( 221604 ) 2024/10/12 17:01:44 1 00 10月9日に行われた立憲民主党・野田佳彦代表との党首討論は40分にわたる重要な対決であり、石破首相は不安が残る中、聞き応えのある姿を見せ、筆者も感銘を受けた。
過去の選挙では、短かったものもあれば30日前後が一般的だった。
経済情勢も今回の選挙に影響しており、インフレの進行や消費者物価指数の上昇が有権者の不満を高めている。 |
( 221606 ) 2024/10/12 17:01:44 0 00 かなり心もとない石破首相だが、10月9日の立憲民主党・野田佳彦代表との40分にわたる「重量級の党首対決」は筆者も聞きほれた(写真:ブルームバーグ)
それにしても早すぎる。自民党総裁選挙が行われ、石破茂氏が新総裁に選ばれたのが9月27日のこと。その1カ月後の10月27日は総選挙であるという。それってあと2週間後のことではないか。
過去の自民党の選挙日程
■解散から総選挙まで「わずか17日間」の裏側にあるもの
石破さんが、岸田文雄氏の後を継いで首相に就任したのが10月1日である。10月9日には衆議院が解散され、15日が衆院選の公示日である。はて、選挙とは、いつもこんなにテンポの速いものであったろうか?
そこで過去の選挙日程を調べてみた。法律では「解散から40日以内に総選挙を実施する」ことになっている。過去のパターンでいうと、だいたい30日前後であることが多い。
解散から総選挙まで、いちばん短かったのは3年前の岸田政権発足のときであり、わずかに17日間である。今回はそれよりも1日だけ長い。とはいえ、前回は衆議院議員の任期切れが近かったので、急いだのは無理もないところであった。例えば今回の場合、総選挙が11月10日でも別におかしくはないのである。
それではなぜ急いでいるのか。ひとつには、10月27日は参議院の補欠選挙(岩手)が予定されていて、これは与党議員の不祥事による辞任の後を受けたもの。与党は「不戦敗」となる見込みだが、新内閣が最初の選挙を落とすことはできれば避けたい。そこでこの日に総選挙をぶつける、というのは古来、自民党がよく使ってきた手法である(2017年にも使われている)。
■「政治とは日程なり」
これだけだと「党利党略」ということになるが、やむを得ない政治日程上の理由もこれに加わる。
来月の11月5日にはアメリカ大統領選挙が予定されているが、そういう年は11月後半に大型の外交日程が組まれることが多い。今回もAPEC(アジア太平洋経済協力)とG20首脳会議が南米で予定されていて、石破首相が出席するためには、その前に特別国会を召集して首班指名をやらなければならないことになる。いやはや、いつも思うことながら「政治とは日程なり」なのである。
〇今後の主要政治日程
10月15日 衆議院選挙公示
10月27日 衆議院選挙・岩手参院補欠選挙 11月5日 アメリカ大統領選挙 11月上旬 特別国会召集 11月11~29日 COP29(アゼルバイジャン) 11月17~18日 APEC首脳会議(ペルー) 11月18~19日 G20首脳会議(ブラジル) 3年前は菅内閣から岸田内閣への切り替えであり、それは非常にうまく行った。菅さんは東京五輪を完遂し、新型コロナに対するワクチン接種を強力に推し進めるなど、いろいろ業績を残してくれた。しかし最後は不人気にあえぎ、政治資本を使い果たしたような形になって退陣となった。そこで自民党は総裁選を行って、岸田文雄氏への「看板の付け替え」で対応したのである。
それでは同じ手口は今年も通用するのか? 世論調査を見ると、どう見ても3年前に比べると自民党は分が悪そうだ。それはそうだろう。「政治とカネ」問題で国民は怒っていて、石破さんは土壇場で「裏金議員は非公認」という指示を出したが、それで落選する議員は少なからず出るだろう。自民党内には「石破支持派」と「高市支持派」との間の亀裂も入っていて、結果的に「比例票」が減ってしまう懸念も残る。
もうひとつ気になっているのは、3年前との経済情勢の違いである。皆さん、すっかり忘れているかもしれないが、3年前にはまだインフレがなかった。2021年秋はまだ「コロナ下」であったし、CPI(消費者物価指数)はずっとゼロ近傍で推移していた。
わが国における物価上昇は、2022年2月、ウクライナ戦争勃発による石油価格上昇が契機であった。CPI総合指数はピークの2023年1月には前年同月比4.3%まで上昇し、昨年11月からようやく2%台に低下したが、今年に入ってからは円安効果もあり、なかなか低下しない。せっかく賃上げがあっても、これでは有権者の不満が溜まりやすいとみておくべきであろう。
■衆院選は「最悪与党2割減」でもなんとかなる?
