( 220629 )  2024/10/10 02:01:46  
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旧車は現代のクルマと比べてトラブルが多いが、それを楽しむことができれば旧車との付き合い方が理解できる。

古い車は様々なトラブルやアクシデントを経験してきた「奇跡の個体」であり、維持することは経年劣化との戦いであり、愛着を持つことが大切だ。

旧車オーナーの間では、新しいクルマは高性能でいいとしても、古いクルマに魅力を感じている声もある。

クルマ好きにとって、古いクルマを所有することで新たな世界が広がる可能性がある。

(要約)

( 220631 )  2024/10/10 02:01:46  
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現代のクルマと違い、旧車は何かと面倒が起こる。そんあ面倒も笑って許せるようになってこそ、旧車とつきあえるというものだ。 

 

 街なかで見かける「旧車」や「古いクルマ」。それはつまり、これまでさまざまなトラブルやアクシデントに遭遇しても、そして廃車寸前になってもレスキューされ、昭和~平成~令和の時代を生き延びてきた「奇跡の個体」です。なかには何十年も倉庫で埃をかぶっていたのに、発掘されたのを機に復活した個体もあるでしょう(未だに倉庫の片隅で眠っている個体も数多くあるはずです)。 

 

【画像】「GTR」も「タイプR」も名乗った旧車の名車があった 

 

 生き延びてきた……それは同時に、それなりの「ご老体」であることを意味します。なかには機械としての耐用年数を過ぎているクルマだってあるかもしれません。そんな古いクルマあるある現象をまとめてみました。モノを大切にするのはいいことなんですけどね! 

 

 何しろ古いクルマですから、車体のあちこちが劣化しているのはやむを得ない話。ゴム類なんてその最たる例です。小雨程度なら何とかなるんだけど、大雨に遭遇したときなんて車内にポタポタと雨水が。どうにか帰宅した翌日、助手席の足もとやトランクに水たまりが。 

 

 将来、レストアするときに、ボディのあちこちがサビサビ&グサグサなんだろうな~なんて思いながら急いで排水して天日干し。旧車オーナーが雨の日に乗りたがらない理由として、サビも心配だし、雨漏りはもっと心配だからということも考えられます。 

 

 古いクルマであってもワイパーは装備されています。そして、たいていの場合、とりあえず動きます。しかし、雨が降ったときにきちんと水滴を拭き取ってくれるかは別問題。同乗者がいる場合、このように突っ込まれます。「ワイパーが役に立ってない!」と。 

 

 そんなときは「ワイパーが役に立ってない!? あんなのは飾りです。最近のクルマに乗ってる人にはそれがわからんのです!」とでもいい返してあげてください。一部のクルマ好きはニヤリとするはずですから。 

 

 古いクルマの維持、それはヤレやガタ、サビといった「経年劣化」との戦いと妥協の日々でもあります。ドアやボンネット、トランクを開けた際のギシギシ音、下まわりから聞こえてくるガタガタ音……。気になり出すと夜も寝られません。 

 

 それでも、休日の駐車場やイベント会場には国内外のさまざま旧車がズラリと並んでいます。本当に致命的なダメージであれば主治医が「そろそろ直しておいたほうがいいよ」と教えてくれるので、多少のガタピシ音は想定内と割り切った方が精神衛生上、いいように感じます。 

 

 

 ドアは閉まるんです。結果的に。たまにうまく閉まらず、半ドア状態になったりもします。何度も開け閉めしたり、あんまり強く閉めるとほかのところが壊れそうだし、見た目にもカッコ悪い。偶然なのか奇跡なのか、たまに「ストーン!」っと、絶妙な手応えで閉まることがあります。 

 

 その感覚を体に覚え込ませて、次にドアを閉めてみると今度はうまくいかない。「気にしはじめるとキリがないけれど、そんなもんです」と思えるようになると、いよいよ悟りの域に達している証かもしれません。 

 

 エアコンはもちろんのこと、クーラーすら装備されていないクルマも珍しくないのが旧車の世界。一応装備されているけれど、送風口からは生ぬるい風が……。そうなると窓を開けて走ることになります。エンジンを始動後や信号待ちなど、ふとしたときに排ガスの臭いが車内になんてことも。 

 

 同乗者からは不評かもしれませんが、オーナーからすれば「いい匂い」であることも!? ほどほどにしないと一酸化炭素中毒になってしまうので注意が必要です。 

 

「コンディションが一定ではない」ことをもっとも実感できるのは、エンジンのコンディションではないでしょうか。それもキャブ車をはじめとするインジェクション仕様でないエンジンであればなおさら。 

 

 いつもより吹き上がりがいまひとつ、アイドリングが安定しないといったトラブルを予感させる状況から、1年に1度、あるかないかというくらい気もちよくエンジンが吹き上がることもあります。この違いを実感できるのはオーナーと、愛車の面倒を見ている主治医くらいでしょうか。 

 

 四半世紀、あるいは半世紀以上の前の古いクルマを慈しみ、調子がいまひとつであればすぐに主治医のところへもち込み、日がな一日は朝から晩までクルマいじり……。こんなことを繰り返していたら、ほとんどの場合、家族には理解してもらえません。現代の、故障知らずでしかもメンテナンスフリー。真夏でもエアコンがガンガン利く。それが一部の高級車ではなく、ほぼすべての日本車に当てはまります。 

 

 これってすごいことです。それなのに、わざわざ手間と維持費がかかる古いクルマに乗るなんて理解ができない! いや、むしろその感覚のほうが正常なのかも。ここは黙認してもらえるだけでヨシとすべきかもしれません。 

 

 

 すべてとはいいませんが、旧車オーナーの「最新のクルマは文句なしに高性能でイイクルマだけど、なぜか惹かれるものがない」という声を耳にします。クルマとしてあまりにもよく出来すぎているからこそ物足りないとは、なんとも矛盾した話ではあります。「ちょっと不便くらいがちょうどいい」「自分がクルマに合わせていく感覚がたまらなく心地よい」。従順なコよりもワガママ娘に振りまわされることに魅力を感じるタイプなのかも!? 

 

 もし、ゆくゆくは旧車を手に入れたいと考えていて、この感覚が理解できるとしたら……旧車を所有することで新たな世界が広がる可能性があります。反対に理解不能だとしたら……最新モデルを乗り継ぐことをおすすめします。 

 

松村 透 

 

 

 
 

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