( 218196 ) 2024/10/03 16:49:11 0 00 五輪の最高位スポンサーから日本企業の名前が消える。トヨタ自動車、パナソニックホールディングス(HD)に続き、ブリヂストンが1日、国際オリンピック委員会(IOC)との契約終了を正式発表した。名目国内総生産(GDP)で世界4位に後退した日本経済の弱体化の表れなのか。有識者は五輪そのものの潮目の変化を指摘する。
■3社が相次ぎ撤退
五輪のスポンサーは4段階に分かれ、「ワールドワイドパートナー」と呼称される最高位はIOCと直接契約する。大会組織委員会と契約する下位カテゴリーと違い、1業種1社に限定するのが原則だ。
7~8月に開催されたパリ五輪の最高位スポンサーにはコカ・コーラ(米国)やVISA(同)、サムスン電子(韓国)など世界経済の巨人が並ぶ。国別で日本は3社。米国(5社)に続く存在感を示していた。
9~10月にかけ、日本勢3社は相次ぎ契約終了を明らかにした。撤退すれば競合他社にその座を奪われる可能性はあるが「自然な流れ。五輪を通じたブランド戦略は不要になったのだろう」と話すのは大阪体育大学長の原田宗彦氏(スポーツマネジメント)だ。
1987年から契約するパナソニックHDは経営環境の変化、2014年に契約したブリヂストンはモータースポーツへの注力と原点回帰を契約打ち切りの理由に上げた。諸々の事情はあるが、より本質に迫ったのはトヨタだろう。
強い政治色を疑問視
9月に全米ディーラー大会に参加した同社の豊田章男会長は「スポンサーを続けることが(不可能を可能にする)アスリートのためにつながっていると思えなかった」と言及。その後、自社サイトで開催時期や時間を具体例に「ピープル(選手)ファーストか?政治色が強く、こういう形でいいかと思った」と意識の差を強調した。
関係者によると、トヨタが10年で支払ったのは1300億円。加えて車両など現品支給もした。高値のスポンサー料を払った各社の置かれた差もある。「コカ・コーラなら会場でそれしか売られないから実売利益がある。決裁はVISAだけ。でもタイヤや車は会場で売られるわけではない。割に合わないのは当然だ」
隙間を誰が埋めるのか。前例はある。サッカーのワールドカップ(W杯)は国際サッカー連盟(FIFA)の汚職を理由に欧米のスポンサーが撤退。金策に困ったが、中国企業が参入し窮地を救った。ただし、同じ救済策が施せるほど同国経済はいい状況下にないというのが関係者の見立てだ。
「もはや五輪だけが世界にブランド力を示すイベントという時代ではなくなった」と原田氏。五輪の商業化が叫ばれたきっかけは1984年のロサンゼルス五輪だった。同地で4年後に行われる五輪。原田氏は「本来の目的である戦争の抑止にもならず、スポンサーも実利があるところしか残らない。五輪貴族の殿様商売は終わりにすべきだと思う」と警告を発した。
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