それでは今度の選挙で石破内閣は大敗するのだろうか。改めて計算してみると、衆議院の定数465議席のうち、自民党は前回258議席を有していた。仮に1割の25議席を減らしても、233とまだ過半数はキープできている。公明党の32議席を足した連立与党の議員数で行くと、合計290議席から2割減らしても、まだそれに近い線で踏み止まれる。実はかなりの「負け代(しろ)」があって、今の勝敗ラインはかなり甘めなのである。
政権発足からここまでの石破さんは、かなり心もとない感じであった。前言撤回が相次ぎ、「石破さんらしさ」がなくなった、との声も多かった。何より9月27日、総裁選の最中に勝者が「高市(早苗)さんじゃない!」とわかった瞬間に日経平均株価の先物は大幅に下落、30日は現物も2000円近くも下がってしまった。このニュースは「石破ショック」として世界を駆け巡った。
しかし筆者がそれ以上のショックを受けたのは、石破さんがアメリカの有力シンクタンクであるハドソン研究所に寄稿した”Shigeru Ishiba on Japan’s New Security Era: The Future of Japan’s Foreign Policy” (石破茂「日本の外交政策の将来」)という論文である。例の「アジア版NATO」の話が出ているのだが、安全保障論のイロハというべき「集団的自衛権」と「集団安全保障」の定義が混乱している。それ以上に、「アメリカが信用できないから……」という議論を、アメリカのシンクタンクのサイトに載せてしまうのはセンスがなさすぎよう。
面白いことにこの論文、当初は掲載日が「9月27日」となっていた。しかし今見ると「9月25日」となっている。9月27日だと石破さんはすでに自民党総裁になっていて、イコール「次の日本国首相」のご意見ということになってしまう。それじゃあマズイということで、あとから書き換えられたらしい。大丈夫か、こんなことで。
真面目な話、得意分野であるはずの安全保障でこんなボロが出るようでは、ほかの経済政策などは一体どうなってしまうのか。石破さんは若い頃から、防衛庁長官、農林水産大臣、自民党幹事長などの要職を歴任してきた。ところがここ10年ほどは、党内で「冷や飯組」の悲哀をかこつこととなり、知識のアップデートがされていないようなのだ。これでは首相就任後に、発言修正を迫られるのも無理はない。
■ピンチのときこその石破首相、長期政権に化けるかも?
ということで、出だしから心配されていた石破さんだが、10月9日の党首討論では鋭いところを見せてくれた。特に立憲民主党の野田佳彦代表との40分にわたる「重量級」対決は、正直、聞きほれるくらいだった。いや、ドナルド・トランプ氏の登場以来、アメリカの大統領候補テレビ討論会は、まるで異種格闘技のようになってしまっている。それに比べると石破対野田の討論はなんと紳士的で、ちゃんとしたディベートになっていることか。
考えてみれば、今回は石破さんが5度目の挑戦で首相になり、野田さんが野党第1党の代表に返り咲いた直後というタイミング。お二人にとって最高の舞台となったのではないか。こういう対決をもっと見たいものである。
どちらが勝ったかと言えば、野田さんの攻撃をこととごく封じた石破さんに軍配を上げたい。時に理詰めで、時にエモーショナルに反撃する様子はさすがの雄弁家であった。正直、こういう安定感は、高市さんや小泉進次郎さんでは無理だろう。急に石破さんが総理らしく見えてきた瞬間であった。
思うに「ご祝儀相場」という感じではないけれども、自民党がピンチの今こそが石破さんの出番だろう。森山裕自民党幹事長と林芳正官房長官という「森林コンビ」の支えも強力だ。そして歴代の中曽根康弘、小泉純一郎、安倍晋三などの自民党長期政権は、いずれも反主流派から登場している。石破さんだって、意外と長期政権に化けても不思議はないのではないだろうか(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。
ここから先はお馴染みの競馬コーナーだ。13日は3歳牝馬クラシック3冠の最終戦、秋華賞(G1、京都競馬場・芝2000メートル)が行われる。
このレースにおける鉄則は、「オークス上位組は強し」である。となれば、オークス馬のチェルヴィニア(3枠5番)と2着で桜花賞馬のステレンボッシュ(8枠14番)は外せない。ただし、いずれも秋華賞に直行しているので、夏場の成長分は未知数である。
もう1頭、オークスで4着だったクイーンズウォーク(2枠3番)は、前哨戦のローズステークスを制したばかり。これも加えて3強の構図ができた。鞍上はそれぞれクリストフ・ルメール、戸崎圭太、川田将雅騎手と一流どころである。3頭のうち、どの馬に賭けるべきか迷ってしまう。
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