( 219229 )  2024/10/06 15:38:35  
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2024年9月、自民党総裁選で敗れた高市早苗氏が取材に応じた。

高市氏は自民党を離れるつもりはなく、ポスト石破を狙っているとされるが、今は党内での地位が低いため離党は考えられていない。

支持基盤を広げる必要があり、保守層だけでなく党内穏健派にもアプローチする必要がある。

高市応援団による支持は強力だが、排他的な言動が批判されている。

(要約)

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自民党総裁選後、取材に応じる高市早苗氏=2024年9月 

 

 自民党総裁選の決選投票で、石破茂首相に敗れた高市早苗氏。女性として初めて“首相のイス”に座りかけた高市氏の今後は気になるところだ。一部報道では「新党結成か」と注目されたが、そんな動きはあるのだろうか。政治ジャーナリストの青山和弘氏は、「意外なところに危うさがある」と指摘する。 

 

【写真】このころは仲が良かった?おどけた笑顔で石破氏と談笑する高市氏はこちら 

 

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■今は虎視眈々と「ポスト石破狙い」  

 

 石破氏から「総務会長」を打診されたが固辞した高市氏。ノンフィクション作家の百田尚樹氏や、名古屋市長の河村たかし氏と新党を結成するのでは、という報道が流れたが、この点について青山氏はどう見たか。 

 

「まず、自民党を離れることは考えていないと思います。この段階で党を飛び出していいことはありません。例えば『自民党から200人がついてくる』というようなことは考えにくいです」 

 

 ひとまず、離党という選択肢はなさそうだが、 

 

「今は総務会長就任を固辞して無役ですから、この状況が2年、3年と続くのであれば選択肢として浮上する可能性はありますが、この段階ではむやみに考えてはいないと思います。自民党でトップをとるんだ、という思いが強いでしょう。虎視眈々と『ポスト石破』を狙う中でどうすればいいのかと考えているのではないでしょうか」 

 

 との見方も示した。 

 

 毎日新聞と民間のデータ調査会社「社会調査研究センター」が3日に行った全国世論調査では、決選投票で石破首相に敗れた高市氏の今後の政治活動に期待するか尋ねたところ、「期待する」が43%で「期待しない」(38%)を上回り、「わからない」も19%あったと報道されている。 

 

 期待される政治活動をしつつ、さらにはポスト石破を目指すとみられる高市氏に必要な要素とは何だろうか。青山氏はこう話す。 

 

「高市氏は、保守の受け皿であるとともに以前の石破氏のような”いざという時の総理候補”のポジションも期待されているのではないでしょうか。高市さんが”岩盤保守層”に強く支持されていることは間違いありません。しかし同時に総裁になるにはいわゆる党内穏健派にも気を配ってアプローチしなければならないことをわかっていると思います。その証拠に、総裁選の決選投票での演説では保守的な姿勢はいっさい見せず、穏健派に対して党内融和を強調しました」 

 

 支持基盤だけでなく、穏健派にもアプローチしていくにはどうすればいいのか。 

 

「議員の支持を拡げことが不可欠です。慰労会で今回の支持者の結束を保つことも大事ですが、仲間を今まで以上に作る。今、高市氏は石破首相が以前いたような非主流派のポジションにいます。しかも今の石破政権は盤石とは言い難い。いざとなったら党内からも、国民からも『次は高市だな』と思ってもらえる存在になることが必要だと思います」(青山氏) 

 

 

■高市氏の”強み”は諸刃の剣 

 

 高市氏は、総裁選では決選投票で敗れたものの、9人の候補者の中でもっとも多くの党員票を獲得した。その一因となったのが、「高市応援団」と呼ばれる存在だ。 

 

 青山氏がこう解説する。 

 

「高市氏は、総裁選に出馬する際の20人の推薦人を集めるところでかなり苦労していました。高市氏自身は政治家としてかなりエッジが立ったですし、人付き合いがうまいほうではありません。他の議員との調整力とか、交渉力は以前から疑問視されてきたんです。しかし、総裁選挙ではあれだけ進しました。これはいわゆる“高市応援団”が世論を盛り上げたことも要因の一つです。議員ではない彼らがYouTubeやインターネット、SNSを駆使して、“激しく”発信していたから、その勢いや熱量に引っ張られて人気が上がっていった側面は否定できないと思います」 

 

 応援団による高市氏への支援の熱は投票日が近づくごとに増していったが、同時に他候補への「口撃」も見られた。 

 

「ここに高市氏の危うさが隠れている」と青山氏は指摘する。 

 

「高市氏の応援団は熱を帯びて、高市陣営と支持者を引っ張ってきました。しかし、同時に排他的で攻撃力も強い。例えば、小林鷹之氏の支持に回ったかつての高市氏支持者を“裏切り者”と断罪した、河野太郎氏や林芳正氏のこともこれまで“媚中派”などと罵ってきたりしているんです。これが高市氏の抱えるジレンマです。例えば今回の決選投票で、麻生太郎氏が麻生派議員に高市氏への投票を呼びかけましたが、麻生派でも河野氏やその周辺は石破さんに投票したとみられます。高市支持の議員からも「応援団の攻撃力が強すぎで、取れるはずの票も取れない」と嘆く声が聞かれます」 

 

 高市氏が、あくまで「次の首相」を狙うのであれば、極端に右に寄るだけではなく、真ん中に近い道も歩まなければならないということだろう。 

 

(AERA dot.編集部・小山歩) 

 

小山歩 

 

 

 
 

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