後者を応援したくなります。 

 

 やろうと思えば、前者のような生徒の成績や内申点を下げるために都合の良いデータを集めて、生徒や保護者にもわかるように「成績が低い理由」を説明することもできるでしょう。大人はしたたかです。 

 

 また、こうした事例は、別に普段から関係性のある在籍校の先生に限った話ではありません。学校の面接試験などで「初めて会う先生」であっても同様です。 

 

 

● 大人を見下す生徒、隠しても透けるホンネ 

 

 普段から大人を見下している、小馬鹿にしている生徒は、隠そうとしていても面接試験での表情や言葉尻から大人を見下す姿勢が透けて見えてしまうこともありますし、普段から敬語を使い慣れておらずに取ってつけた感が出てしまいます。その様子を、百戦錬磨の大人は細かくチェックしています。 

 

 また、とある私立高校を受けた生徒は、試験が終わってから、終わるまでぐっすりと寝ていたそうですが、その姿を見た先生によって「我が校で学ぶ生徒にふさわしくない」という理由で落とされたこともあるそうです。 

 

 ペーパーテストの成績だけではなく、普段からの行いが大事なことがわかりますね。 

 

 先ほどは、学校の先生を小馬鹿にすることが、どのようなデメリットがあるかを解説してきました。とはいえ、これは、直接成績や受験に関係する大人に限った話ではありません。受験に関係しない周囲の大人も、生徒の合否に大きく関係しています。 

 

● 「バカのくせに」わざわざ聞こえるように悪口 

 

 私が経験したものだと、塾や予備校の事務員さんに嫌われてしまったことで、受験を失敗した生徒の例がいくつかあります。 

 

 たとえば、私が通ったとある予備校では、事務員さんに常にタメ口を使っている生徒や、休み時間に事務員さんの悪口を言う集団がいました。 

 

 その事務員さん自体は、居眠りや遅刻などをする生徒に厳しく生活態度を指導する方でしたが、とても生徒思いのいい方でした。 

 

 しかし、多くの受験生にとっては、今の自分の受験生活で精一杯。よく事務員さんと口論になっていましたし、休み時間の雑談で事務員さんの悪口を言っているのをよく見ました。 

 

 「あいつ、○○大の出身らしいぞ」 

 

 「簡単な漢字も読めなかったぞ」 

 

 「バカのくせに偉そうにすんなや」 

 

 タチが悪いのが、彼らはこれを事務員さんに聞こえるように言っていたのです。 

 

 

● 大人たちをナメたツケは大きい 

 

 受験生たちは日頃、学校で成績をつけられ比較されています。そのためなのか、学力ばかりをことさら重視するような生徒も残念ながら少なくありません。 

 

 人生がかかっている受験生は特に、現在自身が人生を懸けて勉強をしていることから学歴至上主義になりがちで、学力で人の価値を判断しようとする傾向が出てきてしまいます。 

 

 しかし、先ほどもお伝えしたように大人はしたたかです。たしかに、周囲の大人の中には、受験生よりペーパーテストの点数を取れない方もいるかもしれませんが、受験生より長く生きていて、それなりに社会経験も対人経験もある方ばかりです。その経験を決してナメてはいけません。 

 

 こうした生徒たちは、塾・予備校の講師や本社の人間に要注意人物として共有されたり、ちょっとしたことで親に報告されたりして、勉強だけに集中できない包囲網が作られてしまうケースがあります。 

 

 大人の多くは、直接言葉で相手を非難するようなことはしません。 

 

 でも、好きな生徒と嫌いな生徒では露骨にテンションや顔色が変わります。 

 

● 勉強以外でイライラ…自らストレスを生み出す愚 

 

 好きな生徒に対しては、単語テストやわからない受験制度を調べることに業務時間時間を割いて協力するのを惜しみませんし普段から温かい言葉をかけて応援します。その応援をもらって、受験生もモチベーションを高めるでしょう。 

 

 一方で、嫌いな生徒にはうまく理由をつけて適当に対応したり、要望を断ったり、事務的な対応を取ったりします。 

 

 そういう空気を感じ取った生徒たちは結局、勉強以外のストレスを自ら作ってしまい、イライラを抑えきれずに毎日を過ごしていましたし、最悪の場合、予備校が気持ちのいい空間ではなくなってしまったためか、行かなくなってしまいました。 

 

 こうした生徒たちの多くは、情報不足や追い込めなかったことが祟って、第一志望に受験を失敗してしまう事例が多くありました。 

 

 

● 最後に成否を分けるもの 

 

 以上、教員や事務員など、周囲の大人にタメ口を使い、小馬鹿にしている人が受験に失敗する理由について解説しました。 

 

 いくら学力が高かろうと、相手を見下し、小馬鹿にしている人を助けてくれる人は少数です。そうした姿勢の人は、自身の能力で受験を突破しても、結局いつかは人が離れていきます。 

 

 最終的な成功を分けるのは人間力なのです。 

 

 受験生は人生の中でもとても辛い時期です。でも、そんなときだからこそ、本性が出ます。自分が辛くても、他者に敬意を払えるような生徒を、生徒同士よりも人生経験の長い大人のほうが見ています。 

 

 そうした生徒にはきっと、誰かが救いの手を差し伸べてくれるでしょう。 

 

 どんな相手にもいいところを見つけ、敬意を払えるような人間でいたいものですね。 

 

濱井正吾 

 

 

 
 

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