( 221851 ) 2024/10/13 15:03:14 0 00 photo by gettyimages
「(スポーツ紙の)記事には、“(菜七子が)両親に相談した”とありましたが、そんなこともなかったんです。一言『やめたよ』と連絡がきました。LINEですかね、妻あてに。『やめたよ』と」
【写真】えっ、こんなに…藤田菜七子の「変化」を見る!
こう淡々と明かすのは、11日にJRAの騎手を電撃引退した、藤田菜七子(27歳)の父親だ。
藤田の引退届が受理されたその日の夜、本誌記者が茨城県内の実家を取材に訪れると、父親は終始目を落としながらも、その胸のうちを語ってくれた。
藤田は競馬学校の騎手過程を卒業後、根本康広厩舎に所属。2016年のデビュー時には16年ぶりに誕生したJRA女性ジョッキーとして注目を集め、「菜七子フィーバー」を巻き起こした。
その後、3年目の18年には、JRA女性最多勝利記録を樹立。翌19年にはコパノキッキングでJRA女性騎手初の平地重賞(カペラステークス)勝利、初めてのGI騎乗(フェブラリーステークス)で5着になるなど、順調な道のりを歩んできた。
競馬界に新しい風を吹き込んだ彼女の身に、一体何が起きたのか――。
事の始まりは、2023年4月までに調整ルーム内で複数回、藤田のスマートフォンの不適切利用があったことが、10月9日付の「文春オンライン」で報道されたことだ。
全ての騎手は、外部との接触を断ち八百長等の不正を防止するため、競馬開催日の前日夜から調整ルームに入室し、スマホなどの通信機器を預けることが義務付けられている。
「文春の報道を受けて、9日、JRAが本人に事情聴取をしたところ、ルーム内での他者との通信を認めた。それを受けて10日に騎乗停止処分が下されましたが、その際に本人が引退の意思を伝え、翌11日に引退届が受理されました」(競馬専門紙記者)
10月初週の新潟開催では2日間で計7鞍に騎乗し、元気な姿を見せたばかり。あまりに突然の出来事だった。
今回、JRAが通信機器の不適切利用以上に事態を重く受け止めたのは、藤田がスマホ利用を巡って、虚偽の申告をしていたことだった。
「2023年5月、若手騎手6人によるスマートフォンの不適切利用が発覚しました。その際、JRAが全騎手に聞き取り調査を行ったところ、藤田は唯一、自己申告で『調整ルーム内でTwitter(現・X)とYouTubeを閲覧した』と申し出ていた。
当時の規則では『ルーム内での通信』が違反で、持ち込み自体は禁止ではなかったため、JRAは口頭で厳重注意としていました。ところが、今回の文春の報道により、外部との通信があったと新たに判明した。そのことが重く見られたのです」(前出・競馬専門紙記者)
JRAから引退勧告がなされたわけではなかったが、藤田自らけじめをつける形になった。
藤田は競馬界では珍しく、会社員の父のもとに生まれた一般家庭の出身だ。小学6年生のときに偶然テレビで見た競馬中継に心を奪われ、週5日で乗馬教室に通いながら騎手を志した。
そんな彼女を支えてきた父は、娘の突然の引退劇をどのように感じたのか。
――今回の菜七子さんの引退について、どう思われていますか?
「そこはもう、本人に全部任せているので、『辞めます』という彼女の決断に対して我々が意見するっていうのは全くないんです。彼女を競馬の世界に預けたときに、根本(康広)先生に全てお任せしました。
ちょっと今回はいろんな事情があったので、我々は結果を受け止めるだけです。
預けた以上はお任せしているので、うちからこれが違うとか、あれが違うとか、こうしてほしいというのはありません」
今回の引退が明らかになる前、じつは父親は根本調教師とも電話で話していたという。気になるその中身とは――。
つづく後編記事『藤田菜七子の父親が明かした「娘のこれから」と「根本康広調教師と話したこと」』では、藤田への思いや今後について詳報する。
週刊現代(講談社・月曜・金曜発売)
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